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アイガーの追い求めるテーマ

アイガーの理念・ビジョンについて、今一度自らの本音、本気度と向き合い、今いるメンバーとこれから加わるメンバーの大切な人生を巻き込むことへの責任、これまで人生の一部を投じてくれた元メンバーへの責任、信頼して我々に発注をしてくださっているクライアントやリソースを提供してくれている外部パートナー、第三者的な立場で応援してくれている方々への責任について考え、振り返ることにしました。

2020年12月に中期計画の一部として発表した企業理念、描く将来像としてのビジョン、計画などは、具体性や背景、信じるにたる根拠に欠けていることから、ただ資料化するだけでは日々の業務におけるモチベーションや、重要な判断に迷った際の指針にはならず、業務をする上での組織的な姿勢となる文化形成にとってワークしないということを今さらながらようやく自覚した気がします。

同時に、それらの"自分たちが信じるもの"がないと、会社はただの個人事業主の集まりになってしまい、特に経営リソースの大半が人的資本となるweb・IT業界ではわざわざ組織や企業として活動する理由がないに等しいのではないかとも思います。

そこで、今一度、自分たちの存在意義について問い、人生の重要な時間を投じるほど、信じるにあたいするものは何かについて考え、言語化することにしました。

それをアイガーに深く関わる皆に伝える形式について模索したところ、以前のように形式的なパワーポイントではなく、(少なくとも現時点のアウトプットとしては)そう考えるに至った経緯や文脈をなるべく削ぎ落とさずに済むブログ形式が良いと考え、この形式をとることにしました。


アイガーの追い求めるテーマとは何か

アイガーの追い求めるテーマは『自己実現』です。

自己実現とは、マズローの欲求5段階説の最上位に位置するものというイメージが強いかと思いますが、様々な心理学者や哲学者がそれぞれに定義しています。

カール・ロジャーズ(アメリカの臨床心理学者)
自分の可能性を最大限に発揮するために努力をし、
その可能性を実現していくこと。
このことは、人生における究極の目標である。

トーマス・ヒル・グリーン(イギリスの哲学者)
本来持っている自我を完全に叶えること。
それが、人間の究極の目的である。

カール・グスタフ・ユング(スイスの精神科医・心理学者)
自分の強みや可能性を自律的に叶えて、
本来の自分になること。

カレン・ホーナイ(ドイツの精神科医・精神分析家)
真の自己が成長する過程のこと。
人は機会を与えられると自らの能力や可能性を自発的に発展させ、
この自発性が真の自己の力である。

アブラハム・マズロー(アメリカの心理学者)
自分の能力や可能性を最大限に活かして達成し、
本来あるべき自分になること。
人間が最後にたどり着く欲求。

※出典:https://minchalle.com/blog/self-actualization

僕自身は、自己実現について現時点で確固たる定義を持っている訳ではありませんが、自己実現とは以下のようなものだと認識しています。

●自己実現するとは自らの人生の目的を果たすことである
●自己実現は自己成長を伴うものである
●自己実現は社会への貢献を伴うものである
●自己実現は内的モチベーションを原動力とするものである
●自己実現欲とは、その他全ての欲求を十分に満たしても尚、満たしたいと願う欲求のことである


自己実現が重要だと考える理由

なぜ自己実現が重要だと考えるのか。それは自己実現こそが幸福度向上に直結するものだと思うからです。

そのように考えるに至った背景は3つあります。

1,世界幸福度ランキングを知って

幸福度とは、「世界幸福度ランキング」という形式で、国連のSDSNという機関の支援のもとコロンビア大学地球研究所が2013年より毎年「世界幸福度レポート」という報告の中で発表しているランキングで、約150カ国を対象に以下の項目について世論調査し、算出しているとされています。

①人口あたりGDP(対数)
②社会的支援(ソーシャルサポート、困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)
③健康寿命
④人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)
⑤寛容さ・気前の良さ(過去1か月の間にチャリティなどに寄付をしたことがあるか)
⑥腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか)

※出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E5%BA%A6%E5%A0%B1%E5%91%8A

よく上位は北欧諸国が多いと言われるように、2021年度のランキングだとフィンランド、デンマーク、スイスといった北欧勢が1〜10位、11位〜30位にドイツ、カナダ、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの欧米勢がランクインしており、日本は56位(54位がタイ、57位がアルゼンチン)で、先進国とされるG7の中では最下位です。

日本は1人あたりGDPや健康寿命では比較対象国の中でもかなり上位に位置するわけですが、ランキングを押し下げている主な要因となっている項目は「④人生の選択の自由度」と「⑤寛容さ・気前の良さ」のようです。

僕は、自己実現を目指すことは、経済的な豊かさだけでなく「④人生の選択の自由度」の向上、その社会貢献を伴うという性質から「⑤寛容さ・気前の良さ」の向上に繋がるものだと考えています。

また、感覚的な話にはなりますが、時代変化を考えてみても経済的な豊かさを追求する以外のアプローチが幸福度向上に必要だと感じています。

例えば1600年〜1800年頃の江戸時代の1人あたり名目GDPは現在の貨幣価値で5万円〜6万円程と言われています。現在の日本の1人あたり名目GDPは430万円程なので約80分の1です。しかしながら、江戸時代は日本の歴史上比較的幸福度が高かった時代と言われており、主観的な話にはなりますが江戸時代の人々よりも現代の人々の方が80倍も幸福度が高いとは到底思えません。

つまり、テクノロジーによるイノベーションや経済成長で、物質的な豊かさや便利さのようなものは飛躍的に向上しても、幸福度が比例するように向上するわけではないということだと思います。暮らしの便利さや物質的な豊かさは幸福度向上に直結するわけではなく、やはり幸福度を向上させるには別のアプローチが必要ということだと考えています。


2,世界は中間層の個人にはさほど関心がない

2015年9月の国連サミットで採択された「2016年〜2030年までの持続可能な開のためのアジェンダ」であるSGDsは世界的な取り組みであり、身近な企業のことを思い浮かべてもその言葉を耳にしたり、活動を目にしたりする機会が増えているかと思います。

SDGsの採択以降、特に地球温暖化や資源の枯渇、貧困など、人類全体に関わる危機に関する問題への取り組みは明らかに加速したように感じますが、一方で個々人の幸福度向上への取り組み(特に飢餓など極端な貧困を伴わない国家では)はあまり耳にしたことがなく、その領域に課題意識を持つ人自体が恐らく少ないのではないかと感じています。結局、多くの人は幸福度の向上は自分の手でなんとかするしかなく、幸福度を構成する項目のうち、足りないものを自ら補うしかないものだと思います。
※僕はSDGsを含む地球環境の保全や貧困の撲滅などの問題に対しての世界的な取り組みには賛成しています

つまり、たとえ10年や20年という時間を経て、世界中で取り組まれているいくつもの問題が解決したとしても、日本に住むほとんどの人はそれだけでは幸福度は向上することがなく、幸福度を向上させるためには自ら意欲的に足りない項目を埋める行動を起こす必要があり、自己実現を目指すことはまさにその足りない項目を埋める行動にあたるのではないかと思うに至りました。


3,自分が休職をした時の体感

自分は体調不良により2013年2月頃から2013年8月頃まで全く仕事をしていない期間を過ごし、何かに打ち込んでいる状態とは真逆の生活をしていたことがあります。この半年間は、社会保障として傷病手当金を受給しながら実家暮らしをしており、住む所もお金も話し相手にも全く困らない(家族や地元の友だちとの交流があった)期間を過ごしていました。

当時は安全や生存に関する欲求は大きく満たされていたにも関わらず、ただ無駄に時間が過ぎていると感じる虚無感のようなものに覆われ、その期間の幸福度は自分の人生の中でも最も低かったと感じています。

当時何が幸福度を下げている要因だったかを考えてみると、それは承認欲求のようなものが足りなかったことも確かにありましたが、それよりももっと、それまで持っていた目標を失い、生きる意味や過ごす時間の意義を感じれなくなり、ただ時間だけが過ぎていて自分は何も成長していないと思うことがとても苦痛でした。それらの人生の目的意識や成長実感は自己実現が持つ要素だと考えていることから、幸福度向上には自己実現を目指すことが重要だと考えるに至りました。

また、ここまでの背景について、自己実現は自分自身の幸福度向上の色合いが強いように感じるかと思いますが、自己実現の重要な要素として「自己実現は社会への貢献を伴うものである」と挙げたことからも、自己実現は他人や世の中へプラスの影響を与えるものであり、影響する他人の幸福度をも向上させるものだと考えています。

その意味でも、単なる自己満足を超えて、他者貢献になる自己実現を多くの人が目指すことは、世の中全体の幸福度向上に大きく繋がると考えています。


自己実現をするために重要なもの

では、幸福度向上には自己実現を目指すことが重要だとした時に、自己実現をするために最も重要なものは何かを考えたいと思います。

自己実現をするために最も重要なもの、僕はそれを"使命感を持つ"ことだと考えています。

【使命感】
〘名〙 与えられた任務をなしとげようとする気概や責任感。特にその任務に格別の意義と誇りをもってあたる場合の感情をいう。

出典:コトバンク

使命感とは辞書的な意味だと上記のような解釈になっていますが、僕は"使命感"とは『人生をかけて何かに取り組みたいと思う意欲』だと考えています。

【使命感】
人生をかけて何かに取り組みたいと思う意欲

誤解のないように言うと、「使命感がないと何かを目指してはダメ」だとか「使命感がないと自己実現できない」ということでは決してありません。

その上で、なぜ使命感を持つことが重要なのかというと、自己実現を目指す過程は長期的であり困難を伴うものであるため、ちょっとやそっとでは消えることのない内発的モチベーションを持つことが必須になるからです。

例えば、TEDの登壇者から熱のこもったプレゼンを聞いたり、一緒に仕事をした人の姿勢に心を打たれたり、憧れの人に出会ったりと、外部からの刺激でモチベーションが形成されることもあるかと思います(外発的モチベーション)。

しかしそれはモチベーションが心に灯る火だとするならば、他人の大きな火のそばにいる時だけその火を分け与えてもらい燃えているようなもので、そもそもの火種になるものを自分自身がもっていなければ、長期に渡り燃え続ける炎にはなりません。

燃え続ける炎の火種とは揺るぎない内発的モチベーションであり、それは時によっては他人にも火を分け与えるほどの大きさになることもあるものだと思います。

そして、最も揺るぎない内発的モチベーションは、自らの使命だと思えるほど「これにかけよう」と思うものごとを見つけ、そのものごとにチャレンジすると決めることにより形成されるものだと考えています。

余談ですが、アイガーは創業から約1年後の2016年10月に一度社名変更をしており、変更前の社名は『株式会社トモシビ』です。トモシビとは「灯火」の意であり、誰かの心に火を灯したいという想いで命名しましたが、名前にどこか勢いがなく「風前の灯」という縁起の悪い言い回しもあることから『アイガー株式会社』に社名変更をした経緯があります。(アイガーという社名の意図や背景はここでは割愛します)

また、僕はモチベーションはマトリクスとして以下の4つに分類できると考えています。

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ゲイン型:何かを得たい、何かになりたいという、プラスの感情を伴うもの
ペイン型:何かを避けたい、何かにはなりたくないという、マイナスの感情を伴うもの

2のゲイン型の外発的モチベーションとは、前述の熱のこもったプレゼンを聞いてモチベーションが上がるなどの外部からの刺激によるプラスの感情を伴うモチベーションのことです。

4のペイン型の外発的モチベーションとは、例えばノルマのような決められた目標のプレシャーがあるために必要な行動を起こすことができたり、やるべきことができていない時に叱咤激励をしてくれる人が身近にいることで、それを避けようと行動できることがあるように、他人や置かれている環境がきっかけで起こるマイナスの感情を伴うモチベーションのことです。

1のゲイン型の内発的モチベーションだけで活動できることは理想ですが、実際は2や4のゲイン型とペイン型の外発的モチベーションを適宜うまく利用しすることで、困難を伴う長期的な活動は持続しやすいと考えています。

ゲイン型かつ内発的なモチベーションを持ち、ペイン型かつ外発的なモチベーションをうまく利用する。


使命感を持てるものを見つけるためには

自己実現を目指すには使命感がある方が望ましいという前提で話を進めます。では、使命感を持てるものを見つけるにはどうすれば良いかを考えたいと思います。

僕は使命感を持てるものを見つけるのに重要なことは、深いレベルでの「自己理解」だと考えています。

ここで言う「自己理解」とは、よく就職活動や転職活動の時にするような、"その時点の判断軸を明確にする目的で行う、自分を客観視する行為"とは少し異なり、以下の要素を持つもう少し深いものだと考えています。

●生い立ちから現在までを振り返った上で、包括的に自分に対しての認識を形成していること
●性格的、興味関心、能力、身体特性など多面的に自分に対しての認識を形成していること
●自分の人生においては普遍的な価値観や考えだと思えるものを見出していること
●その価値観や考えに至った経緯を説明できること

この自己理解について、僕の場合は休職していた期間に取り組みましたが、とても大変だったことを覚えています。相当時間を要する上に、客観視すべきなのに内容がプライバシーに関わることが多分に含まれ、かつ自分以外が理解するのに困難な情報が多いことから、それらを誰かにレビューしてもらうことが難しく、ゆえに多くの場合自分で客観視するしかないという難しさが存在するからです。

僕が自己理解を進める上で助けになったのは以下の2つでした。

①それまでの自分史を書いたこと
②自分が死んだ後も後世に受け継ぎたいと思えるものごと,考えは何かを考えたこと

その結果、僕自身の②の答えは次の2つでした。

●自己実現をする人を増やすことこそが最も世の中を幸せにするという考え
●誰しもの人生が誰かに影響を与えており、価値のあるものであるという考え

これも余談ですが、2つ目の「誰しもの人生が誰かに影響を与えており、価値のあるものであるという考え」について、過去に事業化をしたことがあり、それはアルバムなどの写真と本人や関わりの深い人へのインタビューを行い、"人生を映画にする"というコンセプトの「ライフドラマ」という個人向け映像制作サービスでした。この事業が株式会社トモシビ時代のはじめの事業でした。このサービス自体はほとんど全てのケースでユーザーにとても喜んでもらえ、中には涙を流すほど感動して頂けることも多々あり、とても大きなやりがいは感じていたのですが、ただこの事業を一人で細々とやっていても世の中に何の影響も与えられないと考え、将来しっかりとした経営基盤ができた時にテクノロジーを活用して再チャレンジしようと決意し、1年半程でクローズしました。

話は戻りますが、結論としては使命感を持てるものを見つけるにあたり、深い自己理解は簡単ではないが重要な工程であるということで、アイガーとしては自己実現をテーマに掲げる限り、会社としても何か取り組みをしていきたいと思います。四半期の振り返りミーティングの際のちょっとしたワークではないもう少し踏み込んだものを考えたいと思います。

また、このあたりの話には事業化するチャンスもあるのではないかとも考えています。
例えば就活向けや転職活動向けのサービスとは異なる、社会人向け自己分析サービスです。

社会人向け自己分析サービス
●人生100年時代における自分の指針や人生の方針を見つける助けになる
●やりたいこと、熱中できるものを見つける助けになる
●深い自己理解をするからこそ、他者理解や他者への寛容度も向上する

以下の特徴も盛り込めたら尚、面白くなるかもしれません。

●遺伝的な情報から自分の特性を知れる
●自分の家系や一族としてのルーツから自分の特徴を探る

膨大な時間経過による進化の過程で自然淘汰された末に生き残った僕たちの遺伝子はとても希少で大きな価値を持つはずです。人はそれぞれ色んな特徴を持っていますが、どんな特徴も僅かな可能性を生き抜いた遺伝子の影響を受けている以上、その特徴を持つ意味や背景を考え、自己理解に活かすことは面白い取り組みになりそうな気がしています。

また、これを個人だけでなく企業に対してのサービスとして、企業のアイデンティティーを明確にすることでビジョンや価値観が明確になりより選ばれる企業になったり、幹部クラスなどの中心にいる人々へ提供することで熱量や一体感が高まるといったサービスにもできるかもしれません。

僕は、実は自己理解は、多くの社会人にとってスキルや経験,知識を身につけることよりももっと重要ことなのではないかと考えています。

人生を豊かに生きるには、知識やスキルを身につけたり経験を積むよりも自己理解を深めることの方が重要


2040年の世界像

今から約18年後、2040年の世界を想像した時にどのような世界になっているかを考えたいと思います。

以下は元日本マイクロソフト社長の成毛眞氏の本からの抜粋です。

2040年の世界像

●車の自動運転は当たり前、空を飛ぶ車も当たり前になっているかも
●ドローン配送が当たり前になっている
●あらゆるもののコンピューター化(家電、自動車、建物など至るものにチップが埋め込まれ、常時インターネット接続されデータ取得している状態が当たり前になる)
●新通信規格6Gで情報の遅延を感じることがない
●無人店舗が当たり前
●バーチャルな世界での消費時間の方が長くなっている
●再生医療やゲノム編集であらゆる難病が治療できる
●石油や石炭はほとんど使用されておらず、代替エネルギーに変わっている
●人口は1億1000万人、3人に2人は高齢者
●ベーシックインカムの導入が実現されているかも

※出典:「2040年の未来予測」成毛眞氏

ドローンやIoT、再生医療など各テクノロジーの分野での現状がどのようになっているかや、1年や3年の変化率が分かればもっと変化のスピードをイメージできるのではと思いますが、自分はまだそのような情報は持っておらず、感覚として「さすがに後18年も経てば、実際本気で取り組んでいる人たちが大勢いる上記のほとんどの項目は実現されているだろう」といった感じで捉えています。

もう少し自分のリアルな感覚としては以下のような世界になっているのではないかと考えています。

2040年の世界像

●誰かが管理・監督する仕事のほとんどはなくなっている
●各業界やジャンルにおいて、その時のテクノロジーでできることを理解した上で人が担った方が良い仕事(恐らく高度なクリエイティビティーを伴う仕事)をする人が働いている。それ以外の人はベーシックインカムのような何かしらの保障の導入で働かなくても良い状態になっており、実際働いていない人も大勢いる。
●プロジェクトベースで複数の会社の仕事を受け持つ個人事業主がかなり多くの割合に増える
●ベーシックインカムのような固定給で生活をし、それ以上の稼ぎは各コミュニティーなどでの「この人から買いたい」「この人が作ったものなら欲しい」といった人物ありきのビジネスで稼ぐという人が大勢いる
●基本的には今よりも貧しい人が増え、お金がない上に働かなくても一定の保障はあるため、暇な人が増える
●お金があまりかからなくて暇を潰せるものに時間を使う(小さなコミュニティーやゲームがもっと普及する)
●世界的に世の中の課題解決は相当なスピード感で進み、課題解決型のビジネスのネタは現在よりもかなり少なくなっている
●よって今存在する企業のほとんどは消滅しているか、「顔の見える範囲」の規模のビジネスになっている

この未来の解像度について、自分は経営者としてまだまだ足りないと自覚しており、今後より向上させていきますが、現時点での感覚としてはこのように感じています。


これからの企業に求められるもの

上記の2040年の世界を考えた際、これからの企業に求められるものは何かについて考えたいと思います。

一言で言うと、企業には「顧客や働き手からの求心力」が求められると思います。その背景となる考えは以下です。

●企業は既存ビジネスでは存続できなくなるが、単に新しいテクノロジーを取り入れたら良いという簡単な問題ではなく、その存在意義自体が問われることになる
●ほとんどの企業は優秀な労働者から選ばれることが生き残りの最重要項目になる

情報技術や科学技術が高度化するスピードがより加速し、普及するスピードもより加速している2040年の世界では、一部のそれらを普及させるインフラ側の企業を除いては「顔の見える範囲のビジネス」しか生き残ることは難しく、そもそも「その人から買いたいから」「その人と働きたいから」という理由以外で顧客や働き手から選ばれる理由がなくなってくると考えており、顔の見える範囲でのビジネス規模の企業でもなく、高度な情報技術や科学技術を普及させるインフラ側のどちらでもない多くの企業は、今とは何か別の存在意義を見出す必要があるのではないかと考えています。

その存在意義は最近よく言われるいわゆる企業としての「パーパス」や「ミッション」のようなものだと思いますが、僕はこれだけでは弱くあまり意味をなさないと思っています。なぜかと言うと、「パーパス」や「ミッション」は社会貢献要素が強く、到達し得ない究極的な目的や目標になりがちなことから抽象度が高いため、ほとんどの企業が同じようなことを掲げてしまい、求心力になりうるほどの差別化にならないためです。

僕はそこで重要なものが、企業にとっての自己理解だと考えています。

企業の歴史的な背景や当初の理念、文化、コアコンピテンシーになるもの、メンバーの価値観などから自社のアイデンティティーになるものを見出し、それを元に「パーパス」や「ミッション」を再定義することが重要になると思います。

そして、その上で最も差別化要素になるのが「深い自己理解からくる戦略」だと思います。再定義した後の「パーパス」や「ミッション」もやはりその性質上抽象的なものになるのはやむを得えず、自己理解自体はそのまま顧客や働き手の求心力としてワークするものではないため、何かしらの伝わる形に示す必要があります。それが、その「パーパス」や「ミッション」を果たすための深い「自己理解からくる戦略」だと考えています。

尚、この企業にとっての自己理解の内容を、顧客や求職者に向けて「何かしらの伝わる形に示す」サービスとして、web業界でよくあるものとしては、コーポレートサイトやオウンドメディア,アーンドメディアの制作だと思います。

アイガーのビジョン

では、その上で2040年のアイガー像はどのように考えているかという話に移ります。

まずは2040年のアイガー像として、少なくともこれは言えるだろうと思える内容です。

●webサイト制作や広告運用をメインサービスとしている会社ではない
●特定かつ単体のビジネスモデルではない
●IT関連の事業領域である(そもそも2040年でITが全く絡まないビジネスモデルはほぼ存在しない)
●関わる人の自己実現を目指しており、そこに積極的な投資をしている

もう少し踏み込んで考えると以下のイメージを持っています。

●10を超える複数の事業もしくは会社を持ち、それぞれの事業に明確なビジョンとリーダーが存在し、世の中に明確な価値を提供している(グループ構造)
●アイガーに深く関わるメンバーが、自らの自己実現を伴う事業に携わり、事業を通じて一定レベルの自己実現を果たしている
●アイガーは金銭的,人的資本の提供や、顧客の発見,獲得、などグループ会社のビジネスの成長を支援する存在になっている
●アイガーはクライアントビジネスを通して様々な業界と関わることで、事業のタネを見つける場となっている
●アイガーはどんな事業を行うにも必要な基礎体力に相当する能力や知識を身につけることのできる場になっている
●アイガーはクライアントの自己実現(理念の実現)を支援するためのサービスを提供している

尚、組織体制としてはこのようなグループ体制をイメージしています。

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最後から2つ目の「アイガーはどんな事業を行うにも必要な基礎体力に相当するスキルや知識を身につけることのできる場になっている」についてですが、関わるメンバーが自分の自己実現のテーマを見つける見つけていないに関わらず、何を事業とするにせよ必要なスキルや能力のイメージで、それらが身につく教育プログラムや社内体制を持っていることは働き手から選ばれる会社になる上でも非常に重要なことだと考えています。

また、最後の「アイガーはクライアントの自己実現(理念の実現)を支援するためのサービスを提供している」についてですが、これがどんなサービスで構成されるかは現時点ではまだ分かりません。けれども、理念の実現について最近一つのフレームワークのような考え方を持っています。

前提として理念の実現の前に、理念からくるビジョンの実現があるかと思いますが、そのビジョンの実現は「ビジョンの実現可能性 = 理念に対する想いの純度 × 未来の解像度 × アプローチの質と量」 というように考えています。

ビジョンの実現可能性 = 理念に対する想いの純度 × 未来の解像度 × アプローチの質と量

クライアントビジネスを考えた時、この「理念に対する想いの純度」はコントロールしづらいものなので、そもそも「理念に対する想いの純度」が高いクライントと取引をすることが必要になります。

そもそもなぜB2Bビジネスをするのかという答えもここにあり、「理念に対する想いの純度」の高い企業の場合、その企業の自己実現(理念の実現)はそこに関わる多くの人の自己実現に影響すると考えるからです。

アイガーとしては残る「未来の解像度」と「アプローチの質と量」におけるサービスを生み、強化していくイメージをしています。

「未来の解像度」を上げるサービスとして、簡単に思いつくレベルの例を上げるならば「クライアントの5年後像を提案するITコンサル」や「各業界ごとにテクノロジーの社会実装をしている先端事例を集めたメディア運営」などですが、これだと単純すぎるため、もっと深く考え、新たに生み出していく必要あります。また「アプローチの質と量」に関するサービスとしては、リソースとしていかに素晴らしいクリエイターやエンジニア,コンサルがいるかということもありますが、こちらについても高度に問題解決できるサービスを今後生み出していきたいと思います。


今後の事業方針(2022年4月〜)

今後の事業方針について考えたいと思います。

正直な気持ちを書くと、この事業方針はより多角的な視点から検討するために今のメンバーで再考したいと思っているのですが、再考するにしてもまずはじめの指針になるものや、議論する上でたたき台は必要かと思うので自分の考えを書きたいと思います。

まず、現在(2022年4月時点とする)のアイガーの全体像としては下記の図のようになります。(見えにくいですがイニシャル表記で各メンバーのポジションを記載しています)

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事業区分は以下の3つです。

1,デジタルマーケティング事業
2,Terravie事業
3,システム開発事業

2024年6月時点(9期終了時点)では次の全体像になっている予定です。

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全体にまたがることとしてはこの約2年で以下の変化があります。

●セールス&PM領域の人材を何名か採用している
●デジタルマーケティング事業やシステム開発事業の事業責任者を育成、もしくは採用している
●CTOを採用している
●管理部門の統括者を採用している
●外部パートナー組織が拡張している
●デジタルマーケティング事業のサービスが高度化、ラインナップが強化されている
●新規事業(もしくは新会社)を立ち上げている

この2年後像の実現のために注力する取り組みは下記です。

●採用(セールス&PM)
●育成と抜擢
●サービス力強化
●案件数の増加
●外部パートナーの拡張
●新規事業の構築

これらの詳細については、以下に各事業ごとの今後の方針として記載していきます。

1,デジタルマーケティング事業の事業方針

この事業の目的は「クライアントの自己実現(理念の実現)を支援する」です。顧客は業界問わず売上規模約10-100億円の中小企業です。現状のサービスとしては、webサイト,ECサイト制作、広告運用、コンサルティングなどです。今後はこれらのサービスをただ今まで通り提供するだけではクライアントから必要とされず、事業目的を果たせません。

求められることとしては、一つ前の見出しの本文に、『「未来の解像度」と「アプローチの質と量」におけるサービスを生み、強化していくイメージ』を持っていると書きましたが、今後、クライアントの未来像を描き、現状の整理と未来像(As is To be)の間を埋める提案をすることがより求められます。そのため、高いコンサルティング力を持ったセールスやPM職の育成と採用が必須となります。

その上で、「アプローチの質と量」に該当する、質に影響するサービスのクオリティーと、量に影響するサービスの汎用性や生産性を向上させることが、当たり前の話ではありますが必須となります。

このサービス力強化についての取り組みは、以下の3パターンが存在し、3パターンとも進めたいと考えています。

1,社内プロジェクトとしての取り組みを地道に継続する
2,すでに高いクオリティーと汎用性を持っている会社と提携をする
3,サービスに高いクオリティーと汎用性を再現できる人を採用する

他に重要なこととしては下記だと考えています。

●社内メンバーは全員、要件定義ができるコンサル営業やプロジェクトマネジメントのできるPM職になる必要がある
●社内メンバーが必要なスキルセットを習得し、組織としてのケイパビリティーを充実させる
●外部パートナーのさらなる組織化が必須
●案件の窓口になれるかが勝負のカギ

「●社内メンバーは全員、要件定義ができるコンサル営業やプロジェクトマネジメントのできるPM職になる必要がある」について

事業のコンセプトからして、特定のサービスやスキルに秀でた専門家としてのキャリアが無いわけではありませんが、コンサル営業やPM職の方がより求められます。全てのデジマに関するスキルセットを身につけることはできないので、各専門職のパートナーと連携し、セールスかプロジェクトマネジメントを行うことが求められます。尚、webサイト制作におけるディレクターもPM職に該当します。

「●社内メンバーが必要なスキルセットを習得し、組織としてのケイパビリティーを充実させる」について

現時点では、アイガーのメンバーが身につけていくスキルセットを下記のように定めており、このうちステップ3のスキルセットまで身につけばは文句なしのセールス職やPM職におけるマネジメントレイヤーになると考えています。

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しかし、これらのスキルセット全てを、セールスやプロジェクトマネジメントができるレベルにカバーしている人は日本でもわずかだと思うので、案件として携わる機会が多く、自身も得意だと思う領域から1つずつ広げていくことになるはずです。その結果、組織全体としてのケイパビリティーとして、ステップ3までの領域を全てカバーしたいと考えています。

また、今回新卒第一号社員の入社にあたり、彼には研修を受けてもらう予定です。今後、既存メンバーや中途で入るメンバーについての研修体制も強化していきたいと考えています。

「●外部パートナーのさらなる組織化が必須」について

上記のケイパビリティーを持つためには、社内メンバーはセールスかPM職になるため、各専門職はパートナーになります。今後、このパートナーをいかに組織化できるかが勝負ポイントになるため、パートナーの組織化に力を入れていきたいと思います。

「●案件の窓口になれるかが勝負のカギ」について

「にわとりかたまごか」といった話になりますが、案件の窓口にならないとパートナーを組織化しても意味をなしません。そういう意味では今よりももっとセールスに力を入れる必要があり、プロジェクトマネジメントに多くの時間を要することを考えるとアウトバウンドよりもインバウンドのセールス体制の構築を急ぐ必要があります。その点では、現在まだ完成していないコーポレートサイトリニューアル兼オウンドメディアのリリース、shopify広告の配信、僕自身のSNS運用、に力を入れていきます。


2,Terravie事業

次にTerravie事業です。Terravie事業の目的は明確で株式会社Terravieのグロース(成長)を支援することです。そして株式会社Terravieの企業目的は以下の3つです。

①地球に暮らす、すべての生き物にとって持続可能な世界を実現する
②生き物の生態・魅力を研究し、伝える
③こころの豊かさを生み出す
※出典:https://terravie.co.jp/

株式会社Terravieとしての具体的な事業方針は別の機会にまとめたいと思いますが、アイガーとしてのTerravie事業の方針は以下になります。

①人的リソースの提供
②金銭的な投資
③顧客の発見,獲得

②人的リソースの提供について

現在は株式会社Terravieの役員メンバーを除いては、コーポレートサイトやメディア制作などの一部後方支援的な活動を行っている状態ですが、今後はTerravie専属の採用にも力を入れていきたいと考えています。(具体的なポジションや時期は今後株式会社Terravieの役員メンバーで協議する)


②金銭的な投資について

株式会社Terravieの設立の際の出資金を除いては、アイガーは金銭的な投資を行っておらず、現在の運転資金は共同出資先に提供頂いている状態です。

具体的な内容はまだ決めていませんが、ビジョンに関する見出しの本文に「●アイガーは金銭的,人的資本の提供や、顧客の発見,獲得、などグループ会社のビジネスの成長を支援する存在になっている」と記載していることからもアイガー本体からも金銭的な投資を継続的に行う体制にしていく必要があると考えています。


③顧客の発見,獲得について

こちらについては、アイガー本体の社内メンバーがTerravie事業に関する理解を深め、顧客の発見や獲得、PRなどへの協力が必要だと考えています。

その協力体制のためには、Terravie事業に関する社内理解の場を継続的に設けたいと思います。


3,システム制作事業

この事業の目的もデジタルマーケティング事業と同様、「クライアントの自己実現(理念の実現)を支援する」です。顧客は業界問わず売上規模10-100億円程度の中小企業を対象とします。しかし、現状はまずは継続的な案件発生を優先し、システム制作会社からの下請けを中心に行っています。何件か代理店や直案件も商談ベースで発生してきており、今後は直クライアントにシフトしていく予定です。

システム制作を事業化した背景としては、「クライアントの自己実現(理念の実現)を支援する」ためには、アイガーのケイパビリティーとしてシステム開発を提供できる必要があり、そのためのPM機能を持つ必要があると考えるからです。

また、良い新規事業はビジネス創造とテクノロジー活用の掛け算で創出できると考えていることから、最新のテクノロジーをキャッチアップしており、かつプロトタイプをサクッと作れるエンジニアと普段から仕事をすることは新規事業創出の点にとっても重要だと考えるからです。

事業の方針は以下になります。

①直クライアントのシステム開発にシフトしていく
②システム開発会社への営業もしばらく継続
③社内メンバーはセールス職とエンジニアもできるPM職のみ
④外部パートナーの組織化

①直クライアントのシステム開発にシフトしていく

現在は商談中を除けば稼働中の案件すべてシステム制作会社からの下請けです。既存の直クライアントにむけての提案余地はかなり存在しており、まずは提案機会を増やしていくことからはじめていきます。


②システム開発会社への営業もしばらく継続

一方システム開発会社への営業は、定期的な案件獲得とパートナー開拓の点からしばらくは継続していく必要があると考えています。

ここはすでに繋がりのある企業へのエンジニアリソースの提案が中心です。

③社内メンバーはセールス職とエンジニアもできるPM職のみ

こちらについても当面は社内にエンジニアという専門職自体を抱えるのではなく、社内メンバーはセールスと、エンジニアもできるPM職のみで構成していくべきだと考えています。(システム制作事業ではなく、別の新規事業自体でエンジニアの専門職を採用する可能性は多いにある)

④外部パートナーの組織化

社内メンバーはPMのみで構成するため、実稼働するエンジニアは外部パートナーとなります。パートナーはすでに現在パートナーになってくれている方からのリファラルを中心に広げていきたいと思います。


新規事業について

また、既存の事業区分にはない新規事業の立ち上げはメンバーの自己実現と重なる領域で行っていきますが、「前年度の利益の◯割を投資する」「黒字化までの期間を〇年とする」など一定のルールを定めた継続的な投資をしていきたいと考えています。もう一つ行いたいこととしては事業責任者を担当新規事業の専任にすることです。既存事業と並行して進めることは時間のマネジメントがなかなかに難しく、どちらかの事業がおざなりになってしまう可能性が高いことから、既存事業の組織化を進め、新規事業に専任の責任者を配置できる体制にしていく必要があると考えています。


最後に

かなり長くなってしまいましたが、形式的な資料としてではなく本音としての理念や考えについて書いたつもりです。

アイガーでは、「人生をより価値あるものに」という企業理念を掲げています。関わる人の人生がより価値あるものになるように、関わる人にとって他のどの環境よりも自己実現に近づける会社になっていきます。

その過程で、中期的なビジョンや事業構成は皆の力を借りて共に考えていきたいと思います。力を貸してもらうよう引き続きよろしくお願いします。



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