「理論的に正しい起業」なにをだれに売るか

「理論的に正しい起業」ってテーマでちょっと話してみようかなって思うんだ。
そうそう、起業っていうとさ、まずお客さんをどうするかって考えるじゃん?誰をターゲットにするかってね。一般の人をお客さんにするのか、企業にするのかで、戦略がガラッと変わってくるわけよ。

例えば、「B2B」にするのか「B2C」にするのかって感じでね。企業をお客さんにすると、法人営業が必要になるわけだし、そうなると窓口になる人とか意思決定が絡んでくるから、正直ちょっと面倒くさいよね。まず話を聞いてくれる人を探して、その人が社内の人を説得してくれるようにサポートして、その企業の決裁を待って、、ってね。Webで御社のサービスを見つけましてねーみたいなきっかけでトントン進むなんて転校初日に交差点で同じクラスのやつに激突するぐらいの確率だよ。ただ、取引相手が企業ですってのは起業のパターンとしては一番多いパターンではある。だけどそれは、建設業界みたいにもともとちょっと大きな工務店に所属してた職人さんが独立するって場合みたいに元のコネクションを使って仕事をもらうこともできるって時。これは「起業」っていうよりも「独立」って言った方がいいかもしれない。ITのメンテナンスで独立するケースも多いよね。

でもさ、そういうコネがない状態でいきなり企業相手にサービスを売ろうとすると大変で、企業向けのすごいいいアプリを思いついてそれをなんとか形にしたところで、いざそれをを売り込もうとしても、「これ買ってください!」って説得するのが面倒くさいんだよね。

https://now-village.jp/blog/digitalmarketing/2392


そこでゼロから起業しようっていうなら消費者向けの商品を考えた方がいいんじゃないかって話になるんだけど、これにもいろいろあるんだよね。アサエルの購買行動理論ってのがあって。これによると、消費者の商品に対する関与度合いや消費者がブランドの違いをどれだけ感じるかで、その行動を4つに分けて考えるのよ。

https://dcri.jp/report/pc_vol_3/

まず、「関与」って何かっていうと、簡単に言えば、消費者がその商品やサービスにどれだけ興味やこだわりを持っているかってこと。例えば、洋服にこだわりが強い人は、どのブランドを選ぶか、素材やデザインがどうかっていうのをすごく気にするよね。そういう場合、その人にとって洋服の「関与」が高いってことになるんだ。どの商品なら関与が高い低いってのがあるわけではなくて、その人個人の問題だな。例えば一般的に関与が高いと言われている車とかの高級品であってもテキトーに買う人だって中にはいるわけで。ただ、起業するときには自分が扱おうとしている商材は一般的にどの類型に当てはまるかなって考えておかないといけない。「関与」ってのはどちらかと言えば買う人自身の問題。

次に「ブランド間知覚差異」だけど、これはブランド同士の違いがどれだけ消費者にとって明確かってこと。例えば、映像のプロがSONYと中華製のカメラを比較するときみたいに、消費者が「このブランドとあのブランドは全然違う」って感じる場合、ブランド間の知覚差異が大きいって言えるんだよね。素人だとカメラの良し悪しなんて壊れるか壊れないかぐらいだからこの場合は知覚差異が小さい。自動車もそうかも、車好きの人がBMWのステアリング性能がうんぬんとかいってたけど、おれには全然わからなかったし。逆にその人にはフェンダーとフェルナンデスの違いはわからないけどおれにはわかる、みたいなね。これも人によると言えばそうなんだけど、商品ごとにどの類型に当てはまりそうかなと考えておくのがいいね。「ブランド間知覚差異」ってのはどちらかと言えば商品そのものの問題ね。

情報処理型

例えば、関与が高くてブランドの違いもはっきりしてるものって、さっきの例だと車とかオーディオとか楽器とか、すごく吟味して買うようなものだよね。こういう分野で勝負するなら、しっかりした差別化が必要なんだ。でも、そこまで差がないなら、消費者にしっかり吟味されて厳しい戦いになるかも。起業したての人がこのフィールドで戦うのはつらいよね。明らかに差別化できている機能があるならここを狙うのもいいよね。たとえばレストランならハラル対応ができているかどうかとかね。甲殻類アレルギーの人向けに特化するとか。ありそうでなかったものを提供できる技術なり、ニーズがなさそうなものでもそのニーズが確実にある立地なりを確保できるならアリだね。絶対に他とは違うんですぐらいの差があるといいけど、その場合の弱点はそんなニーズが存在しないことね。

不協和解消型

一方で、関与が高いけどブランドの違いがわかりにくいものって、家とかかな。オレにとっては車もそう。結局買ったあとで「やっぱりこれでよかったのかな?」って不安になったりするんだけど、他と比べたわけじゃないから「まあ、これでいいか」って自分に言い聞かせる感じ。人によっては「いやいや車は情報処理型だよ」っていうかもしれない。でも最近車を買った身としてはいろいろ比較した結果よくわからんかった。学校とか冠婚葬祭とか人生に一回しかないようなものは特にこの類型に当てはまるよね。関与は高いからいろいろと調べるんだけど、結局値段の高い低いぐらいしか違いがわからない。じゃあ値段で決めるかっていうとここだけなぜか「高い方がいい」とかなっちゃう。でも名前が知られてないとなんでこんなに高いねんとか言われちゃう。なのでここも起業したての人が狙うにはつらい領域。この類型の商品を買う時は結局その営業担当者が信頼できるかどうかだったりする。某Maz〇aの車を買おうかと思った時に営業担当者の爪が汚くてそれだけで買うのやめたからね。B○Wは担当者の腕時計が金ピカで趣味が合わなそうだからやめた。車の性能には一切関係ないんだけどね。

習慣型、慣性型

で、関与が低くてブランドの違いも小さいものって、歯磨き粉とかトイレットペーパーみたいなものだよね。いつも使ってるやつを買うだけで、新しいものを試す気にもならない。こういう習慣型の消費行動に入り込むのは難しいんだよ、みんな慣れたものを買っちゃうから。Amazonで「前回はこれを買いましたね」って出てくるとまぁ今回もそれでいいかって思っちゃうじゃん。あえて冒険しようとも思わない。歯磨き粉とかどれでもいいんだけど、味が変わるのはなんか嫌、そんな感じ。ここも入り込むのは難しいよね。冒険しようと思ってない人に、「わが社の製品はあなたがお使いのいつものやつとそんなに変わりませんよー」とかアピールしても、じゃあなんでそれを買わなきゃいかんねん、みたいな。一回入り込んでしまえば勝ち確みたいなところはあるから起業してある程度軌道に乗ってきたらこの辺を狙うといいよね。だからYoutuberはプロテイン売ってくる。サプリと化粧品は儲かる。これ豆な。

バラエティーシーキング型

でも、関与が低くてブランドの違いが大きいもの、ここが起業のねらい目だと思うんだけど、例えばペットボトルのジュースとかはどう?ファンタオレンジとC.C.レモンって全然違うじゃん?でも、「たまにはファンタにしてみようかな」って気軽に試せるよね。こういうバラエティーシーキング型って呼ばれるものが、理論的にはビジネスを始めるにはベストな商材だね。まぁ実際問題ペットボトルの飲み物だとコンビニにおいてもらうのが難しいけどね。売場をどうするかってのは別問題としてね、試してもらえそうな領域でビジネス始めるのがいい。最初に使ってもらうってのは本当に難しいから。売る場所は難しいけど、ウーバーイーツなら申請すればおいてもらえるからいいよね。2か月ぐらいかかるらしいけど。ゴーストレストランが流行ってるってのもそんな要因があるよね。売る場所は比較的簡単に確保できるし、その日の食べるもの程度なら消費者はいろいろ試してみようって領域だし。ケーキとかは微妙だよね。ケーキは「関与」が高い。

ただし、重要なのは「バラエティ」のひとつとしてちゃんと存在できること。ありふれた商品を提供するだけじゃダメなんだよね。「ちょっと試してみたいな」って思わせるぐらいの個性が必要なんだ。普通の居酒屋より、エスニック居酒屋とか激辛料理居酒屋の方が面白そうじゃん?たんぱく質多めの筋肉居酒屋とか、量は多いけどカロリーは低いダイエット居酒屋とかいいよね。

実際、中小企業診断士協会がキッチンカーの成功パターンを調べたら、珍しい国の料理を提供するものが成功してるんだって。一方で、普通の唐揚げ弁当を売ってるところは、コンビニとか他のお弁当屋さんと比べられて負けちゃうんだよね。結局、ほとんど同じものだとみなされた時点でもう値下げするしかなくなって、それは負けパターンだよね。

https://www.j-smeca.jp/attach/kenkyu/honbu/r4/kitchencar.pdf

だから、理論的に正しく起業しようとするなら、まずは消費者向けの商品を考えるべき。特にバラエティシーキング型の商材を選ぶといいよ。ただ、しっかり個性を出して、「ちょっと試してみようかな」って思わせることが大事だな。ま、飲食店は開業率も高ければ廃業率も高いんだけどね。あとはPDCAを速く回せるかどうか。売れた売れなかったの結果が早く出てくるからそこからどう改善できるかどうかという問題は次回以降に。

ってことで、今日はここまで!

いいなと思ったら応援しよう!