「優等生」という概念にコンプレックスを抱いたまま大人になった人が書く太宰治のパロディ.1ー1
以下、太宰治「猿面冠者」パロディです。
原作知らなくても楽しめるはずです!
少しでも覗いてもらえると幸いです
遊びの誘いも、
三週間後にテストがあれば、勉強をしなければいけないと断ってしまう。
テストが終わってから誘うと、次の小テストの準備をすると言って断る。土日はことさら、課題が終わってからでないといけないと言って聞かない。彼女が私服でいる姿はツチノコと同じ次元で、その姿を図書館以外で見かけたら雨が降ると言われている高校生がいる。
この性質は彼女を青春の遊びから遠ざけた。彼女もこのまま青春を棒にふったままではいけないと思っていた。しかし勉強をないがしろにはしたくない。勉強さえしていれば安心できた。課題が終わればようやく肩の荷が降りた。課題を終わらせないまま日付をまたぐと動悸と呼吸困難に見舞われた。
そのような少女が選んだ部活は文芸部であった。活動時間は自由で、年に一回発行される校内雑誌に載せる作品を一つ作ればよい。自主的に活動の幅を広げる部員もいるが、最低限、この校内雑誌用の短い作品が作れれば部員として活動したということになる。
ここならば、「青春」があったとひとまず胸がはれると思っていた。
これを読んでいる方々は、風の便り、というものをご存知だろうか。太宰治の猿面冠者という小説で人生の岐路にたった時、ひらひらと訪れる、素敵な便りである。
彼女がこの風の便りというテーマを借りて小説を書いたらどうなるのだろう。
続く