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Heart Waves

流れ行くものに見つめられ
離れ行くものに見つめられ

何ひとつ変わることのない世界で
呼吸を始める悲しいものたちへ
蔑まされた夢を捨て去って
生きてゆくのが正しいのでしょう

蒼く、広く、空は
悲しいぐらいに遠過ぎて
それでもボクに降り注ぐ
無限の波に心が膨れ上がる

I am here on heart waves.
I am here on heart waves.

 この曲をDTMで録音したのは、2007年である。だが、原曲というべきものを1989年、つまり平成元年に4トラックレコーダーで録音している。その原曲は2007年当時はもう朧げで、なんとなくゆったりとした曲だった記憶しかなかった。歌詞のメモは残っていたので、改めて作り直したものなのだが、歌詞の叙情性とは異なる激しいビートの曲となった理由は何か、考えてみた。それは、両親の他界に他ならず、次は自分の番だという意識の顕在化と裏腹の生の執着みたいなものがあったのでは、と思う。それは、"I am here on heart waves"という節を2007年に付け加えたことに伺える。
 では、1989年当時のこの歌詞の発生過程には何があったのか。これは、大学を卒業し就職したことが影響しているはずなのだが、そうとも思えない。学生時代の最後の方は、当時の右翼、左翼の本を読み、これから政治または未来を考える上で混沌とした状態だったことは影響していると思う。このあたりは、別の曲で詳しく書く予定がある。
 こうして、文章に起こしながら記憶をたどると、「蒼く、広く、空は」が最初の一文だったことを思い出した。誰かの詩にそのような一節があって、それを膨らませて詩を書いたのだと思う。色々、語句を組み合わせてGoogle検索してみたのだが、これというものはヒットしなかった。なので、この歌詞の端緒は不明だ。今在る歌詞を手がかりにその何かを考えてみると、やはり、「独りで生きる」、ことの自覚なのかもしれない。
 さて、"Heart Waves"の意味するものは何だろうか。Googleで検索すると、ありがたいことに"Heat Waves"の検索結果を教えてくれる。この曲は大好きなのだが、これではない。当たり前な表現ではないのだろう。言葉にすると、「多くの人の心の波動が大空で共鳴する」ようなイメージ。Microsoft Designerに可視化してもらおう。

多くの人の心の波動が大空で共鳴する

 おお、なんとなく、分かったような気がする。インド哲学の影響のようだ。数冊の本を読んだだけだが、詩的なイメージを大いに喚起するものだと思う。

 梵我一如(ぼんがいちにょ)はウパニシャッドの中心思想であり、宇宙の根本原理であるブラフマン(梵)と個人の主体であるアートマン(我)とが同一であるという考えです。宇宙と個人とを対応させて、個人を知れば宇宙がわかると考えるところにインド思想の特徴があります。個人つまり、自分自身を知る方法は、身体全体を使った瞑想です。このように、インドの思想は、個人の宗教的体験のなかから生まれてきました。

https://www.otani.ac.jp/yomu_page/kotoba/nab3mq000001vr5h.html

 では、この曲について書いていこう。曲の雰囲気はU2のような、雄大さや直線的なビート感だ。ただ、特徴的なのは、ベースのリズムだろう。このリズムは、80年代ユーロービートかディスコサウンドか、このあたりからボクは影響を受けたのではないか。世代ど真ん中である。ちゃんと聞いていたわけじゃない、どこかで耳にしたものだ。流行歌の影響というのは、意外と侮れない。でも、Youtubeで色々聞いているうちに、このリズム、どこかで結構聞いた気がしてきた。そして、ああ、これだ、と。中学生ぐらいだったかな。

 さて、ボクのこの曲は、2007年作成なので、Garagebandでの録音である。使っていたのは、iBook G4だ。今でも、押し入れのどこかにしまっている、もう捨てられない過去の思い出だ。なので、シンセ系は、Logic Proのものか、KV331 Audio社のSynthmaster、Arturia社のAnalog Labに差し替えている。左から聞こえるオルガンの音は、Logic ProのAlchemyの音だ。

 アコースティクギターは、YAMAHAのCPX-700。IIがついた後継機も既に生産完了品だ。「人生最後のギター」として、アコースティクギターの選択もまだ生きている。ドラムはBFD3なのだが、ここまで音を重ねてしまうと、キックが埋もれてしまうので、単独の音はペタペタしているキックを選択して、それをEQ、コンプで厚みを加えることにした。それでも、どうにかならないものか、と思いつつの公開である。

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