Ep.1-3
通っていた高校は私立だったけれど、
校舎が全体的に古い。そしてしきたりも古かった。
ノックをしないでドアを開けたら最初からやり直し、先生の機嫌が悪かったらその場で怒鳴られる。
私は、先生から怒られることは見放されることだ、と思っていたので、そういったシキタリを忠実に守った。
けれど、事務室のドアを私はノックしないで入る。事務室の扉は自動ドアになっていたからだ。
「こんにちは。」
「こんにちはー。配電室の鍵かな?」
「あ、はい!ありがとうございます。」
定期テスト後は毎日配電室に行く必要があったので
こんな会話を月曜日から土曜日までほぼ毎日した。
高校1年生、東村さんとの会話は、これだけ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?