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兵庫県知事問題についてコメントを求められた場合、どう言えば良いかを考える

どうも予決研です。さて斎藤元彦さんに関する「怪文書」を発端に、兵庫県は大騒動になっているわけですが、兵庫県知事問題についてコメントを求められた場合、どう言えば良いか、それっぽくまとめてみたいと思います。

そもそもどういう騒動だったのか?

NHKweb

知事選に至るきっかけになったのは、兵庫県の元幹部が作成した文書だ。斎藤のパワハラの疑いなどを告発する内容で、ことし3月、報道機関などに送られた。
斎藤は「事実無根の内容が多々含まれている」などと批判。その後、元幹部は県の公益通報制度を使って内部通報を行った。

しかし県は元幹部を停職3か月の懲戒処分とした。

県議会は、事実関係を調査する必要があるとして、6月に地方自治法に基づく百条委員会を設置。元幹部は証人として出席を予定していたが、その前に遺体で見つかった。自殺の可能性があるとみられている。

百条委員会では斎藤や元副知事などへの証人尋問が行われた。斎藤はパワハラの疑いについて「必要な指導だと思っていたが、不快に思われた方がいるなら心からおわびしたい」と陳謝した。

また、告発文書で指摘された、出張先などでの贈答品の受け取りは認めた

告発内容の信憑性は?

告発内容


告発内容については、HUNTERに掲載されていました。

具体的には、
①公益財団法人理事長ご逝去に至る経緯
②令和3年の知事選挙における県職員の事前選挙活動等
③次回知事選挙に向けた投票依頼
④知事が贈答品を受け取っていることについて
⑤知事の政治資金パーティー実施にかかるパーティー券の購入依頼について
⑥阪神・オリックス優勝パレードにかかる信用金庫等からのキックバックについて
⑦知事のパワーハラスメントについて
といった項目になっています。

私も告発文を読んでみましたが、大部分が伝聞になっていて、信憑性に疑問がある個所も多い一方で、贈答品やパワーハラスメントについては、信憑性が全くないとは言えないという印象でした。

職員アンケート結果(文書問題調査特別委員会)

それで、告発文書の内容について信憑性を確認するために、百条委員会で実施された職員アンケート内容を見てみます。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/documents/bunsho_questionnaire1011.pdf

数字だけ見ると、全項目について「A:目撃(経験)等により実際に知っている」に数字が入っていますが、必ずしも斎藤県知事に関する内容だけではなく、なぜか井戸前県知事に関する記載も含まれており、数字だけみてもあまり意味はなさそう。

ただ、贈答品やパワーハラスメントについては、具体的に「A:目撃(経験)等により実際に知っている」

結論、告発文書の内容の多くは事実として立証できなさそうだが、贈答品やパワーハラスメントといった一部分については事実、もしくはそれに類する内容があったと認められるのでは?という内容でした。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/documents/060823_2.pdf

ちなみに、X上で起きている議論で、アンケート結果が何件あったという議論はあまり意味がない気がしますね。知事が日常的に関係する部署・職員は限定的でしょうし、同じ事実について複数見聞きした人もいるでしょうから。

記者会見の議事録(2024/3/27)

記者:今日、発表のあった人事異動の関係でお伺いします。退職されるはずだった西播磨県民局長が役職定年で残るという、4日前の異例の人事でしたが、知事として、4日前での変更になった経緯を、話せる範囲でお聞かせください。

知事:当該者につきましては、県民局長としてふさわしくない行為をしたということ、そして本人もそのことを認めているということで、本日付で、県民局長の職を解きました。内容は、先ほど人事課から説明したとおりです。

記者:詳細は、まだ話せないのですか。

知事:本人も認めていますが、事実無根の内容が多々含まれている内容の文章を、職務中に、職場のPCを使って作成した可能性がある、ということです。
それで今回の対応をしました。
この当該内容の文書には、事実無根の内容が多々含まれていることなので、職員等の信用失墜、名誉毀損など、法的な課題がすごくあると考えています。
現在、被害届や告訴なども含めて、法的手続きの検討を進めているところです。
(中略)

記者:退職を取り消した職員に関してですが、組織の中で誹謗中傷するケースや手紙が出回ることは、希にあるかと思います。
今回、退職4日前に退職を取り消したのは、知事として看過できないと判断したのですか。

知事:副知事とも相談しながら対応しました。
職務中に、職場のPCを使用して、事実無根の内容が多数含まれ、かつ、職員の氏名等も例示しながら、ありもしないことを縷々並べた内容を作ったことを本人も認めているので、名誉毀損や信用失墜、県へ業務上も含めて大きなダメージを及ぼしています。

県立考古博物館について
知事:
特権的な意識を持っているつもりはないですが、その時は本当に道が続いていて、向こうの方に、東入口の前に2人が待っていたので、私は車がそのまま行くんだと本当に思っていましたから、車止めというか便宜的に置いていたものをのけ忘れていたのではないかと本当に思いましたので、それは、幹部職員としてのマネジメントがしっかりとできていないんじゃないかということを指摘させていただいたということです。
車の進入禁止区域だということとかの認識も全くなかったですし、結果的にはそういうご指摘があれば、これから反省はしたいと思いますけども。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/governor/g_kaiken20240904.html

ラジオ関西:
去年1月のスカイドライブ社との締結式に関して、職員の証言で、知事に説明しようとしていたら、「聞いていない、何それ」という話だったと思います。
私も締結式を取材していまして、非常にいい会でした。
おそらくスカイドライブ社からすると、兵庫県との締結は、大阪府や大阪市に次ぐぐらい大きかったと思います。
それだけバリューのあるものですので、知事は事前に幹部クラスから何か聞いていたのではないかと。突然来て知らないということは不自然なんですね。
もし、それが本当に聞いていないのであれば、前さばきの段階で、県の幹部の中で問題があったのではないかと思いますが、時系列等を確認させてください。

知事:
スカイドライブ社との連携協定をした、素晴らしいものだったということはもちろん覚えていますが、この間も指摘されましたが、私、そこはあまり記憶がなくて、どういうタイミングで「聞いていない」と言ったかはあまり覚えてなくて。
ただ、一般論として、私も人間ですから、一度聞いたことを覚えていないことも当然ありますし、それで、「聞いていないよ」ということも当然あるとは思うのですよね。
それは、私の能力が不足していたということがあるのかもしれないですが、そういうこともありますので、そこはいろいろなケースがあると思います。
ただ、結果として、職員が聞いていないというふうに言われたということで不快に思われたら申し訳ないと思っていますが、そこはいろいろなケースがあると思いますので、すべてのことをちらっと聞いたから、覚えているかというとなかなか難しい面もありますね。

ラジオ関西:
確かに、能力云々の話ではないと思います。
知事もプレゼンテーションされたり、かなり本格的な締結式だったと思います。
例えば、大枠でこういうことがあるという話は聞いていたが、具体的な知事へのリクエストなどがないから、聞いていないという発言になったのかと思ったのですが、そういうことではないのでしょうか。

知事:
全然、覚えていないです。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/governor/g_kaiken20240904.html

読売新聞の報道

2022年11月7日、県西部の上郡町で行われた地域づくりの会合に出席し、特産のワインが話題に上がった際に、「まだ私は飲んでいないのでぜひまた、(中略)折を見てお願いします」と発言した部分が公開された。
(中略)
斎藤知事は19日、記者団に、「折を見てお願いします」などの発言について、「一般的な社交儀礼の会話だ」と強調。「対外的発信を応援してほしいと言われた。(ワインは)置いておくわけにはいかないので、自宅で飲んだ」と説明した。一方、このワインをSNSなどでPRする活動は行っていなかったといい、「機会があればこういうおいしいワインがあると言いたいと思う」と述べた。

怪文書配布を公益通報として扱うべきだった?

野村修也氏の見方

この指針は法11条2項に定める体制整備義務の具体化をはかったものです。法11条2項は、公益通報のうち3条1号及び6条1号に該当するもの(役務提供先等に対する公益通報)についてのみ体制整備を求めていることは条文上明らかです。言い換えれば、本件のような3条3号に当たる公益通報には適用されません。(2:20 PM · Nov 7, 2024
公益通報者保護法自体は、こうした解釈を前提に立法されたことは明らか。指針で法律は読み替えられたと主張する人がいるが、行政が立法を覆すことを認めるべきではない。この法制度の建て付けは良くないが、だからといって、法律で命じられていないことをしなかった人を「違法」者扱いすべきではない。(3:39 PM · Nov 7, 2024

緩い働き方や天下りなどの既得権を変えて欲しくない職員と、それにイラつき叱責を繰り返す知事。どちらも低次元なので、出て来る話も学級会レベルのものばかり。現状はメディアが吹かせる追い風に乗って職員側による知事追い出しが奏功中だが、それにより職員の既得権を守ることが県民の為になるのか。(9:40 PM · Aug 31, 2024

(略)その後、斎藤前知事が反省すべき点は反省し改革を前に進めたいと発言された時点で、斎藤氏だけが次元を上げたので、勝負はついたのだと思います。今こそ斎藤氏は反省を見せるべき時ですね。(4:06 AM · Nov 18, 2024

橋下徹氏の見解

問題は自分にかかわる疑惑で事実が少しかすっている場合です。全くの事実無根でない場合です。今回の斎藤さんへの怪文書がそうでした。 この場合には放置するわけにもいかず反応します。 ここで権力者の振る舞いが二つに分かれます。 一つは自ら公益通報窓口に渡して「あとの調査はよろしく」という対応。 メディアに問われても「公益通報担当で調査をしているので結論を待ってください。自分がコメントすると公益通報担当が委縮するので詳細はコメントできません」と答えます。
そしてもう一つは怪文書の作成者を探しに行く対応。 二つの選択のうち、ここは前者でなければなりません。 知事は県庁のトップですから怪文書が外部通報なのかどうかの議論は横におき、知事は怪文書の中身が放置できないのであれば県庁の公益通報窓口に送らなければならないのです。法律の問題というよりも権力の使い方の問題です。僕も知事、市長時代当然、そのようにしてきました。
ところが斎藤さんはここで怪文書は公益通報に当たらないと自ら判断し、怪文書の作成者を探しに行った。 副知事、幹部が一体になり組織あげて探しに行ったのです。 こんな権力の使い方ほど恐ろしいことはありません。」

10:19 PM · Nov 17, 2024

斎藤知事の実績について(神戸新聞)

1. 県立大無償化:県立大学の授業料無償化を段階的に拡大する事業。2024年度は学部4年が対象で、2026年度までに全学年へ拡大予定。

  • 受益者が県内高校卒業者の約2%と限定的で「公平性に欠ける」との批判。

  • 議会からは「奨学金返済支援など他の方法に予算を振り分けるべき」との指摘も。

  • 事業費は最終的に年間23億円に達する見込みで、政策決定過程の不透明さも批判されている。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk20/documents/r5kessangaiyou_2.pdf


https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/gikaiunei/uneiiinkai/documents/giunshiryour050818.pdf


選挙の結果、斎藤前知事が見事当選を決めました。

就任式(関西テレビ)

「自分自身もこれから生まれ変わる。一からスタートしていくという気持ち。何よりもやはり謙虚な気持ちを持ってやっていきたいという風に思います」
「私も人間ですから、これからもう一度再スタートさせて頂くという中で、やはりまだ至らないところも出てくると思います」
「こうした方がいいということもたくさんあるかもしれないんで、そういった時には、直接皆さんから、『斎藤知事はもう少しこうした方がいい』とかっていう声も、ぜひ届けていただきたい」
「耳の痛い話だからこそ、私は真摯に耳を傾けさせていただいて、自分自身に受け止めて、それをもっと良い県政をしていくために頑張っていくための糧とさせて頂くということが大事だと思いますので、どうぞよろしくお願いします」

須田慎一郎氏の見解

須田慎一郎氏は、11月18日放送ニッポン放送のOK!cozy up!で、

  • 今回の県知事選挙の側面でいうと、既得権益派vs改革派

  • 前知事体制が20年間続き、様々な利権がぶら下がってきた。その結果1,000億円をかけて新しい県庁を建てると。
    斎藤さんがその一方で、兵庫県下の公立学校のプールの改修費1校あたり70万円も捻出できない。
    新庁舎の建設にストップをかけて500億円くらいで済まそうと言う動きを見せた途端に、その下には色んな業者であるとか利害関係者がいて、そのあたりが反発した。

  • 既存マスコミvsネットの戦いだけではない。

  • 百条委員会の結論はまだ出ていないのに、なぜ県議会は不信任決議案を可決したのか。県議会はなにを判断したのか。

と言っていて、とても興味深かったです。

論点と結論

論点については、
①告発者の取り扱い ②告発の内容の信憑性 ③既得権益派と改革派の戦い
があるのかなと思いました。

3月の怪文書配布の際に、告発者を探して処分した件については、
・法的には問題ない
・法的に問題がある
・法的問題以前に権力者の行動として問題がある
の3つの派閥に分かれると思います。

また、告発の内容についても、
・パワハラ認定されるほど悪質な行為はなかった。
・内容的にパワハラだと思われる。
・贈答品のおねだりはもっとひどい人もいる。
といったコメントがありました。

他にも、
・告発者に問題行為があった
・兵庫県の県庁体質に問題がある
・兵庫県知事には実績がある
・マスメディアが斎藤知事を貶めようとし、それに対してSNSでの情報発信が対抗した
といった論点もありました。

まあ、手法が独善的だったとしても、県政を改革くれた方が嬉しいという人も多いのも理解できますね。

さて、みなさんはどう言った感想を持ったでしょうか、以上です。

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