日本はなぜマーケティング部門が少ないのにマーケティングが成功するのか
「マーケティング研究とその50年」という論文を読みました。
アメリカではだいたいどの企業にもマーケティング部門は存在するそうですが、日本ではあまり馴染みがありません。
では、なぜ日本はマーケティング部門が少ないのにマーケティングが成功するのでしょうか。
そのヒントがこの論文に書かれていました。
■日本におけるマーケティングなきマーケティング
アメリカでは1950年代まで大量生産・大量販売のマスマーケティングが盛んでした。
そして、1960年代ごろから徐々にセグメントマーケティングが実施されるようになり、海を越えて日本にもマスマーケティングやセグメントマーケティングが輸入されました。
日本では1970年代の高度経済成長期を経て、マスマーケティングやセグメントマーケティングが実施されるようになり、見事に成功したんです。
1983年、Levittは「Globalization of Markets」という論文の中でこのような言葉を残しました。
「日本企業には、マーケティング部門もなく、市場調査も行われていないにも関わらず欧米市場を席巻することができた」
では、なぜマーケティング部門もないし、市場調査も行われていないのに、マーケティングに成功したのでしょうか。
■アメリカのマーケティング部門と日本の営業部門
アメリカのマーケティング部門は、市場調査をして戦略をガチガチに固めた上で事業計画を立て、新製品開発や製品のプロモーションをしていきます。
一方で、日本は営業部門がマーケティングを担っています。顧客や店舗から情報を収集して社内の研究開発部門(R&D)や製造部門に情報共有をします。日本のマーケティングの特徴は、事前に策定された戦略を実行するというよりはむしろ顧客とコミュニケーションをとって、情報を他部門に共有・浸透し、全社的に柔軟な対応を行うことです。
営業部門による情報共有が市場調査の役割を果たしているということでしょうか。
■大切なのは「市場志向」
世界的な研究でマーケティングには「市場志向」が大切ということが明らかになりました。
市場志向とは、文字通りの意味ですが、顧客や競合他社などの市場を意識することです。
営業部門は日々顧客と接するので、顧客の情報を持ち合わせており、それを社内に情報共有することで、会社全体が市場志向になりやすいということでしょう。
■おわりに
アメリカと日本のマーケティングの違いについてまとめました。
日本のマーケティングに必要なのは営業部門からの情報共有、そして全社的な市場志向ということになります。
あなたの会社の社員さんは、自社製品が参入している市場について説明できますか?
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