ITを駆使しアパレルにまつわる社会問題を解決する

アパレル業界でここ数年で急に普及された考え方「サスティナビリティ (Sustainability)」
要約すると、環境・社会・経済の観点から世の中を持続可能にしていくという思想だ。特にアパレルに関して言えば企業、消費者共に意識しなければならない問題である。

企業側は「余剰在庫」「途上国での労働賃金の適正化」「生産時の環境汚染」消費者側は「必要以上の購入」「生産背景が不透明な商品の購入」    など問題を挙げるとキリがない。

今回は主に企業側の視点に立ち、ITを駆使する事により持続可能な理想のアパレル産業に近づける可能性について考察してみた。



※Eコマースによる生産コストの削減
Eコマースとは電子商法取引。俗に言う通販である。
2020年コロナウィルス蔓延の影響で外出自粛を余儀なくされ、アパレルに限らず店舗での買物が困難となり、飛躍的に伸びたチャネルである。
では、なぜEコマースを駆使すると持続可能なビジネスモデルが出来上がるのか?

それは販売コストの削減である。

本来服が出来上がるまでには沢山の人が関わっている。服を縫う人、服をデザインする人、店舗に配列する人、接客する人、沢山の人を介して消費者の手に渡る。当然大勢の人の手を渡り販売された服にはそれなりの「コスト」がかかる事になる。
例えば店舗で購入した一枚5,000円のTシャツには大きく分けて
「原価」「生産利益」「販売コスト」「メーカー利益」に分けられ、原価は上代の20%〜30%、多くても30%〜40%が相場になっている。     (ちなみにユニクロは30%〜40%と言われている)
その為、販売チャネルを店舗からEコマースへ切り替える事により「店舗を構える家賃」「人件費」などが削減され販売コスト抑える事が出来る。
そのダウンした販売コストを生産側の利益にまわす事により、上代を上げなくても適正な労働賃金を支払えるようになるのではないだろうか。



※AIビックデータによるトレンド分析
今まで各ブランドのプロダクトへ反映させるトレンド予測や生産数量はバイヤーの感性や過去の実績を元に人の感覚に基づいて決定されていた事がほとんどである。
しかしブランドの売上や在庫などブランドの存続に関わる重要な部分を人の感性や経験だけで決める事はあまりにもハイリスクでは無いだろうか。
ある企業が提供しているサービスで過去のトレンドをビックデータで分析し、抽出出来るシステムがある。
この分析システムを使用する事で人よりも、より統計的、論理的に多くのデータから正確なトレンド分析を行う事が出来、余剰在庫が抑えられるのではないだろうか。
しかしアパレルビジネスにおいて一番の醍醐味である商品デザインをAIで行う事は一番の楽しみを捨てる様な事であるし、全てをAIの言う通りにデザインすると、全てのブランドがベーシックでシンプルな万人受けするデザインの商品が生まれくるであろう。

なので全てを鵜呑みにせずマーチャンダイズやデザインをする際の情報のひとつとしてAI分析を加える事により、より統計的、論理的で、今までとは違った商品ラインナップが出来上がるのでは無いだろうか。



※ファッションサブスクリプションサービス

服を購入するのではなくレンタルするサービス。
定額制で決められた金額を支払う事により服や小物をレンタルするサービスである。
サスティナブルの観点で見るとシェアする事により不必要な商品購入が無くなり、必要最低限の消費のみでファッションを楽しめるというメリットがある。


また、その他にもスマホから誰でも手軽に中古品を販売出来るサービスや、工場と生産者双方のニーズをマッチさせつなぐサービスなどもITを駆使したサービスといえるだろう。
こうしたファッションとITを掛け合わせた取り組みを「ファッションテック」と言い、このファッションテックを活用する事がアパレルの社会問題を解決するカギになるのでは考えている。

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