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「熊本城マラソン」の様子を見てきただけの話と、興味が持てない仕事で挫折した話①

「マラソン」。「駅伝」。長距離走というスポーツに最後まで興味が持てなかった。正確には「興味を持ち始めたところだったのだけど持つ必要がなくなった」。嫌いではない。

去年・一昨年と超大型駅伝中継番組に作家の超超超端くれとして参加していた。仕事の話を貰ったときは、駅伝なんて大して興味が無い人だって誰もが聞き覚えのあるその番組名に二つ返事で承諾をしてしまったけど、中身はスポーツ。スポーツなんて学生の頃は全くやってこなかったし、唯一プロ野球が好きなくらい。プロ野球が好きといっても、パワプロがきっかけなので自分の脳にはスポ魂の部屋も運動神経の部屋もない。おまけに駅伝とくれば、全くと言っていいほど見たことがない。

まずはとにかく興味へのフックを探すために、長距離走がテーマの本やマンガや映画などをとにかく見漁った。選手たちの絆やバックストーリーを物語るような"長距離走エンタメ"はなかなか自分に刺さらなくて苦しんだ。色々読んだ本の中で、田中晃(WOWOW社長)著「挑戦せよ!」は世界陸上や箱根駅伝などのマラソン中継の哲学が書かれていたりしてとても興味深かった・・・ってこれはカテゴリ的にはテレビにフォーカスした本なので、芯食ってる感じはしなかった。

記録会やレースも割と見に行った方だと思う。自分の好きなものに置き換えたりもした。チーム戦でいえば、アイドルグループに馳せるものに似ている気がするし、さらに近いモノだとプロ野球はどうかな、とか。徐々に選手を覚えるようになってきたし、地方のレースも気になってきた。駅伝シーズンではない時期にもネットニュースで選手の情報を日々得たりしていた。それでも熱中するレベルまでは辿り着かなかい。というか、「好きな人」には敵わないという気持ちが大きくなってきていた。年中、選手を追っているような手練れの制作スタッフや陸上関係のライターの話を聞くと、(超言い訳だけど)やっぱり自分とは"地が違う"と感じた。みんな楽しそうでワクワクしてる。その気持ちには勝てないよ。その人たちに勝つ角度を探したりもしたけど「好き」の壁は高い。俺も「好き」さえ手に入れられれば・・・ってだんだんノイローゼになってくる。そういう気持ちが仕事に対しても現れてきて、なんだか駅伝のことを考えるとひどく疲れるような瞬間も出てきた。仕事としても割り切れない・・・などと言える身分ではないし、今思い返しても仕事に対する取り組み方としては0点に近かったと思う。でもやっぱり興味がもてなかったんだな。熊本の出身なので、もしかしたら自分の先祖が金栗四三に足袋を隠されたとか、耳元でスッスッハッハッを30分くらいやられたとか、そういう恨みがあって末裔を呪っているのかもしれない。そんなワケないんだけど。

駅伝が引き金となったというわけではないんだけど、昨年中にその仕事を貰っていた放送作家事務所を離れてしまった。なので、その番組に関わることも無くなった。同時に、無理して長距離走に興味を持つ必要もなくなった。でも辞める前に見に行くと決めていた長距離レースマターが一件だけ残っていた。それが熊本城マラソン。熊本城マラソンのレース種目には日本陸上競技連盟が公認する「金栗記念熊日30キロロードレース」がある。有名な選手が招待で多数参加するので、元々は勉強の一環として予定を組んでいた。番組をやめてわざわざ見に行く必要もないんだけど、ツテを駆使してプレスの申請をしてもらっていたこともあり、ひとまず熊本へ向かうことにした。

(※続く↓)



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