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寄木塚5号発行記念展『不図の波』@zolin gallery
開催からすでに一ヶ月以上経過してしまいましたが、ぜひ感想を残しておきたいので。
本展は2024年11月9日、写真家の佐藤祐治(別名義・メタ佐藤)さんが、札幌市南区澄川にオープンした「zolin gallery」での初めての展示。当初は11月9日〜17日の土日のみの開廊でしたが、好評に応えて15日(金)に夜間営業を行ったり、同月18日(月)まで会期延長されました。
佐藤さんと中村絵美さん(美術家)によるリトルプレス『寄木塚』の出稿者たちの中から、10人とゲスト1人の作品を展示。同誌の読者としては、実際に作品を前にして、誌面で語られていた思考をたどる、つまり読むということを大きく意識する鑑賞体験でした。
そして写真作品が多いのも特徴。札幌で現代美術領域の写真を見られるスペースができた! と気持ちが高まりました。
※展示期間が終わった12月もなお、同展の情報は更新中です。
作品展示の写真アーカイブはもちろん、作家たちがさまざまなトピックで語るポッドキャストがたくさん公開されています。
『寄木塚』について
今回展示の起点となった、各号さまざまな寄稿者を迎えて編集発行する美術・写真のリトルプレス『寄木塚』。各号の発行部数は不明ですが、2023年1月の創刊から、今年11月の5号までハイペースで刊行を続けています。
内容は、北海道ゆかりの作家や美術関係者たちの作品とエッセイなどの短文。大きな判型で読みやすく、それぞれの仕事や背景をうかがい知ることができます。
展示作品について
閑静な住宅街の中静かにたたずむギャラリーには、玄関で靴を脱いで入場します。
各部屋に知的な印象の作品たちが静かに配置されていました。
会場内にはキャプションがなく、配付された図面で作家・作品名を確認する形態。美術館ならキャプションボードを見て作家の意図を理解するのですが、ここではこちらの見る力が試されていました。
僕はそれぞれの作品に「なぜこうなのだろう」とひっかかりつつも、佐藤さんの解説や、寄木塚本誌を見なければ気付けないことがたくさんありました。見識を高めて色んな情報がぱっと引き出せて鑑賞できるようになると、どの場面でも楽しめるのだろうけど。
その中で感じ取ったのは、どなたの作品も自分自身や社会との向き合い方に誠実だということ。
それぞれテーマや取り組み方が違えど、各人の奥には人間や社会生活への真摯な目線と意義があり、作品や地域での活動に反映されていると感じました。
会場の写真
ほんの一部です。撮り忘れていたり、残念ながら見落とししまった作品もあったので。先述のzolin galleryウェブサイトにすべて記録があるので、ぜひそちらを御覧ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1734790663-SHhfMcgvkxQ0LwN6s5pjFGYU.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734790680-jV7ub6K0eYkO4W1g3mTc2Gtx.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734790854-v2KxoIfDlVrUiRePGs1qBQE7.jpg?width=1200)
ある人との関係性の中で、青森から札幌までりんごの花びらを持ち運んだアクション。
固く握りしめた手を写した写真のパネルが積み上げられています。
![](https://assets.st-note.com/img/1734791087-vNPcTGlrxywM9UFqH4EdCfjh.jpg?width=1200)
どちらも白黒写真で、時代を超えたところをまっすぐ見つめようとする強さがあります。
会場で販売されていたZINEを購入しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1734791302-gKu9sjhIkaVqw2r4mH7oRQb0.jpg?width=1200)
佐藤さんに解説していただきました。
アクリルをやすりで削ったのは、「自分の不明」を表すためで、水俣湾埋立地の形にカットしたのは過去の歴史を可視化する目的。
山田さんは作家ではなく展示のインストーラーということですが、
視座を具体的に作品に落とし込む力量に驚きます。
おわりに(と、少し雑感)
会場内では、寄木塚各号や出展者のZINEが展示販売されていました(なんとキャッシュレス会計も可能です)。
また、会期の終わりごろに駐車場2台が使えるようになったとのこと、これで交通もだいぶん楽になりました。地下鉄駅から遠く坂もあるので足元悪い人には行きづらいと懸念していたのですが、勧められるようになりました。
次の企画展はどういうものになるのか、今から楽しみです。
作家のトークイベントやワークショップ、アートや写真について語らう機会があれば参加してみたいな。
※
個人的には、zolin galleyと4d sapporo、いずれも今年11月に新たなオルタナティブスペースがオープンしたことが、今年の札幌の注目トピックだと思っています。
しかも偶然にもいずれも写真家(美術と広告でジャンルは違いますが)が主宰です。観客としても楽しみだし、作品発表の場が増えていることに刺激を受けます。
こういう感想も、もっと色んな人と話せるようになったらいいな。