NPOの経験を振り返る
学生時代にお手伝いしていたLearning for AllというNPOが、News Picksの取材を受けてました。
実現したい社会に向けて、まだまだ道半ばだと思いますが、当時草の根のように地道に努力していた活動が、着実に広がっている実感に変わることは、非常に感慨深いことです。
と言うことで、良い機会だと思って振り返ってみます。
子供は生まれる環境を選べない
なぜこのNPOを手伝おうと思ったか、ですが、自分の原体験が起因します
例えば、旅行で発展途上国に行くと、物乞いの子供たちを多く見かけませんか?
いざそんな子供たちと直接話す機会を得ると、
「将来は、先生になって学校で働きたい」「いつか別の国に行って働いて、家族を養いたい。そのために今このアルバイトをしている」など、金銭的な事情に囚われない、将来の夢を語る子たちが大半でした。
一方、大学時代、家庭にも学歴にも恵まれ、何不自由ない人たちに多く出会ったのですが、終日無為に過ごしたり、何となく食べていけたらいいよね、といった話を耳にすることが多かった。
そこで、海外で出会った金銭的にも、環境的にもチャンスの少ない子供たちが、もし大学時代の友人のような環境を手にしていたら、、と妄想するようになりました。
そして、”チャンスがあって、そこで努力する/しないは本人次第だが、そもそもチャンスがない、ということが、本人の責任に関係なく起こり得る”という考えに至ります。
また、チャンスのない環境にいる人が、自分の可能性に気付き、邁進できる環境を作っていきたいと考えるようになりました。
当時の社会の捉え方
少し話がかわりますが、
昔からずっと変わっていない考えの1つに、大人になっても幼少期の体験が価値観の根底を作っている、というものがあります。
どんな家庭教育を受けたか、どんな言葉を投げかけられたか...その積み重ねが大人になっても大きく影響している。
ただ、子供は生まれる家庭を選べない、としたら。
裕福な家庭、貧しい家庭。他にも様々な家庭があると思いますが、生まれた瞬間に人生の価値観の多くが決まってしまい、
その人の持つ希望や潜在的な可能性など意味をなさないのではないか、、と絶望を苛まれました。
しかし、その後すこし考えてみると、幼稚園から小中高大と人生を歩んでいくに連れて、親との接点は少なくなっていくものです。むしろ、学校の同級生や先生、バイト先の友人...など、社会に触れて学ぶ機会がずっと増えていく。
家庭の影響もすごく大きい一方で、社会が子供を育てる面も非常に強く、社会の仕組みが少しでもよくなることが重要なんじゃないか、と考えるようになりました。
Learning for Allでの経験
とはいえ、”社会の仕組み”なんて、大層で形がなく、捉えようもないものです。
だからこそ、まず実際に起こっていることをこの目で見てみないと、何も始まらないと考えて、家庭に問題を抱えていたり、学習面で大きく遅れている子供たちに対する学習支援を主軸としていた、Learning for Allの門を叩くことになりました。
社会の現実に触れて
いざそういった環境の子供たちに学習支援を行い始めると、これまで触れたことのない現実が多く散見されました。
私が一番仲の良かった友人は、理学療法士になる夢を叶えるために専門学校への進学を目指していましたが、シングルマザーのお母さんが教育費を出すことができず、高校卒業後、夢を諦めて就職をせざるを得ませんでした。
でも、そのお母さんには、彼氏とのデート代はあったのです。
そうした家庭や経済的問題で夢を諦めなければいけない環境を、ずっと見てきました。
・就学のためにアルバイトをするも、そのお金を親が奪ってパチンコに使ってしまう。
・そもそもご飯を作ってもらえず、実は何日もご飯を食べていなかった。
・一度も親に褒められたことがなく、人生を通じて「お前はできない」と言われ続ける...
そういった家庭を持つ子供たちが多く、人に対する不信感や、自信のなさを強く感じました。
path change
ただ、そんな子供たちに対して、人として向き合ったコミュニケーションをとり、その子ごとに学習プログラムや環境を設定し、根気強く寄り添っていくと、日に日に変わっていくんですよね。
結果、中学校2年生で 2*2=6と答えてしまう子や、ずっと窓の外を眺めて、テスト中も一切何も回答しない子供たちが「将来はこんなことをしたい」と意志を持って勉強をし始める。
成績も当初からは想像できないほど伸びて、進学していっていました。
初め、こんな社会の現実があるのか、と衝撃を受けた時とは打って変わって、人は変われるものなんだと思いました。
そして、Learning for Allは、自分が将来実現したいと思っていた価値観を体現しているんですよね。
”チャンスがあって、そこで努力する/しないは本人次第だが、そもそもチャンスがない、ということが、本人の責任に関係なく起こり得る"
チャンスのない環境にいる人が、自分の可能性に気付き、邁進できる環境を作っていきたい
まだまだ全国で多くの子どもたちが苦労をしているのが現状ですが、今回の記事を読んで、改めて少しずつでも変わってきているのではないか、そう感じることができました。
今は、毎月の募金に留まってしまっていますが、いつかまた自分なりに貢献できることを見つけて還元していきたいなと思います。