偉い人とコート掛けと私

役職付きの人がやってきた

 先日、会社の中で役職付のKさん(男性)がオフィスに来る機会があった。今の事務所ではあまりこういう機会はない。その方が自分のコートをコート掛けにあるハンガーに掛けようとした時、私より10歳ほど年上の女性社員が「コート掛けましょうか?」と歩み寄った。Kさんは、自分でコート掛けのハンガーに手を伸ばしていたし、「いいよいいよ」という感じで最終的には自分で掛けた。

ちょっとした出来事に思うことあり

 ただそれだけのことだったのだが、まず、その初手で自分には「掛けましょうか?」という声がけの意識すらなかった。自分がコート掛けから距離があったということもあるが、「自分でできることは自分で」が原則だと思っている私としては、特にやってあげる必要性も感じなかった。
 その女性がどういう気持ちでやってあげようとしたのかはわからない。もしかすると、そういう教育(接遇的な?)を受けてきたのかもしれないし、家では家族にやってあげているのかもしれない。とりあえず、自分には思いつかない発想だった。「目上の人を敬う」ことは大切だと思っているが、役職付きだからやってあげる、というのもなんだか変だし、ましてや男性だからやるという価値観も肯定できない。もちろん、やってあげる必要がある人(肩が痛いとか腕が折れているとか)にはやってあげようと思うが、それだってもしかしたら有難迷惑かもしれない。

「自分でできることは自分で」が幸せだと思う

 とにかく、私のスタンスは「自分でできることは自分でやる」。それは、子どもに対してもそうだし、大人に対してもそうだと思っている。本人ができることまで他人がやってしまうことは、一時的には良くても、最終的にはその人のためにならないと思うからだ。究極的に言えば何でも価値観という言葉に集約されてしまうのだが、私は「自分で自分を駆動させている」という実感を大事にしたいと思っている。
 今回の「コート掛け」に関しては、偉い人だからやるのか?それとも単なる親切心なのか?など、「社会的な正しい行動」が何だったかはさておき、私自身のスタンスがはっきりと自覚できた出来事だったと思う。

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