石破首相と議院内閣制と派閥問題について

こんばんは!

衆院選の選挙運動期間もあと数時間に迫ってきました。かく言う私も先程、選挙を行ってまいりました。

さて、今回は右翼寄り&中道の自公の議席減と左翼寄り政党の議席増が現実的ですね。
自公が過半数を確保できるか否か、当然ながら今後を占う上で端境となるわけですが。自公にとっての今回の悲願とも言える水準である過半数、ここを達成すれば前後で政治運営は実質的には維持となるでしょう。
とはいえ自公にとってはまず第一関門であり、不安定さは継続するでしょう。
石破首相が長期政権を作り上げるのは厳しいという見方がなされていますが、政治学上でも然りではないでしょうか。

昨今の派閥問題、これは日本政治の体系を大きく変えることとなるでしょう。それはクリーンな政治の重要性を意味するものではなく、議院内閣制という間接選挙においては党内支持(自民党内での支持)が不可欠です。
安倍政権でも然りでしたが、安倍派と麻生派がタッグを組み、自民党内における優位性を保ち、併せて敵対する石破派の力を着実に削いでいきました。結果として安倍・麻生政権は長期での政権運営を達成しました。
それは同時に安倍氏のリーダーシップにも繋がっています。

反面、無派閥の菅氏が率いる菅政権は二階派をバックにつけ一気呵成に進め、党首選ではその潮流に他派閥も菅氏を支持するポーズを見せていましたが、長期政権を成し得ませんでした。

日本の議院内閣制における首相のリーダーシップは、実は党内調整にあります。過去で言うと派閥を見方につけるというところでした。これは他国も然りで、国民からの直接選挙ではない分、こればかりは致し方ありません。
ただし、こう申せば「悪政」と聞こえてしまうかもしれませんが、必ずしも決してそれを意図しません。
世論に左右されず政権を運営しやすいという利点があります。
事実、大統領制や各都道府県の首長など顕著ですが、直接選挙は国民(市民)世論が最重要となります。それ故、世論次第で不安定になりやすいのです。
直接選挙は国民(市民)に直接選ばれている分、政策推進力を与えますが、同時に脆さをも与えます。
反面、間接選挙は国民からの世論が届きにくいデメリットはありますが、必要以上な不安定さには繋がらず、必要な政策課題の推進が可能です。
それぞれにメリットとデメリットが存在します。
(とはいえ、日本は天皇制をひく以上、大統領制を施行することは現状では厳しいですが)

さて石破政権に目を向けますと、石破氏は過去、「与党内野党」として政治の一端を担ってきました。その立場は石破氏に党内アンチテーゼとしての役割を往々にして付与してきました。ただしそれは党内(国会議員)との一定の軋轢をも作ってきているのも事実です。
それを証明するかのごとく、各総裁選では左翼寄りの地域からの地方票に無類の強さを発揮してきた反面、国会議員票に苦戦をしてきました。

さて前述にも繋がりますが、首相は間接選挙です。つまり自民党における調整力が必要です。
そういう意味で長期政権を継続することは容易ではないでしょう。元来打ち出してきた石破氏の政策目標と歩を合わせてきた重要人物は自民党には多いとは言えません。
故に岸田氏のある種の傀儡政権のような形式を取りながら、麻生氏を最高顧問として迎え入れ、各派閥の政策を迎合するという政治姿勢ではリーダーシップは発揮できません。
マスメディアでの国民アンケートでも「言っていたことと違う」と度々失望の声が見受けられますが、石破氏も自身の色を出すことができない党内での事情があります。
決して石破氏が彼の打ち出した政策を恣意的に反古にしているものでは必ずしもなく、調整せざるを得ない事情もかなり見受けられます。

ただしこれは石破氏と最終決戦に挑んだ高市氏にも一定同様の旨が言えるかもしれません。共に党内(国会議員)における人気というものは低いと一般的に言われていますが、事実高市氏は最終決戦で過去国会議員票で苦戦をし続けてきた石破氏に国会議員票で破れています。
もちろん彼女自身、石破氏とは真逆の党内右翼に位置するため政策において一定の同意を得られるかと思いますが、反面高市氏を支持する麻生氏を無下にはできませんので、財務省に近い麻生氏の施策を飲まざるを得ない場面も出てくる可能性はあります。その結果、やはり高市氏も石破氏同様に「言っていたことと違う」とならざるを得ないかもしれません。しかしそれも致し方ないと言わざるを得ません。
そして問題が起こったときには一気呵成に各派閥が非難を強めてくることもありますが、それを党内マイノリティとできるか否か、安倍政権は森友問題等にあっても党内闘争により退陣に追いやられることはありませんでした。一方には石破氏の力を削いだことも一因でしょう。むしろ、野党はそれらの問題に多くの時間を割き、重要課題の多くが自公政権の提案通りことを進めることも少なくありませんでした。(蛇足ながら、本来議論すべきは重要点は国政であり、野党・マスメディア共にこぞって焦点がずれていたのではと考えています。)
結果的に怪我の功名で、政策推進力としてのリーダーシップの評価を得ていった部分もあったのではと思っております。

さて今回は派閥問題(裏金問題)が取り沙汰され、各政党はそこの批判に集中しているようにも見受けられますが、これが本来的に国政に求められる議論であるか否かはさておき、こういった問題が起きたときに党内で一気呵成に権力闘争に名乗りをあげる旧派閥等の力を削げるか、もはや名乗りすら上げさせないか、これらが議院内閣制における長期政権の条件になってくるものであると思います。

石破氏(最終決戦で戦った高市氏も然りかもしれませんが)は党内左翼というカリスマとして党内に君臨し続けた彼は党内調整力というところに弱点があります。それは議院内閣制と相性の良いものではないのとはいえず、その意味で長期政権は厳しい側面があるかもしれません。仮にも長期政権樹立するにはキングメーカーの傀儡のような形をとらざるを得ず、十分なリーダーシップを発揮しきれない可能性があります。

石破首相にも志す日本像というものがあれど、それを実現するだけの後押しに欠けている、故に自身の色を消さざるを得ない、ただしそれ故に国民の失望にも繋がる、現在板挟みの状態にあるのだろうと推測しております。

とはいえ、日本国民の1人として代表である石破氏は心より応援しております。
失礼ながら、個人的にはテレビでお見受けする度に不憫に感じてしまいます。
マスメディアに翻弄されず、冷静な目線で物事を注視したいものです。

石破首相には健康に留意しながらも、これからも日本の更なる発展寄与のために頑張っていただきたいと心から願っています。






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