学校部活動が民営化される?
伊達市光陵中学校で昨年10月13日、市教委による「部活動の地域移行」に関する保護者説明会が行われ30人が参加したとNHKが報じた。国が今年度から令和7年度を目処に、まずは土・日曜日の学校部活動を地域移行する方針だからだ。少子化や教員の負担軽減が目的という。スポーツ庁の有識者会議の提言後まもなく、全国市長会は「緊急意見」をとりまとめ(昨年6月)、多くの懸念に応えるよう国に求めた▼「地域移行」の必要性や方向性の明確化と周知、期限を切って進めること、部活動の教育的意義の再確認、地域校による費用負担、指導者の確保・養成、保険のあり方など懸念は多岐にわたる。国のモデル自治体では、責任の所在や運営方針をめぐって協議などが難航し、地域移行が頓挫した例もある。保護者は子どもが好きな部活動が継続できれば何よりだ。でも、今まで無料だった指導者への謝金や活動費の金額によっては、部活動を諦めざるを得ない家庭もでるかもしれない。地域によっては指導者がそろわなかったり、活動の受け皿となる団体がなかったりと、スポーツや文化に親しむ環境に地域格差が生じる可能性は小さくない▼これまで国は地域移行を2度試みているが、2度とも失敗している。それは国が十分に資金を出さなかったからだ。結局、教員が自分の時間もお金もかけて教育課程外の自主活動を支えてきた。それを再び地域に移行するなら、国が十分に資金を出さないと受益者負担=「民営化」する懸念はぬぐえない▼さらに、大人がレールを敷くだけでなく、子どもたちが自主的に活動を運営したり、活動の方向性を決めたりする過程を大切にすることではないか。子どもの意見が反映されてこそ、部活動は教育の一環といえる。ご存知のように、教育の目的は「人材育成」ではなく「人格の完成」だ。