富豪から極貧への転落
「人生詰んだ」状態をリセットする魔法
第3章 私の激動人生
・プロフェッショナルが集まった家族
・富豪から極貧への転落
・偉人は肩書きに囚われない
・因果を辿れば夢は簡単に実現する
・10年で10倍になった
・富豪から極貧への転落
私が小学生の頃である。
道を歩いていると救急車の音が聞こえた。
どうやら近くに止まったようだ。
家に帰ると僅かに人集りができている。
暫くすると、救急隊員に担架で父が運ばれて行く。
私は心の中でこう呟いた。
「またか。」
この頃、父は自殺未遂を繰り返していた。
任天堂で絶頂期にあった父は、多額のローンを組んで8LDKの庭付き一戸建てを購入。
しかし、その後、転職先で失敗し、バブル崩壊もあって、家族を養わなければいけない重圧から精神を病んでしまったのだ。
当時はまだ鬱病と言う概念が一般的でなかった時代だ。
専門家の分析では、それまで順風満帆で挫折知らずだったことが、逆に大きな失敗で立ち直れなくなってしまった、と言うことらしい。
何故か子どもの私には「強くなってほしい」との思いで(?)、やたらと挫折させるための嫌がらせを受けた記憶がある。
親にとってみれば、永田家再興を託しての修行と言うことだったのかもしれないが、子どもからすればとんだ災難である。
お陰で私は強靭な精神力を備えることができた。
それもあって、私自身は、自殺する人の気持ちは正直よくわからない。
人間、生命を捨てる気になれば何だって乗り切れると思うが、そのために非人道的なことをするぐらいなら、自ら生命を絶とうと言う優しい心の持ち主に多いようだ。
幼少の頃、私の家は富豪であった。
毎週のように家族で外食に行った記憶が微かに残っている。
この頃の写真は高そうな服を着せてもらい、お金持ちの坊ちゃんと言う感じであった。
だが、一家の大黒柱が働けなくなり、貧乏のドン底に陥った。
明るかった家庭は愚痴と悲しみに染まり、食事もご飯と味噌汁だけの質素なものに変わった。
当時の写真を見るとボロボロになったTシャツを着て、貧しさが滲み出ている。
この経験が身に刻まれているせいか、私はお金があってもあまり贅沢をしたいとは思わない。
食事と寝る住まいがあるだけで私は十分に幸せである。
私は長らく、家族を守らず、自分だけ逃げようとした父を恨んでいた。
しかし、それから20年後、何の因果か、私の高校時代からの一番の親友も自ら死を選んだ。
私にとって、死はとても身近な存在だ。
人生は良い時もあれば悪い時もある。
どうしようもないドン底で絶望を味わっても、またヒョンなことから浮き上がることもある。
その荒浪を楽しめば良い。
運を味方につけることが大切!
実は、これはその親友が学生時代に言っていた言葉でもある。
父にしても、親友にしても、自死を選択しなければいけないほど追い詰められた心境は計り知れない。
だが、世の中は勝てば官軍負ければ賊軍。
少しでも気を抜いたら死の淵に追いやられる。
現実の険しさを二人は教えてくれた。
そして、今、この世に生があることを十二分に噛み締め、如何なる境遇に直面しようとも、自分にできることを最大限に全うしたいと心から思う。