かぶりもの
次女は、スポーツをしている。アスリートではあるが、今まであまりにもストイックなスポーツオンリー人生だったので、少しはまともにオシャレもしたい年頃になってきて、ちょっと変化してきている。
先日、帰宅すると彼女は変身していた。
なんだ、バカ殿かと思った。
次女は何かを言いたそうではあったが、パック中なので、何も言い返して来ず、モゴモゴと呟いているようだ。
だが、このパック姿で、次女の幼少の頃を思い出した。
今でこそアスリートでは、ある。ガッツポーズもすれば、仲間を鼓舞するために大きな声出しもする。だが、小学校のあいだは、決して大はしゃぎをしたり、積極的にクラスで目立つほうでもなく、むしろ、本は読まないが文学少女のような、大人しく目立たない存在のように私には見えた。
次女は、赤ちゃんだった頃、被り物を本当に怖がった。ディズニーランドのミッキーさんにも拒絶反応があったくらいで、ミッキーさんがベビーカーに近づいてきてしゃがんで優しく挨拶をしてきても、大泣きするような子だった。
お面も、だめだった。狐や天狗はもちろん、〇〇ライダーや〇〇〇ームーンなどのヒーローも含め、人間が何かを被っているのがダメだった。時には家内がパックしている姿を見せると、家内と分かっていても、大泣きする。
また、これは被りものではないのであるが、家内の母や私の母が抱っこしようとすると、顔をまじまじと見つめたあと、わんわんと泣き出す。いろいろ調べてみると、だいたい65歳くらいから上の年配の女性が、ダメだった。
さすがに義母や母には、物心がついたあたりから平気にはなってきたが、被りものが苦手ということが、幼稚園の年中さんくらいまで、ずっと続いたのである。
いまやその娘が、自ら被りものをしているのである。当時の話をしても、次女にはあまり記憶が無いらしい。その時、何が怖かったのか、特に年配の女性の何が気に入らなかったのか、今は、知る由もない。
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