見出し画像

街歩きの友に最適!『もりおか歴史散歩【旧町名編】』

こんにちは。今回は盛岡中心街の街歩きに最適な書籍の紹介です。

その名は『もりおか歴史散歩【旧町名編】』です。著者は文化地層研究会会員として活躍されている真山重博さん。もともとは、東北堂さん発行のミニコミ誌「アップル」で連載されていていた記事を書籍としてまとめたもののようですが、旧三戸町、旧生姜町、旧上田三小路など、旧町名で表される地域やその周辺を地図と一緒に裏話を紹介している本です。特に、エリアごとの概要図があるのは便利です。

初版発行は2009年ですが、前書きには「近年、盛岡市は『歩いて楽しむ街』を標榜しています。このキャッチフレーズは単に観光客向けにアピールしているだけではないと思います。そこに暮らす市民こそゆっくりと何回でも市内のあちこちを歩いて楽しめるのです」と書かれており、2023年のニューヨークタイムズの記事でも称賛された「歩いて楽しい街」は今に始まったことではなく、ずっと健在であったことが分かります。

私が先に買ったのは紙の書籍です(さわや書店など郷土史関連のコーナーがあるところで売られているようです)が、上のリンクにあるようにKindle版も発売されています。紙媒体の方が一覧性は上ですが、街歩きをするときに片手が書籍でふさがると面倒なので、Kindle版をスマホに入れ、地図と照らし合わせながら街歩きを楽しむのが良いかもしれません。主に、城下町時代から始まり、明治から昭和にかけての街の成り立ちに関する話題が多いですが、合計30年以上盛岡に住んでいる私も知らない話が多く、普段通る街が違って見えそうです。なお、「もりおか歴史散歩」はシリーズでいろいろな本が出ているので、旧町名関連の情報が欲しい方は【旧町名編】の文字があるかどうかご注意ください!

この本で初めて知った知識はたくさんありますが、現在の岩手大学農学部の敷地内に旧上田新小路跡が残っており、「目時のヒバ」と呼ばれる大木や石川啄木の妻堀内節子の生家がここにあったことや、旧上田小路近く(岩手大学と盛岡一高の間の道と夕顔瀬橋からの道が合流する交差点の近く)に古い木造の家が密集する地区があることなどは個人的にも驚きました。それ以外にも、この本を読まなければ気にも留めなかった場所や全く知らなかった話が満載されていてとても楽しいです。

実は、同様の内容を、盛岡周辺で配布されているフリーペーパー「シニアズ」で見かけて、「ずいぶん似ているが、どういう関係なのだろうか」と思っていたのですが、著者はどちらも真山さんのようです。

「シニアズ」の方は、より新しく、なくなった建物などの情報はアップデートされています。一方、「シニアズ」の記事は連載途中であり取り上げられていない旧町名もありますし、ウェブ版では古い記事が読めないため、盛岡の旧町名の情報を1冊で一通り知りたいという人にとっては「もりおか歴史散歩」の方が良いかもしれません。

「シニアズ」の記事は、高齢者に街歩きを楽しんでもらうことで、健康増進と愛読者の増加を狙ったシリーズのようですが、「もりおか歴史散歩」も含めて、類似の企画と比較しても丁寧な説明があるので、その気がなくてもついつい街歩きをしてしまいそうです。

この本をスマホに入れておくだけで、盛岡の豆知識も身につきますし、街歩きも楽しくなること請け合いです。ぜひ手に取ってご覧ください!


いいなと思ったら応援しよう!