【映画感想】樹海村で無事に遭難した話
樹海村に向かう道中、女性ふたりとすれ違った。
「ぜんっぜんこわくなかった……」
かすかにそう呟く声が聞こえた気がした。
驚いて振り返ると、ふたりの姿はなかった。
思えばわたしはあの瞬間、踵を返して家に帰るべきだったのです。
そうすれば、あんな思いをすることもなかったのに……。
※被害者のおふたりは、近くの駐車場に入っていっただけです。
ということで。
友達に誘われたので、映画「樹海村」を見てきました。
わたしはあまり映画を見ないし、当然ながらホラー映画にも疎いのですが、人生でここまで退屈なホラー映画に出会ったことはありませんでした。
いや、たった一瞬たりとも怖くなかったので、ホラー映画と括るのは間違いなのかも。
今までのワーストホラー映画は、幽霊が自分の母親にサバ折りをキメたことに爆笑したことしか思い出せない「死国」だったのですが、余裕で更新です。
この記事は、映画鑑賞から一日経ってから書いているのですが、あまりにもあまりすぎたせいか、記憶がボロボロと歯抜けになっていき、「クソつまんなかった」としか説明できなくなっていきます……サバ折りと違ってネタにもならないだと……怖すぎる……。
なので、備忘録的に、わたしにとって、どこがどうひどかったのかを記録しようと、筆もといスマホを取った次第。
これをもって、私の1300円(※レイトショー料金)と2時間の供養としたいと思います。
なお、この先はネタバレなどには配慮しないので、未鑑賞の方などは念の為ご注意ください。
あと、この映画を楽しんだ方にも一切配慮しません。
カメラを揺らすな!
開幕のYouTuber配信は、ベタベタながらもいいとして、画面のブレ方は、演出としてもやりすぎの域。三半規管弱いわたしは、開始3分で画面酔いしてぐったり。
それで何か面白かったり怖かったりするならまだしも、別に強烈なホラー演出がある訳でもなく……なんで……わたしは映画館に来てまで、何故YouTuberの配信を見せられているんだ……。
お前は誰だ
この映画、とにかく登場人物の掘り下げが障子紙よりペラッペラです。
引きこもりのヒビキちゃん以外のメインキャラは、成人してるか、少なくとも仕事するなりしてるはずだけど、仕事や家事といった生活感のある描写がゼロのため、もはや被害者予定の皆さんでしかなく、突然の死を迎えても、ああ……そう……としか思えないのでした。
姉のメイさんは寺チャラ男(名前思い出せず)と付き合ってて? でもミウさんと結婚する優男(名前思い出せず)にも若干未練あって??
……てっきり、優男に未練があるメイさんが、ミウさんを妬んで、軽い気持ちで箱の呪いをかけた、みたいな話だと思ったのに、そんなことはなかった。
この展開、某ホラー映画で見た奴だ!
びっくりした、と、怖い、は違う。
わたしはホラー映像作品をあまり好まないのですが、ここが解釈違いの作品が多すぎるのが理由です。
冒頭からトラックで異世界転生を果たした、あの謎の家の大家さんだか仲介業者さんだかの件も、びっくりはしたものの怖くはないのです。
中盤の、飛び降り自殺巻き込み事故による雑な2キルもびっくりしたけど、そんだけでしたね……。
怖いのをください怖いのを。
怖いのも足りんのに痛いに振らないで
もちろん、痛そうと怖いも違います。
包丁も、鋏も、そりゃあ痛そうでゾワっとはしますが、それは違う……。というか、怖いのは好きでも痛そうのは苦手なんだ……ゴア表現に逃げるのは良くない……。
わたし何回か気絶してた気がする
唐突に感じられる場面が多数あったが多分俺が瞬間的に寝落ちしてたんだろう
https://youtu.be/x0FZdrCLnXY
出典:エクスアームをとことん楽しむソムリエ達の反応集
脚本がお粗末なのか、編集が悪いのか、場面の切り替わりがひたすらに雑で、しょっちゅう置いてきぼりに。
ただでさえ置いてきぼりなのに、ヒビキちゃんの夢(……だと思われる描写)とか、ヒビキちゃんにしか見えてない(……のだと思われる)ママとかが、普通に現実として描かれるせいで、余計に脳みそが混乱していきます。
……というか、ママは樹海村に囚われてるんじゃないの? 案外、樹海村は住人の里帰りに寛容なのでしょうか。
脚本の人そこまで考えてないと思うよ
どうも樹海村だけでは物語にならなかったらしく、有名なコトリバコの要素を混ぜ込んだようなのですが、……あの箱は迫害から身を守るために、文字通り骨身を削って作り出す武器だったのに、ただやばい方々がうきうきと適当に詰めた指を詰めたものにされた……。
この悲しみ、おそらくオカルトオタクにしか伝わらないんですが、大変悲しい気持ちになりました……。
樹海なら自殺者狙いの殺人鬼がいるとか、そんな話もありますし、唐突すぎる「呪いの箱」ではなくて、そっちの要素を足した方が良かったんじゃないだろうか。樹海を草刈り機で地ならししながら迫りくる殺人鬼、村を荒らされてキレるウッドマン、被害者たちの三竦み……あれ、B級パニックホラーとしてなら面白くなるのでは?
そういうのいいから
日本の映画の駄目なところとして、なんでも感動路線にしたがるというのがあるのですが、この話も、複雑な境遇の姉妹が家族愛を取り戻す物語、の側面が強すぎます。
途中、犯罪加害者家族の苦悩的な話が始まった際は、わたしはもしかして見る映画を間違ったのかと思うほどに気合が入っており、お姉ちゃんが喪服で泣き崩れるシーンなど、お姉ちゃん役の方の熱演もあって大変陰鬱な気持ちにはなったものの、「人類の愚かさはPUIPUIモルカーから学ぶので、今日は怖いのをください……」と死んだ目に。ついでにオチで家族愛と自己犠牲を台無しにするのでもう何のための話だったのか……。
総評:映像の作り込みと役者は悪くなかった。
樹海の映像や、ウッドマン達の映像は、よく作り込まれてて綺麗でしたね。多分、ハリー・ポッターの1シーンとしてなら素直に評価できます。
あとお姉ちゃん役の方の演技も良かったですね。今度はもうちょっとまともな映画で主演できることを祈ります。
皆様も、樹海村にはくれぐれもお気をつけを。
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