脚立より思い出を大切にしたかった。
トイレの電球が切れた。
ここに住んで三年目。初めての出来事でどうすればいいのか一緒に住んでいる姉と共におろおろする。
とりあえずトイレの便座の上に立ってみる姉。手を伸ばすと最下の部分に手が届く。
「あれ?この後どうすればいいんだ?」
無計画すぎる私たち。
ネットで調べると、脚立に乗った方がいいと書いてあった。
脚立…
ないんだよなぁ。
いつも脚立の代わりにしている姉のガラガラが付いた動く椅子をトイレに持って行く、姉の部屋のドアを抜ける時に気がつく。
横幅がデカすぎてトイレの中まで入れねぇ。
脚立を買うことにした。
そこで思い出す出来事。
クローゼットの1番上の段にお客さん用の布団と夏の間はしまっている自分の掛け布団を入れている。脚立がないので代用の姉の椅子を持ってきて、私が上に乗って姉は椅子を抑える。あーだこーだいいながらなんとか布団をしまう時間。
あれはちょっと楽しい時間で私は好き。なんとなく姉と二人日常と切り離されるような。その行動に二人で大爆笑することは決まっていた。
あー…脚立買ったらあの時間が無くなるのか。なんだかちょっと切なくて悲しかった。
姉はというとなんとも思っていないみたいで、脚立をいきいきと発注していた。姉妹でも感覚が違うことが多くておもしろい。
早くトイレの電気付くといいなぁ。
みなさんも電球の取り替えはお早めに。脚立も買うんだよ。
それでは、またね。
つづく
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