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「サブスク型のメディア運営を考える」 #メディアミートアップ (簡易まとめ)

2/13(木)徳力基彦さん主催のメディアミートアップに参加させていただきました。
当日の動画アーカイブもありますので、お時間の許す方はこちらをご覧いただくのが、ニュアンスや文脈も伝わってよいかとは思います。

私の方では、登壇された3社様の各メディア毎に縦割りしてまとめてみようと思います。
(登壇者様の各メディアについては下記noteご参照ください。)

1) Case of "cakes"

■運営会社 :株式会社ピースオブケイク
■課金モデル:150円@週 or 500円@月 で全記事読み放題
■立ち上げ :2012年9月
■課金会員数:非公表
■大熊 信さん(https://twitter.com/die_kuma

・今でこそ「サブスク」という言葉も浸透しているが、当時参考になるようなサブスク型のメディアはなく、テキストメディアでサブスクは「無理」と言われていた。(当時の比較対象としていたのは、個人の有料メルマガ)

・会員数万人。売上〇億円(非公表)

・編集者4人←記事の約7割が出版社提供コンテンツ

・Q)なぜサブスクを選択したの?
 A)週150円=「ペットボトル1本分」といった考え方はあったが、当時は深く考えてなかったのではないか。

・Q)サブスクのメリットは?
 A)基本的にインターネットは広告モデルがメインだとは思っているが、それを前提にしても、サブスクモデルはコンテンツで広告主に忖度する必要がない。広告モデルの最大の問題点は、広告主によってコンテンツが左右されること。メディアは社会の公器であるべき、という誇りは持っている(持っていたい)。

Q)サブスク型のメディアが成功するためには?
 
A)長く続けること。諦めずに(且つ手数をかけず)コンテンツを出し続けること。ストック型のコンテンツが必要。

・《公開当日〜7日無料→翌日以降〜有料》という仕組みは課金ユーザー化に有効。(シャアしやすい無料期間に記事がバズると、2〜3日後にバズ経由で流入した人にとってはそのタイミングで有料記事になっている=その時にそれ以前のストックがあって「遡って読めるなら」と思ってもらえれば課金ユーザー化しやすい。最新記事が過去記事の広告として機能する

・記事は9割9分が連載(8記事以上)。継続して読めるものではないと課金はしてくれない。芸能人や著名人の単発取材記事はやらない。=有名人へコミットしたところでメディアにはコミットしない。←課金対象にならない。

・ユーザー課金を原資に、6割を著者さんに分配して還元し、読まれた割合いに応じて著者さんにお金が落ちる(且つユーザー課金が原資なのでcakes自体はコストを被らない)仕組みを作っている。⇒メディアとして好きなことを試すことができる。

2) Case of "she is"

■運営会社 :株式会社CINRA
■課金モデル:
 ①無料:MAGAZINE読者
 ②800円@月(Half Moon):イベント参加、限定記事、トークルーム参加etc.
 ③3,500円@月(Full Moon):上記HALF MOON+月1回の「GIFT」
■立ち上げ :2017年9月
■課金会員数:非公表
■登壇者:
 野村由芽さん(https://twitter.com/ymue
 竹中万季さん(https://twitter.com/l_u_l_u

・野村さん・竹中さんにとって、自分たちの「場所」を作りたかった。
 マネタイズやサブスク型という形を入り口としていたわけではなく、「これからどう生きていくか?」などの課題や「自分たちの個人としての声を肯定したい」という想いからはじまっている

・言葉の定義:「メディア」「コミュニティ」よりも「場所」と捉えている

・日々流れていくニュースや情報が溢れる中で、”いま自分たちにとって考えたいこと、知りたいこと”をじっくり考えること=特集として位置付けた。

・文章ではなく「ギフト」←テキストだけでなくギフトを通じて生活に入り込んでいく

・EDITOR(2名)、GIRL FRIENDSという書き手が200人

・Q)なぜサブスクを選択したの?
 A)CINRAという会社にも還元しながらも、BtoBの広告収入とは違う、問いを投げかけ続けていく中で個人が応援していきたいクリエイターや世の中にお金が"渡っていく"、ユーザーが能動的に意識できる仕組みに挑戦したかった。

・Q)サブスクのメリットは?
 A)「広告モデルしかない」状態ではなく、広告との組み合わせで相乗効果を図ることが可能。課金を通して濃くコミットしてくれているメンバーとのコミュニティからスポンサードが産まれるケースがあったり、「次の世界」を見ることもできる。

・Q)サブスク型のメディアが成功するためには?
 A)課金者にとって継続的にお金を掛け続けるだけの"インフラ"となるためにいろんな価値の選択肢を与えることは一つ重要なのでは(Netflixなど)。she isとしては「大切なことマップ」を大事に従ってやってる。たとえばメンバーやGIRL FRIENDSとの対話や、会員になってくれた人には手書きで招待状のようなお手紙を渡す など一つひとつのコミュニケーション。

・Q)ユーザー離れを防ぐには?
 A)「自分たちが自分たちの真似をし始めたら終わり」。作っていて面白いものを保たないとユーザーには気づかれる。常に「自分が読者一号」

・治安維持:PVやいいね数など記事ランキングは排除。数字は治安を乱す。


3) Case of ”やわらかいライブ配信ラボ (やわラボ)”

■運営会社 :合同会社RopEar
■課金モデル:月額3,000円
 動画編集やライブ配信を学び、仕事にできるオンラインサロンへの参加
 (サロン自体はfacebookコミュニティ)
■立ち上げ :2018年
■課金会員数:152人(2020年2月現在パトロン数)
■登壇者:やわらかゆーすけさん(https://twitter.com/yawarakayyman

・ライブ配信に関わるクリエイターを支援する様々なコミュニティに参加して、学ぶことができる。←動画を作りたい人は従来、「雑誌」を買って勉強していたが今は「課金型のコミュニティ」に。これはメディアの在り方と言っていいのでは(徳力さん・談)

・本家/プロジェクト室/雑談部の3つの要素で構成

・「やわラボ」が介することで、クリエイターさんの成長機会・チャンスを最大化することを考えて現状のコミュニティ型にたどり着いた
 
・Q)なぜサブスクを選択したの?
 A)熱量の高い人を少人数で集めるための”ハードル”
として機能。質の高いコミュニティを持続させるため。↔︎無料サロンはアクティブでない人が多い。

・Q)サブスクのメリットは?
 A)熱量の高いメンバーが自発的にクチコミを発信してくれるため営業的なコストが下がり、大きな施策はできないかもしれないが、ボディブローのようなマーケティングができる。

・Q)サブスク型のメディアが成功するためには?
 A)自身の思うことを曲げない。コミュニティに入ってくれた時点でのユーザー期待を裏切らない。
   コミュニティが大きくなりすぎると不協和音が起きやすいので、数字を追い求めることよりも文化を作り上げていく視点が大事。

・広告案件もクリエイターに喜んでもらえるものを精査している。有名な企業の案件などで実績があると、個人発信でも仕事を取りやすくなるので、それにつながるような武器になる実績を作る場としての機能がサロンにある

・逆に、大きな仕事や大きなお金を持ってきたら喜ぶと思ったら違った、という経験もある。

・Q)ユーザー離れを防ぐには?
 A)コミュニティ内での「いいね」を押しやすくする工夫や、案件の説明を丁寧にするなどして「孤独な会員」を皆無にする努力をしている

まとめと所感

メモ程度のまとめとなり大変恐縮ですがここまでお読みいただきありがとうございました。
今回、一番印象的だったのは、参加者の方々の本気度です。割合にして7〜8割がメディア系企業の方、残りの2〜3割がブロガーさんなど個人をメディア化している方といった感じで、これからのメディアの在り方やマネタイズモデルに各社模索していることが顕著にわかりました。

ディスカッションの中で徳力さんも仰っていましたが、雑誌時代「昔は10万部売れればそこそこのヒットだった」そうです。ところが、WEBメディアになると途端に●千万PV、●億PVという「規模」の話になってしまう。…その1PVあたりの熱量や価値にどう向き合うか…それが至上命題であると同時に、広告モデル型の所謂”PV至上主義”の延長線上にサブスク型を位置付けることの難しさを感じました。
cakesの大熊さんが「『PVやばい!広告収益ヤバイ!え~い、サブスクだ!』は、きっとうまくいかない」と仰っていたことも、あわせて記載させていただきます。

ちょうど2/17に日経電子版の有料会員が70万人突破のリリースが出ていました。

しかしここで考えるべきは、有料会員、特にここ数年の有料会員を牽引する20代の若者たちが求めているのは「ニュース」や「情報」そのものなのか…にも注目する恐らく必要があって、情報そのものではなく、取引先やもしくは就活における面接での雑談レベルで困らないためのネタ収集だったり、上司からの『日経くらい読んでおけよ』に対するディフェンスだったりする可能性も大いにあると思います。

ユーザー課金をひとつの免罪符としたときに、メディアやコミュニティは何を以ってユーザーに対峙し価値を提供するか。何を指標として置くか…。今回登壇された三者からのお話の中にヒントは隠されているように感じました。

また、余談にはなりますが、今回こちらのイベントには徳力さんの出されていたbosyuから、ボランティアスタッフ兼カメラとして参加させていただきました。ご縁をいただいた徳力さん、bosyuさん、ありがとうございました。

私個人としては、メディアの広告セールスをしながらもメディアそのものとユーザーや社会との関わりを引き続き考えていきたいと思います。よろしければ、Twitterでもコミュニケーション取らせていただけたら嬉しいです。


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