富士の高嶺に雪は降りつつ―色々な場所から富士山を眺める小旅行
先日、ちょっと遠くに出掛けたくなり、1泊2日で静岡県に行ってきました。思いついたのは1週間前、宿を取ったのは3日前。行きたい場所も何となく考えているだけで、いつもの旅より行き当たりばったり感が強いですが、たまにはこういうのも。
1日目
朝、自宅を出発し、由比(ゆい)駅を目指します。由比は駿河湾の桜えびが有名な町。1年ぶりに桜えびを食べに行きます。1年前(この下にリンク貼っておきます)は台風接近で荒れた天気でしたが、この日は晴れて、雪化粧した富士山も見えていました。
今回は「玉鉾」さんのランチ営業に伺いました。民宿もやっていて宿泊もできます。広い店内でしたが、お客さんは他に1人だけで、ゆったり食べられました。
食後の運動がてら、近くの絶景スポットに行ってみます。旧東海道の難所とされた「薩埵(さった)峠」です。
ここから見えるのは、駿河湾と富士山の絶景です。
百人一首で有名な「田子の浦にうちいでて見れば白妙の富士の高嶺に雪はふりつつ」という歌がありますが、当時の「田子の浦」はこのあたりの地域の海岸を指していたと言われています。また、この薩埵峠からの眺めは「東海道五十三次」でも描かれています。昔の人も愛でた富士山の景色を見ていると思うと感動ですね。
由比駅に戻り、吉原(よしわら)駅で岳南(がくなん)電車に乗り換え。全線で車窓から富士山を眺められるローカル線です。何をするとも決めずに、普段乗らないローカル線を往復してみました。早い話が「乗り鉄」です。
この日の夕食は、静岡グルメ。「さわやか」のハンバーグも1年ぶりに食べたくなりました。16時台で40分待ち。しかし呼ばれる頃には程よくお腹が空いているでしょう。
ずっと店内で待っていても手持ち無沙汰なので、ちょっとお店の周囲を散歩してみると、夕暮れのかすかに赤く染まった富士山に出会えました。富士山に向かってまっすぐ伸びる道路を、車が往来しています。
「紅富士」を見た後のハンバーグは格別でした(?)。
2日目
2日目は電車で富士宮(ふじのみや)へ。B級グルメ「富士宮やきそば」で有名な都市です。
まずは駅から10分ほど歩いて、静岡県富士山世界遺産センターへ。独特な逆円錐の建物と赤い鳥居が目印です。入場料300円で、あまり期待せずに行ったのですが意外と楽しめました。
まずはらせん状のスロープを上り、富士登山を疑似体験。壁に投影されている風景が、上るにつれて変わっていきます。そして上までたどり着くと、そこには富士山と富士宮の街並みが広がっていました。
スロープを下りながら、途中に用意されている色々な展示スペースを見ていきます。富士山に対する信仰、詩歌や芸術にみられる富士山、ご当地の「◯◯富士」とニックネームがつけられた山のことなど。デジタルサイネージが設置されており、膨大な資料を見ることができます。「◯◯富士」って国内だけでなく海外にもあるんですね。
企画展として、富士山が描かれた古い絵葉書のコレクションが展示されていました(ここは撮影OK)。国内で絵画のモチーフや縁起物として扱われることはもちろん、海外からも日本の代名詞的な存在として捉えられていたようです。
お昼になったので近くの「お宮横丁」でランチ。何軒かのお店と飲食スペースがあり、青空フードコートといった感じです。富士宮に来たからには、食べたい物は決まっています。富士宮やきそば!
コシの強い中華麺で噛みごたえがあり、だし粉(イワシの削り粉)が掛かっていて香ばしいです。
せっかくなので、隣に出店していた静岡おでんのお店でも注文。こちらもだし粉を掛けて食べるスタイルです。
横丁の中には富士山の水が湧き続ける泉があり、ここから汲んで飲むことができます。水温は年間を通して13度程度とのことで、キンキンに冷えているわけではありませんが、最近寒いですしちょうどいいでしょう。自然の恵みを頂きました。
食後は富士山本宮浅間大社へお参りに。赤い鳥居と富士山に迎えられます。
富士山の雪解け水が湧き続ける「湧玉池(わくたまいけ)」。徐々に紅葉が色づいてきていました。
さて、駅に戻ってぼちぼち東京方面に帰り始めます。特に当てもありませんでしたが、途中の沼津で降りてみました。地元のカフェでちょっと休憩。みかんケーキを頂きます。みかんの果肉と酸味が美味しかったです。
こんな感じで、時間に追われる弾丸旅のノリとは打って変わって、ゆるゆると1泊2日の旅を楽しんで帰ってきたのでした。