捨てられない気持ちについて
私はすごく片付けが苦手だ。面倒くさがりなのと、物を捨てられないのが原因だと思う。
使い倒してボロボロになっても、壊れても、捨てられない。普段使いの食器は欠けているものも多いし、割れた食器もいくつか取ってある。割れた食器を大切に持っているなんて正気の沙汰ではないかもしれない。けれど、イギリスで貧乏暮らしをしていたときに、値段は高かったものの、デザインが好きで頑張って買った食器なのだ。いつか余裕ができたときに金継ぎに出したいと思い続けて、そのままになっている…。
そのほか、子どもたちが大きくなるまで大事にしまってある作家さんの食器も、食器棚の奥底で眠っている。
洋服に例えると、共感してもらえるかもしれない。
ちょっと高価な、ここ一番で着たい服。
痩せたら着る予定の服、などなど。
とはいえ、ずっと金継ぎに出さずにいた割れた食器も、お直ししようと思って穴が空いたまま眠っている洋服も、処分しようと思ったことは数え切れない。
でも、結局は処分できずに今に至る。
「ずっとお直しに出さなかったんだから、いい加減捨てよう!」と引っ張り出すと、買ったときのことや、このデザイナーさんはどんなことを考えていたのかな、この製品ができるまでの環境負荷はいかばかりか、などと想像が膨らんでしまい、元の場所に戻してしまう…。
そんな感じで今まで生きてきたのだけれど、今年の大掃除に向けてすごく頑張って、少し処分した。
無印良品で買ったヒビのはいった食器、ボロボロになったあったかインナー、もう使わないマウスなどだ。流石にイギリスで買った食器は捨てられなかったけれど…。
今まで断捨離に幾度となく挑戦して挫折してきたのに、どうして頑張れたのか?
実は、インテリアの特集雑誌を見て衝撃を受けたから。その雑誌には、ファッションデザイナーとして活躍している同期の、おしゃれな部屋が紹介されていた。
同じ芸大を卒業した彼と私のあまりの落差に情けなかった。なぜ私は散らかった部屋で生きているんだろうと。子どもたちが散らかし放題なのも差し引いても、ボロボロのあったかインナーを着ている私を、彼と同じ芸大を卒業したなんて思う人は誰もいないだろうなと。
彼は生活の隅々まで美を追求する熱意が眩しく、デザイナーとしての美意識の高さが感じられた。
私が生まれ変わっても、彼のような美意識をもって生活することは無理かもしれない。けれど、美意識の高さが外見や生活に現れているということは、デザインの仕事をする上で大切だと思った。
環境に配慮している製品を人におすすめするにしても、その人自身の生活が良さそうでないと、『良さそう!使ってみよう!』とは思ってもらえないと思う。
今まで処分すべきものを処分しない言い訳として環境負荷について考えていたわけではないけれど、『ものを大切にする』ということについて、改めて見直そうと思う。
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