イギリスでのティッシュの使い方について
イギリスに住んだことのある人で、ティッシュに驚かなかった人はいないと思う。日本の薄くて柔らかいティッシュに比べ、イギリスのティッシュは厚くて硬い。ティッシュというよりはレストランに置いてある紙ナプキンのイメージのほうが近い。その上、恐ろしく高い。
私が留学していた頃に、よくお世話になっていたBootsというドラックストアでは一箱100枚入りが£１で、今のレートだと１９０円くらい。
アマゾンで鼻セレブは一箱400枚入が３個で1288円。硬くて厚いティッシュが鼻セレブの倍近い値段なのだ。
イギリス人はこれで鼻をかむのか…と驚いた。
そしてもっと衝撃だったのがイギリス人の鼻のかみ方というかティッシュの使い方だ。
彼らはティッシュで鼻をかんだあと、ポケットにティッシュをしまい、そしてまたそのティッシュで鼻をかむ。
初めて見かけたときは、その人がとてつもない倹約家なのかと思った。けれどもその後、私の出会ったほとんどの方々が同じように一度使ったティッシュをポケットに仕舞っていた。
聞いたところによると昔はハンカチで鼻をかみ、ハンカチの代わりにティッシュが普及したらしい。
「イギリス生活」というとキラキラしたイメージを持たれることが多いのだけれど、残念ながら私のイギリス生活はキラキラとは程遠い苦学生だった。
使い心地が最悪のくせに馬鹿みたいに高いティッシュを買うのはやめて、ハンカチで鼻をかむことにした。
それが実に快適だった。
大きいサイズのハンカチだと、同じところで鼻をかまなくてもいいし、何と言っても鼻が痛くならない。使用したハンカチを手洗いで丁寧に洗濯するのは少し面倒だったけれど、それを差し引いても快適だった。
花粉症で鼻セレブでも鼻が痛くなるという人は是非ハンカチを強くおすすめしたい。はじめは抵抗があると思うけれど…
という訳で、ティッシュが家にない生活をしばらくしていたのだけれど、特に困ることはなかった。
手が汚れたら洗えばいいし、何かをこぼしてしまったら雑巾で拭けば良い。
何かをキレイにするためのちょっとした紙が必要なときは、山程届くチラシやDMで十分だった。
それが子どもと一緒に帰国してから、ティッシュを買う生活に逆戻りしてしまった。
赤ちゃんの出す汚れって、一刻を争うときが多い。
カーゼをすぐ手の届くところに山程置いておこうが、全然足りない。
手についた汚れはすぐキレイにしないと、あちこち触って被害が大きくなるし、悠長に雑巾を取りに行ったり、洗いに行ったりしているうちに被害が大きくなっていることも…
さっと取って、すぐキレイにできるありがたさ。
けれども、子どもたちが大きくなった今は、次々と使われるティッシュにイライラしている。
食事中にちょっと口についた、手が汚れた、机にこぼれたであっという間にティッシュの山が出来ていく。
そういう風に育ててしまった私の責任なんだけれど、もうちょっと大切に使ってほしい。
以前、日本に旅行をしたことがあるイギリス人に「日本は豊かな森林があるのに、海外から大量に輸入して他国の森林を減少させていることや大量消費していることについてどう思う？」と聞かれたことがある。「あんまり良くないと思う」と答えた気がするけれど、１０年経ってもたびたび思い出して罪悪感でいっぱいになる。
罪悪感から逃れるために、家では再生紙の物を使っている。
けれども、再生紙のティッシュは人気がないらしく、近所のドラックストアでは何種類もあるティッシュのうち再生紙のモノは1種類だけだ。その他のティッシュはFSC®認証がついていて、森林減少に加担していない厳正に管理された木材をつかっているので地球に優しいと謳っている。
そもそも、ティッシュを使わないことのほうが地球に優しいのだけれど、FSC®認証紙だから大丈夫！という感じは欺瞞だな〜と思う。
日本はティッシュの消費量が世界1位だそうだ。
クオリティーも良く、家計を圧迫するほどの値段でもないから、便利でついつい使ってしまうから納得だ。
なかじま家ではティッシュはもう買いません！というのは子どもたちに受け入れてもらえなさそうだけれど、もうちょっと大切に使うようになってもらえるように頑張りたい。
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