闘う人の試合が終わらないで欲しいと思った日(2024年4月12日、スターダムを観戦して思ったこと)
林下詩美選手のスターダムでの試合が、終わった。
私がスターダムを、プロレスを観るようになったのは詩美選手がきっかけだ。
その詩美選手が、スターダムを去る。
寂しさと、次はどこのリングで闘うのかがまだわからない不安で苦しい(4/15のマリーゴールド旗揚げ会見で新たな所属先や試合の予定は判明)。
この日のメインイベントカードは、舞華&飯田沙耶 vs 林下詩美&上谷沙弥。
黄金世代と呼ばれたライバル、同期、タッグパートナー。そんな面子だからこそ、詩美選手にたくさんの思いをぶつけて、詩美選手もそれを全部受けとめて立っていたように思う。
受け止めて、ぶつけ合って、闘う。試合の激しさは、詩美選手への、互いへの、思いの深さに比例している。
そんな風に闘う詩美さんをずっと見ていたい。でもこの(試合)時間には限りがある。スターダムのリングで見られるのは、この時だけ。それを思うと、涙が溢れた。
時間切れ寸前で、飯田選手が詩美選手に筋肉バスターを決め、フォール勝ちを収めた。
リングの上で仰臥する詩美選手は、どこか清々しい表情に見えた。
これで終わりかと思いきや、上谷選手がマイクを取り、まだやり残したことがある、と詩美選手に詰め寄る。シングルマッチを今ここでやりたい、と社長に直談判。急遽5分間一本勝負のゴングが鳴った。
ずっと見たかった、この2人の試合。
タッグでの戴冠も防衛も重ねて、ユニットの歴史に残るすれ違いや対立を経て金網ケージマッチを生き延び、負傷欠場中も支え合って、同日に復帰して……観客の私が知る範囲だけでこれ程の関係性がある2人が当たり前のように同じリングに立つのは、この5分間の試合が最後になる。
互いの技を受けきって、立ち上がり、思いの丈をこめてぶつかり合う。
残り時間をカウントされる度に、この時間が終わらないで欲しいと願った。
上谷選手が詩美選手に馬乗りになり、駄々をこねるかのように叫びながら拳を振るう。その姿に、こちらの心が震え、試合終了を告げるゴングが鳴り響いた。
闘う人は美しい。
詩美選手はそれを教えてくれた人だ。
入場から最高にカッコよくて、凛々しくて、美しい。
感情と信念をリング上でぶつけていく、そんなプロレスを見せてくれる。私にとって初恋のプロレスラー。それが詩美選手で本当に良かったと、改めて感じ入った試合だった。
さて、次はどんな試合を観られるかな。
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