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闘う人を見て詩人モードになった日(2023年4月23日、スターダムを観戦して思ったこと)

 2023年4月23日、ワンダー・オブ・スターダム選手権試合を観戦して思ったことを綴ったら、何だか叙事詩みたいになりました。
 これはこれで面白いかもしれない気がするので、詩のまま載せます。

【翼の幻影】

 彼女は、宇宙の天使たちの一人だった。

 天使の名を冠したからには、翼のイメージは切り離せない。
 概ね白のイメージがある天使の翼が、白いベルトと結び付くのは、きっと必然だった。

 天使、不死鳥と続いた、翼とベルトのランデブー。
 白のベルトを手に入れたいのなら、翼とは異なる力を示すことが必要。
 その悟りを、気付きを、得たのは、ヴィーナスの名を冠した彼女だった。

 だが不死鳥は立ちはだかる。
 女王の名のもとに、時にはヴィーナスの別名を冠して闘う不死鳥の翼が、天使の翼を吹き飛ばす。

 彼女は武器を失って、本当に必要なものを知る。
 翼を外すこと。
 白いベルトと翼が別の存在であると見抜くこと。

 築き上げたものから離れ、新しい未来へ踏み出すのは怖い。勇気がいること。いつでも頼れる、戻れる居場所や安心感を担保しておきたくなる。
 天使の翼が担ってくれた居場所から、離れること。そこへは戻らないと決めること。

 ずっとヴィーナスを名乗ってきたじゃないか。天使の翼がなくても、自分は自分と、言えるじゃないか。
 ヴィーナスの居場所を築く。自分の力で。

 翼は、いらない。

 その境地に到達し、宣言したからこそ、白いベルトは降りてきた。

 翼を手放した彼女と共に、新しい未来を歩むために。


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