闘う人に受け継がれるプロレスを見た日(2023年12月02日、プロレスリング・ノアを観戦して思ったこと)
この日は全8試合、GHCナショナル選手権以外は全てタッグマッチで、お祭り感も満載。とはいえ、ただ浮かれて終わりということはなく、骨太のぶつかり合いあり、瞬き禁止の空中戦あり、まさかの演出ありで、プロレスのご馳走をたっぷりと食した気分だった。
日が経って思い出す印象は、師弟という関係性だ。
まずは近藤修司選手と宮脇純太選手。
近藤選手は断崖から子を突き落とす獅子の如くリングサイドに控え、宮脇選手は必死に闘い抜く。厳しい師の姿は冷たく映る瞬間もあるが、この厳しさが己の成長に必要だと、宮脇選手は分かっているのだろう。私にはそんな風に見えた。
そして藤波辰爾選手と征矢学選手。
藤波選手が征矢選手の頬を張る。これは闘魂注入なのでは?! と驚いた。藤波選手の師・アントニオ猪木氏の姿が脳裏をよぎる。
さらには新崎人生選手と拳王選手。
御遍路の装束で登場した新崎選手。人の世を生きることは常に修行の場に身を置くこと、と言われているような気がして(勝手な印象ではある)、神妙な心持ちになった。
衣装の面でも非常に対照的な拳王選手が登場し、スペシャルタッグマッチのゴングが鳴る。
装いは真逆に見えても、体幹や姿勢の良さが滲み出る立ち姿の美しさはよく似ている。拝み渡りの継承はまだ成されていないようだったが、それはそれで今後の楽しみだなと思う。
試合は、ドラゴンスープレックスで決着をつけると宣言していた拳王選手を、征矢選手がドラゴンスリーパーで締め上げタップアウト勝利を飾った。
それぞれの師弟のこの先を、また見たい。これもまた、プロレスを観続ける面白さの1つなのだろう。そんなことを思った試合だった。
さて、次はどんな試合を観られるかな。