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東京外国語大学生の履修 #1年春
先日、1年春の成績が開示されました。
今回は、国際社会学部の私が1年春に組んだ履修を紹介していこうと思います。
東京外国語大学を志望する学生、履修に悩んでいる東京外国語大学の学生、東京外国語大学の授業についてなんとなく気になっているその他の全ての人に読んでいただきたいです。
世間では、東京外国語大学の学生は、言語だけを勉強している、といったイメージが強いようですが、そのイメージを払拭するきっかけになればと思います。
*なるべく正確な情報を届けることができるように気をつけていますが、あくまで1学生の個人的な理解や見解に基づいたものです。シラバス変更などにより、現在には適していない内容も含まれている可能性があります。参考程度にしていただき、東京外国語大学HPなどで、より正確な情報を入手してください。いかなるトラブルが発生しても、責任は負いかねます。
1年春の履修例
国際社会学部の私の1年春の履修は、以下のようなものでした。
週に16コマ(基礎リテラシーは半期の授業のため後半は15コマ)、24単位です。
東京外国語大学では、年間CAP制が採用されています。
1年で50単位しか履修できないため、他の面白い授業は泣く泣く諦め、フル単を目指せる程度の履修を組みました。
ちなみに、夏は1コマ2単位、秋は16コマ24単位(もしくは15コマ22単位)、冬は2単位(もしくは4単位)を履修するつもりでいます。
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夏と冬は集中講義であり選択できる授業が少なくなることに加え、秋も夏と比べると授業が少ないです。そのため、春のうちにある程度の単位は取得しておくべきです。
しかし、1年春は大学生活へ慣れる期間でもあり、課題や試験の感覚も掴みにくいです。また、東京外国語大学生は他の大学生と比べてより真面目であり、きちんと成績を取るためには、授業外での勉強も避けられません。無理はしないようにしましょう。
授業紹介(専攻言語・地域科目を除く)
ここでは、専攻言語(赤色)・地域科目(黄色)以外の授業を紹介していきたいと思います。これらの授業に関しては、それぞれの言語や地域の先生によって、授業の内容、評価基準、難易度が大きく異なるからです。
タイ語、東南アジア研究入門、タイ研究入門の授業については、またいつか別の記事で紹介していくかもしれません。
1. 基礎科目(黄緑色)
1−1. 基礎リテラシー
言語文化学部、国際社会学部、国際日本学部の全ての1年生にとって必修となる授業です。単位を落とすと2年生に進級できません。半期で1単位を取得することができます。
東京外国語大学が採用しているMOE(Moodle for Open Education)と呼ばれるウェブサイトの使い方や、東京外国語大学の留学制度といったことや、文献情報リテラシー、ヘルスリテラシー、海外における危機管理リテラシーといった、様々な基礎的なリテラシーについて学びます。
オンライン授業に出席し、小テストとAL(アクティブラーニング)と呼ばれる課題を期限内に終わらせて提出することができれば、Sがつきます。単位を落とすと2年生に進級できないと書きましたが、落単するのはレアケースだと思います。
2. GLIP英語科目・教養外国語(青紫色)
選択必修となる授業です。1−2年生のうちに、専攻言語以外の言語の授業を6コマ以上(6単位以上)受講し、単位を認められていないと、3年生に進級することができません。
特徴的なことは、言語をいくつか組み合わせて6単位以上を揃えることはできないと言うことです。1つの言語を選択し、その言語で6単位以上を揃えることになります。なお、6単位以上を取得した場合は、教養科目の単位として扱われます。
専攻言語が英語の学生は教養外国語を、専攻言語が英語以外の学生は、GLIP英語、もしくは専攻言語以外の教養外国語を履修することができます。専攻言語が英語以外の学生の場合は、GLIP英語科目を履修することが多いです。未習の言語を専攻言語として学ぶ場合、同じ時期に別の言語を新しく学ぶことは、とても大変だからです。
ちなみにGLIP英語科目では、入学前に行うTOEIC−IPテストによってクラス分けがなされており、春・秋共に、曜日や時限、先生を選ぶことはできません。先生により、課題の量や試験の有無、授業の難易度は大きく違うため、相性が悪い場合は、春や秋の履修を諦め、先生を選ぶことができる夏や冬に履修するということもあります。
私は上の方のレベルの学生が集まっている授業に割り振られました。最初は喜んでいたのですが、TOEIC−IPテストはReadingとListeningだけだったため、Speakingが苦手な私には、とても辛い時間でした。2コマのうちの1コマの秋の履修を諦めようとして、夏に1コマ履修することも真剣に考えるくらいでした。しかし、英語に触れる機会は定期的にあった方が良いと思い、秋も継続して2コマ履修することに決めました。とはいえ、成績が開示されてみると、履修を諦めようとしたコマの成績が最も低く、頑張った割にはGPAの足を引っ張っているため、選択を間違えたかもしれません。
3. 教養科目(青緑色)
どの学部の学生も履修することができる授業です。卒業のためのノルマがあります。複数の系統がありますが、私は気づいたら全て自然科学系を選択していました。珍しいタイプの学生だと思います。
2−1. 科学技術と社会(自然科学系)
科目名の通り、科学技術を社会と結びつけて考えることができる授業です。科学技術を、役立てるのか、それとも負の遺産にするのかは、私たち次第であるということを、様々な事例を通して認識させてくれます。また、科学技術によって生まれてしまった新たな社会問題についても学ぶことができます。科学技術といっても、分野は多岐にわたります。医療(臓器移植・生殖医療)、軍事(核・生物・化学兵器)、宇宙開発、遺伝子組み換え食品、そして自然災害についてなどです。
オンライン受講です。小テストや期末試験はありません。授業にきちんと出席し、毎回のコメントシートを丁寧に書き(とは言っても10分で書き切るくらいの内容で良いとのことです)、ALの2つのレポートと期末レポートを完成させることで、難なく単位をもらえると思います。
上に書いたテーマを目にしてワクワクした方には、ぜひ受講を勧めます。一般的にはリレー講義だと呼ぶ授業ではないですが、内容的にはリレー講義だと呼ぶことができます。多くの学生にとって、将来に直接に関係するような学びではないと思います。しかし、教養としてタメになる講義を、飽きることなく楽しく受けることができます。
2−2. 感染症と熱帯医学(自然科学系)
感染症を主とする疾病、環境による疾患、医療制度、医療通訳の知識を学ぶことができます。全般的に医学の授業であり、東京外国語大学の多くの学生には馴染みが薄い話題ではあるのですが、メカニズムの理解というよりは、予防知識の習得を目標とした授業であるため、理系学生だけでなく、文系学生にも向けた平易な授業になっています。
大教室で行われる、人気の授業です。出席、小テスト、レポートなどはありません。成績は期末試験100%で決まります。期末試験では、10問程度の選択式問題が出されます。授業で紹介された問題と全く同じ問題であったため、ほとんどの人が満点を取り、Sをもらうことができたと思います。万が一、期末試験日に欠席してしまったり、期末試験を受けて落単するような点数であったりしても、レポート提出で単位が認められるという救済措置があります。しかし、レポートの場合は、良い成績をつけてはもらえません。
東京外国語大学生に向けた授業ということで、海外に留学、フィールドワーク、そして旅行に行くときに重要なポイントの説明が詳しかったことが印象的でした。自分の専攻地域に行く際には何に気をつけたら良いのか、ということを、それぞれが知ることができたと思います。どの地域の専攻の人にもおすすめです。
2-3. 現代農学の最前線(自然科学系)
シラバスには、「現代農学の最前線の研究状況を,食料・生命・資源・環境などの諸問題に即して解説し,将来世界に活躍する現代人としての基本的な知識を習得させることを目標とします。」と書かれています。この文章の通り、食料生産、バイオサイエンス、環境資源問題、地域生態システム、生命科学という5つのテーマを軸として、授業が展開されました。
オンライン受講です。東京農工大学の先生によるリレー講義という、とても珍しい授業です。成績は、毎回の授業後のレポートと2つのALのレポートによって算出されます。それぞれのレポートの点数は、MOE上で閲覧できるため、安心です。授業後のレポートの難易度は、先生によりけりです。授業を受け1週間が期限であることは変わらないのですが、テーマや文字数はそれぞれです。講義を受けて考えたことを書きなさい、のように感想を聞くレポートや、事例を調べなさい、のようにリサーチを必要とするレポート、〇〇を解決するためには何をするべきか、といった授業テーマに関する理解を試されるレポートなどがあります。文字数の目安は一応600字程度ということになっています。
農学に興味がある東京外国語大学生がそもそも多くなく、他の授業と比べると受講人数は非常に少ないです。そのためか、評判をあまり聞かず、最初は不安でした。しかし、農学に興味がある学生や、自然環境に興味がある学生には、もってこいの授業です。きちんと頑張ればSをもらえるため、コスパの良い穴場の授業だともいうことができると思います。人を選ぶ授業ではありますが、履修修正期間のうちに受講してみることをお勧めします。
2−4. AIのためのPythonプログラミング入門(自然科学系)
Pythonプログラミングを学ぶ授業です。文字コードから学び始め、最終的にはニューラルネットワーク(順伝播)について勉強します。
反転授業形式で行われます。授業前に、動画を視聴し、動画内の課題に取り組みます。そして授業の時に、動画や動画内の課題で分からなかった部分を質問し、提出課題に取り組みます。慣れるまでが大変ですが、慣れることができれば問題ありません。小テストや期末試験はありません。出席、提出課題、AL課題の3つで成績が算出されます。
1年生はほとんどいませんでした。授業は日本語ですが、先生は中国人であるため、留学生によっては聞き取ることができない可能性があります。また、課題によっては難しいと感じる学生もいます。私の場合は、プログラミングに長けた身内がいたため、助けを求めることができたのですが、自力だとかなり厳しいかもしれません。ただ、AIが普及する現在において、AIについて深い造詣のある先生から学ぶことは、とても勉強になります。
4. 導入科目(桃色)
選択必修となる授業です。1−2年生のうちに、4コマ以上(8単位以上)受講し、単位を認められていないと、3年生に進級することができません。基本的には、1年生のうちに単位を揃えておくことが望まれます。導入科目として換算してもらうことができる授業は学部によって授業が異なりますが、教養科目としての換算で良い場合は、他の学部の授業も履修することができます。
国際社会学部生の場合は(他の学部でも同じかもしれませんが)、3年生からのコース選択に関わるため、授業を慎重に選んでいく必要があります。コースは三つあります。地域研究コース、現代世界論コース、国際関係コースです。それぞれの導入科目はこのいずれかのコースに進むための導入となっているため、自分が進むコースの授業を1コマ以上(2単位)以上は履修しておく必要があります。
4−1. 地域社会とSDGs(地域研究コース)
地域研究を専門とする東京外国語大学の4人の先生によるリレー講義です。東京外国語大学らしい授業の一つと言われることが多い、人気の授業です。それぞれの先生が地域研究によって得た視座を用いて、世間的には良いと捉えられるSDGsを見つめ直します。
授業後のコメントシートと、ALのグループプレゼンテーション、そして期末試験によって成績が算出されます。滅多なことがない限りは、単位をくれるそうですが、Sを取るためには、毎度のコメントシートを真面目に書き、ALにも積極的に取り組み、期末試験でも内容のある論述を書く必要があります。しかし期末試験では、授業を受けてさえいれば解釈の難しくない問題しか出されず、専攻地域の事例や自分の考えなどが聞かれるため、ある程度の文章構成力と知識(この講義で扱われた地域や自分の専攻地域)があれば、数時間の試験勉強のみで対応が可能です。
とても勉強になる興味深い授業でした。先生の専門はそれぞれ、アフリカ(ガーナ、カメルーン)、ラテンアメリカ、フィリピン、インドであり、発展途上国として呼ばれてきた地域や国ですが、これらの地域や国を専攻する学生だけではなく、欧米の地域や国を専攻する学生も多かったです。他の大学では得ることが難しい、本物の地域研究を行うための視野を得ることができた気がします。
4-2. 法学入門(国際関係コース)
これから専門的な法学を勉強する学生だけではなく、専門的な法学を勉強するつもりはないが教養として法学を身につけておきたいという学生に向けた授業です。法の解釈、裁判、権利、死刑制度、少年犯罪、臓器移植に至るまで、現代社会の問題や法の問題の重要なポイントを、広く浅くしかし的確に学ぶことができます。ポケット六法で条文を確認したり、先生が具体例として紹介する判例を理解したりして、法学で基本的な知識や考え方を得ることができます。
オンライン受講であり、出席は取りませんが、出席を強く勧めます。授業中に、たまに抜き打ちの小テストがあり、授業に出席していないと解くことができません。授業に出席しさえすれば解けるような簡単な小テストであるため、逃さないようにしましょう。ALは2回ともレポートです。文字数制限はなくA4で1枚を書くことになっています。テーマはわかりやすいです。自分に合った参考文献を見つけ、正しく引用し、自分の考えを述べることができれば、良い成績がもらえます。期末試験では、複数問の○×問題と、簡単な論述が科されます。○×問題は全て授業で説明されたものであり、論述は授業で説明された事例をもとに自分の考えを書くものになっています。満点近く取ることができる生徒がほとんどだと思います。提出形式や提出期限についてはとても厳しい先生ですが、内容自体はそれほど難しくなく、良い成績を取ることも難しくないと思います。
この授業を受けて、ニュースを見る目が変わったと感じます。内容にも成績にも満足しており、個人的にはコスパがとても良いと考えています。それぞれの学生によって合う合わないがあるみたいですが、私はおすすめしたいです。
まとめ
今回は、国際社会学部の私が1年春に組んだ履修を紹介していきました。
東京外国語大学の履修はとても複雑なので、全ては説明しきれていませんが、なんとなくのイメージを掴んでいただくことができていたら幸いです。
私はもともと、言語にとても興味がある、というわけではなかったため、国際社会学部に入り、さまざまな分野の授業を受けることができていることを嬉しく思っています。
他の東京外国語大学生に出会ったら、どんな授業を履修しているのか、ぜひ尋ねてみてくださいね。専攻言語以外にも、興味深い授業をたくさん教えてくれると思います。
それでは、またね。
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