#7 困った子やな(雪村流レッスンメモ1)
私もFetLifeの「Yukimuran Studies」(Salon de SMさん転載)の投稿のように、備忘録も兼ねて、レッスンの記録を残しておきたいと思っておりました。
この度、紫春妟先生から執筆の許可をいただきましたので、試しに1回分、書いてみました。
実際に書き始めますと、当時の状況を記憶で反芻しますので、より問題点が明確になった気がします。
2024年10月12日(土)
紫先生は国内ではプライベートまたはセミプライベートのレッスンが基本です。今回は私を入れて同じ日に3組。縛り手3人が同時に揃うことは稀ですので、お互いのレッスンを見学して意見交換するという回になりました(それぞれが合意の上です。普段は完全プライベートレッスンが基本です)
本日のモデルさんは紫月いろは(IROHA)さん。旅先の東北地方から都内の現場へ直行というハードスケジュール、お疲れ様です。
さて、最初はミストレスの紅麗(Kurei)さん。札幌を拠点に、全国でセッションを行うフリーの女王様です。
紅麗さんはひたすら「獣縛り」とその展開の微調整を繰り返します。獣縛りの形は写真をご覧ください。IROHAさんの青空のような襦袢が素敵ですね。レッスンの詳細は割愛しますが、これだけで2時間です。ハイレベルな調整であることは想像に難くありません。私も必死にメモをとり続けます。
ここで休憩。紫先生持参の台湾土産のパイナップルケーキをはじめ、コーヒーと紅茶で談笑です。台湾のお土産話や、皆さんの近況報告などで語らいました。
続いて私の番です。紅麗さんの緻密な獣縛りに触発されて、私も同じ内容をリクエスト。
まずは前手からスタートです。片方の手首を縛ってから両手を縛る「手錠縛り」を行います。「縄をかけた手首の左右差が気になる」というIROHAさんの指摘があり、最初から確認作業となりました。
たしかに指一本分、片側だけ肘方向にズレています。支配感を大切にするために、基本は受け手の背後から密着して縛ります。密着度も自分の顎が相手の肩の上にあるくらいの密着さです。脱力するIROHAさんの肩をぎゅっと抱きしめ、二の腕で拘束感を維持しつつ、縄だけで手首を操りながらの縛りは、いっけん簡単なようで難しく感じます。
縦の結びの部分で、ぎゅーっと気を入れる動作を。「気を入れる」という所作は、雪村流の独特の表現かもしれません。ひとつひとつ決めていく、相手に観念させるという意味合いがあります。
「剣道で竹刀を振り下ろすように、両手をしぼる動作で」という先生のアドバイス。要約すると竹刀を完全に振り下ろさずに力を溜めるという動作だと思います。結びも最後まで締め付け過ぎないということでしょう。あれやこれやとIROHAさんに感触を聞きながら、どうにか合格点です。
ちなみに、この「気を入れる」という動作は他の縛りの中でも使用します。皆さま、ぜひポイントを色々と想像してみてください。
そのままIROHAさんを横向きに床に寝かします。両足首も前手と同じ要領で縛り、縄尻でコントロールしつつ脚を丸めながら回旋させ、そのまま持ち上げて鴨居の支点に通します。ここでモサモサと上げたり、上げたり下げたりを繰り返しては、受け手さんの気が逸れてしまいます。自分の身体で相手の脚をサポートしながら、一気に脚を上げるのがコツです。
そして手首の手錠縛りの縄尻を、先ほどの脚から支点に通した縦の縄へ。この時に両手と両脚をグッと近づけて決めます。きついポーズですから、いったん決めた後に、引いている縄尻のテンションを少しを緩めなければいけません。
この「決め」の体勢が重要です。ここが受け手さんの感情のピークとなるはずですが、私はこの「決め」が足りなかったようでした。要するに、すぅーっと流してしまったのですね。これでは受け手さんも肩透かしです。
更に、両手を上げ過ぎてIROHAさんの肩が床から少し浮き気味となり、ここも調整。本番ではこの流れをノーミスで、かつ決めるポイントは確実に決め、気を入れて行わなければなりません。
ここまでで1時間。そして、本日二度目の休憩タイム。
後半は、再度の獣縛りを決めてから、アドリブでの勝負に入ります。
獣縛りから体を起こして後手縛りまでは良かったのですが、徐々にボタンの掛け違いが起こりました。自分でも「おかしいな」と自覚しつつ、何度か挽回を試みたのですが、すぐに表情が沈んでしまうIROHAさん。それでも粘って1時間、とうとう先生から「待った」が入り、試合終了です。
冷静に振り返ってみれば、理由は明確でした。
気負い過ぎてしまい、次から次へと先走ってしまったこと。受け手さんを泳がさず、固めにいったこと。結果、受け手さんが縄を味わう余裕がなかったこと・・・。
縄の技術というより自分の心の問題だと思いました。要するに自身の心が整わず、受け手さんの気持ちを汲み取る余裕が無かったといえます。技術ではなく、相手と向き合う心に問題があったという点は、本当に悔しくて仕方がありません。
紫先生曰く、雪村先生なら「困った子やな」と往なすでしょうと。
この俯瞰した視点が大事ですね。どんな状態でも焦らず、受け手さんをよく見る。たとえ思い通りにならなくても、ドンと構えて「困った子やな」と懐深い姿勢で取り組まなければいけません。
紅麗さんからは、第三者が周囲にいると心が無意識に乱れることがあります、とアドバイスをいただきました。
気負いをせず、ナチュラルに相手に合わせていく。しかし決めるところは決める。リード&フォローそして支配の原則です。
次回へリベンジですね。
紅麗さんは都内でのセッションのため、ここで離脱です。またお会いして勉強させてください。お気をつけて。
3組目は女性縛り手のS女さんとパートナーのM男さん。S女さん、レッスン3回目ですが、驚異的なスピードで技術をモノにしています。
とにかく思い切りがよく、迷いが無い縄運びです。アドリブで自らの足でM男さんの身体を踏んで責める姿勢は堂に入っております。雪村流プラス、そのエッセンスを取り入れた、パートナー相手の実践的なレッスンでした。M男さん、気持ちよさそうでしたね(^^)
合計6時間のレッスン&見学が終わり。いったん解散です。
その後、1時間ほど喫茶店へ移動してアフタートーク。レッスンの振り返りや、自身のプライベートのことなども。
先生からは「レッスンの10割が出来たら、それはもうプロの世界ですから」と励まされました。そして「技術ではない」と。先生もプロの女王様として18年間を第一線で活躍されました。その言葉は重く、そして信頼できる言葉です。
毎回NGワード一切なしで、素直にお話が出来るということは、本当に有難いことです。しかもレッスン終わりのお疲れのところ、いつもお付き合いいただくのは本当に感謝しかありません。(了)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?