たった一人の大晦日、トイレが詰まった。
どうしよう。流れない。
それは2024年、大晦日、19時のことだった。
PMSで便秘気味だった。だから、結構な量が出た。それは、2024年を締めくくるに相応しいサイズであった。
一本締めして、レバーを上げる。
ジャーっと流れるものが流れない。
詰まってしまった。
時計を見たら午後7時である。
ラバーカップ、所謂スッポンってやつがいる!
早く近くのスーパーなりホームセンターなりに行かないと、それは手に入らない。
大晦日なのだから、ダッシュでラバーカップを購入。
キュッポンキュッポンと、リズミカルに吸ったり離したりを繰り返すも、流れやしない。
YouTubeで「トイレのつまり解消」と検索し、見よう見まねであらゆる方法を試すもの全く流れず、途方にくれる。
自分の詰まりはとれたのに、その分トイレが詰まるってどういうこと。
ウンコが出て、体は健康になったのに、精神的にはよろしくない。
大掃除だって終わって気分爽快だったのに。
もうだめだ。業者を呼ぼうか。
しかし、独身女のウンコを流して仕事納めだなんて、いくら水道工事業者だって可哀想すぎる。
それ以前に自分のウンコを他人に見せるのは恥ずかしい。
トイレにはウンコがそのままなのだ。
このままでは紅白も見れぬ。
やけになった私は、ええい、ままよ。とばかりにパイプユニッシュをトイレにぶち込んだ。
裏の注意書きには、トイレの詰まりには効かない、と書いてある。
……
…………。
だが、無視して30分置く。
そしてウンコは薬剤によって分解され、少し水位が下がったように見えた。
……いけるかもしれない。
私は祈りを込めてレバーを引いた。
ジャー!
流れた!
やったー!!
あれほど図々しく居座り続けていたウンコが、跡形もなく消え去り、私はヘナヘナと座り込んだ。
そして下半身の異変に気がつく。
あ、生理が来た。
そして、その時思ったのだ。
なぜ、あらゆる不幸、アンラッキーは生理前に訪れるのかと。
今回はトイレの詰まりだったけど、仕事でのやらかし、同僚との関係悪化、離婚、身内の不幸……。
これらが起きるのは、なぜ決まって生理前なのだろう。生理中の場合もあるけれど。
これって、私だけか?
いや、そうじゃないだろう。
そんならことを考えた一人の大晦日。
ほんとに、トイレが流れること。
それは一つのしあわせのかたち。
あけましておめでとうございます。