マツイノゾミ

文学・ロック・歌謡曲について 勝手な解釈を垂れ流す、ただの野球オタクです。

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最近の記事

山内マリコ/マリリン・トールド・ミー③あたしは大丈夫と言えるまで

誰にも助けてと言えなくて瀬戸杏奈にしろ新木流星にしろ、結局似たような問題を抱えているのでは…と①と②で書きました。 瀬戸杏奈はママという最大の理解者(と本人は思ってる)がいるものの、迷惑をかけているという被害妄想から、灯りやクーラーすらつけられずに貧困の中に閉じ込められている。 恋人も友人もおらず、誰にも助けてと言えない。 そんな大学生活の中、一つだけポジティブな出会いがあった。 マリリン・モンローである。 他人から見たら、ただマリリンにハマっただけでしょ。と言われ

    • 山内マリコ/マリリン・トールド・ミー②女性コミュニティの中でしか生きられない男子

      おさらい さて、主人公の瀬戸杏奈があまりの自尊心の薄さから、被害者意識がアイデンティティになり、人の親切をうまく受けられず、その大元は毒親育ちゆえ、というのは①で説明しました。 そして、自分は、貧困のコロナの日本政府の被害者と思い続けていると、自分を大事に扱わない人、被害者にし続けてくれる人と居心地が良くなってしまうのだ。 自分を軽んじる人から離れられない144pからの「四年生には居場所がない」は、ゼミの下級生たちがアクティブに活動している事実に四年生の瀬戸杏奈と新木流星

      • 山内マリコ/マリリン・トールド・ミー①誰にも気付いてもらえない女の子

        はじめに物凄い読書体験だった。 本書は、今まで「セックス・シンボル」として当たり前のように消費されてきたマリリン・モンローを、彼女の生前の勇気ある行動から「フェミニスト・アイコン」として見直そうという主題を持った小説だ。 ハリウッドの男性社会に、マリリン・モンローがどれだけ理不尽な扱いを受け、それにどう抗い続けてきたかを、コロナ時代の女子大生、瀬戸杏奈の視点から辿っていく。 ただ、マリリンの不幸やそれに伴う勇気ある行動や、ジェンダーの問題など、それ自体は素直に読んだら理

        • [小説] ひとの名前をつけられたいぬ

          ドアを開けた瞬間、犬に吠えられた。 アパートの向かいの家のトイプードル。 朝の10時頃から正午まで、庭に放し飼いにされているのだ。 私は犬が好きだ。 この子が吠えているのは、攻撃性からではなくて、かまってほしいから。 出がけにこの子がいるとなんとなく、「行ってくるね」と声をかける。 私が去ると、プードルは名残惜しそうにキャンキャンさけぶ。 だけど、今日はいつもと違った。60代くらいの、飼い主の女性が様子を見に、庭に出ていたのだ。 「おはようございます」 それから、プ

          税金を払っているなら警察を呼ぶべきだ【職場での窃盗について思うこと】

          【はじめに】取るにに足りない盗難事件 昨日一昨日、立て続けに職場で現金の盗難事件が起きた。 被害者は、更衣室のロッカーに鍵もかけずに財布を保管しておいていたそうだ。 彼の財布の中から現金6,000円が抜き取られていた。別の従業員も同様に、いつもならかけている鍵をかけ忘れ、3,000円盗まれていた。給料日前の出来事だった。 現金が入っている財布を、盗まれるという発想すらなく、盗まれてから用心すべきと学ぶだなんて、日本ってほんとに平和なんだなぁと改めて思う。 でも、盗ま

          税金を払っているなら警察を呼ぶべきだ【職場での窃盗について思うこと】

          無視されること、無視することについて。

          職場での無視について考えた 私の職場にあらゆる人から絶対的に信用されている男性社員がいる。圧倒的影響力がある。インフルエンサー的な人気のある人だ。 私は彼について、常に懐疑的だった。 まず、病的な八方美人であること。 自分の評価を高くするためには、平気で他人を落とす発言をする。嘘も平気でつく。 なので、私は1ミリもコイツを信用していない。 まあ、そういう気持ちが態度に出ているのだろう。なにか関わろうとする時には全力で拒否してきたのだ。 それでも、基本的人権はすべての人

          無視されること、無視することについて。

          【後編】いい機会なので不倫について考えてみた。【スリーポイント不倫】

          前編はこちらです 「春にして君を離れ」 前編では…、まるで不倫することを擁護するような考えばかり語ってきましたが… 本番はここからです。恋する2人を止めることは出来ないが、やらない方がいいのが不倫。 不倫を考える時に文学は非常に役に立ちます。 結婚、不倫の影響を考える時に最も参考にしたのが、 「春にして君を離れ」アガサ・クリスティー です。 どういう小説かは脇に置いておいて… 主人公のマダム・ジョーンの娘エイブラルが、20歳以上年上の医師、カーギルと不倫関係で

          【後編】いい機会なので不倫について考えてみた。【スリーポイント不倫】

          【前編】いい機会なので不倫について考えてみた。【スリーポイント不倫】

          はじめに 元川崎ブレイブサンダースの藤井祐眞選手とグラビアアイドルの村島未悠さんとの不倫騒動が報じられてもう3週間ほど経つのか…早いもので。 本当にここ4、5年でアスリートの下半身系のスキャンダルは笑えないものになったと実感しています。 一昨年の坂本勇人選手然り、清田育宏選手然り、あれよあれよという間に、SNSを通じて問題が大ごとになっていくのを見ていると、やはり不倫、浮気などの不貞行為について、自分と世間一般との考えにズレがあるんだな、と再認識しました。 不倫や恋愛

          【前編】いい機会なので不倫について考えてみた。【スリーポイント不倫】

          6/5 ヤクルト西武戦 館山昌平氏の解説に思うこと。

          はじめに ドアラが「交流戦ってすぐ終わっちゃう」と言っていたけど、本当にあっという間。時間の流れは儚い。 昨日の試合もロッテ対中日10-0で心に傷が残りそう。こんな時にドアラがいてくれたら…と思ったりもするけれど、こんな時ふとドアラ、君の存在がいかに大切だったかわかる。お大事にね。 しかし、6/5のヤクルト西武戦、たまたま耳にした館山昌平氏の、ジェフリー・ヤン投手についてのコメントに、心にしこりが残るくらい違和感を持ったので、考えすぎかもとも思ったけれど、ここに記しておき

          6/5 ヤクルト西武戦 館山昌平氏の解説に思うこと。

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動⑤まとめ

          ■ピクニックを読んで、何を感じるか この小説、ここまで読んできて、誰が悪いのか、どっちが悪いのか?と決めつけたくもなるけれど、みんな悪いです。同時収録の「こちらあみ子」は明らかにあみ子は何かの障がいを持っている、ネグレクトの被害者だからなのか、七瀬さんが、現実と妄想がごっちゃになっているかわいそうな人だと思っている読者の方もかなりいて、びっくりするんですけど、七瀬さんは現実も妄想の違いも全部わかっています。なので、春げんきが結婚して、休憩室の話を聞いた時から、姿を表さなかっ

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動⑤まとめ

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動④

          ■嘘をつき続けていると、不安になる いよいよ物語のハイライト、ドブ掃除の部分に入っていきます。 虚言癖の人に嘘はバレる物という発想はありません。そして、自分がついた嘘に酔ってしまうため、どんどん話を大きくして、ファンタジーを壮大なものにしていきます。 でも、ターゲットがあくびをするとか、マイナスな反応を示すたびに、嘘がバレていないか疑心暗鬼になるんです。 そんな時に、春げんきがTVで『最近1番ショックだった出来事』地元の川に携帯を落としたことを話します。 そして、七瀬

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動④

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動③

          ②では、決して七瀬さんは純粋な被害者とは言い切れないということを解説しました。 でも、ここからが今村夏子の真骨頂です。加害者としての七瀬さんを見ていきます。 ■七瀬さんはルミたちに何をしたのか ここから閲覧注意です。人が簡単に信用できなくなる要素が多分に含まれます。 少し水原一平の件に戻りますが、報道されている彼の行動から、いかに大谷選手をカモにして、現金だけでなく、自己陶酔を効率よく摂取してきたか、わかると思います。 それと、全く同じことを、七瀬さんもしているのです

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動③

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動②

          というわけで、ルミたちと七瀬さんがどういう違いがあるのか、見ていきたいと思います。 ■「ルミたち」とはなにか 「ルミたち」はローラーガーデンの主力メンバーで、ビキニになれるくらいスタイルが良く、美しい女の子達だと想像できます。タバコを吸い、コーヒーを飲む。ダンスは適当だけど、ローラースケートを履いている分危険とは隣あわせ。だけど、キャバクラなどの水商売まで踏み込む度胸はない。常にタメ口なのでマナーがなさそう。学歴は高卒以下のようで学生もルミたちの中にはいなさそうです。若さ

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動②

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動①

          ■はじめに たびたび、Xのおすすめや炎上ネタなどで、有名人と結婚したとか虚偽の発言をする一般人のポストが話題になりますよね。  普通の人からしてみたら「なぜ、すぐバレる嘘を付くんだ」と頭を傾げたくもなります。 筆者は昔から、何故か「声優と付き合ってる」とか「元アイドルだった」とかのたまう人に、頻繁にエンカウントするんですが、こういう虚言癖のある人って別人なのに面白いくらい同じ行動をとるんですよね。最近話題の嘘つき、大谷翔平の元通訳、水原一平もそうです。 嘘つきは何故皆

          今村夏子「ピクニック」で学ぶ虚言癖の行動①

          ヤクルトファンをやめて、ドラゴンズファンになった❶

          2023年、ヤクルトファンをやめた。物心ついた時には、ヤクルト黄金時代で親も兄弟も巨人ファンだったけど、ヤクルトを応援するのが一番ワクワクしたから、それが私にとって、一番自然だったのだ。 アイデンティティになるほど、熱狂的なファンでもなかった。それが、地元から静岡に移住して、元野球部の彼氏に連れられて行った草薙球場。巨人戦、先発は由規と内海の投げ合い。雨が降っていた。草薙は雨ばかり。結構な時間中断していた気がする。ヤクルトが勝った。最高だと思った。それで、神宮球場にも行きた

          ヤクルトファンをやめて、ドラゴンズファンになった❶