数百冊本を読んだ私の本の薦め方。
●アルビン!&しまっピーズ「サイモン」役
●カードファイト!! ヴァンガードoverDress「コイデ」役
●ぷよぷよテトリス2「スクエアス」役
●アサシンクリードヴァルハラ「オズワルド」役
●CallofDuty:ModernWarfare:Warzone「アズール」役
●ロシャオヘイ戦記「冠萱」役
●真心が届く「チェユンヒョク」役
等のボイスを担当しております。
宜しくお願いいたします!
*この動画のトークを「だいたいの形」で書き起こしました。
*動画を観る時間取れないよー!という超絶お忙しい方向け。
*あるいはテロップがわりとしてどうぞ。
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どうも、佐原です。
【声優 佐原誠のサハラジ!!】にお越しくださいましてありがとうございます!
ではさっそくサハラジオ、始めて行きますよ、というわけで今回のテーマはこちら
「ジレンマ」
「え、何?Nelly(ネリー)の楽曲の話?」そう思われた方がもしいらっしゃったら、相当な「通」ですね(笑
ほぼ知らない方ばかりだと思うので説明いたしますと、海外のHipHopアーティストにネリーという方がおりましてね。
その方の代表曲に「ジレンマ」というものがあるんです。
デスティニーズ・チャイルドのケリー・ローランドとデュエットした曲で、全米シングルチャート連続1位にもなった名曲なんですね。
このネリー、佐原さんは「(ネリーの)日本公演に足を運ぶくらいには好き」ですよ、とそういうお話でした。
まぁそんなことはいいんです。
何のジレンマかというと「本を他人におススメすることについて」のジレンマです。
佐原さんは以前、別の機会に、脳科学者の「中野信子さん」が書かれた、「人は、なぜ他人を許せないのか?」という本をおススメしました。
そのお話の中ではそのまんま、「その本がなぜおススメなのか」を意気揚々と語っているのですが、さんざんススメ散らかした後に突然
「実はわたくし、他人に本をおススメするという行為に乗り気ではない」という、謎の発言をしたんですね。
「ちょっと何言ってるかわかんないです」でしかない。
(ちなみに僕は、サンドウィッチマンさんのライブDVDを10本以上持ってるくらいには「サンドチッチマン」さんが好きです)
そしてその時は「話が長くなりそうなので別の機会に話します」と言って、理由を説明いたしませんでした。
今回はそのお話をする回となっております!!!
というわけで本題に入りますね!!
この「サハラジオという珍妙な何か」、かれこれ半年以上続けており、これまで30以上ものテーマでトークをしてきたのですが…実は「人は、なぜ他人を許せないのか?」の話をするより前は、一度も「本のおススメをしたことがない」んですよ。
いや、佐原さんが忘れてるだけで、実はしたことあるかもしれませんけど(
佐原さん記憶力やばいのでその可能性もありますので、もししてたらごめんなさい。
でですね、これだけ日頃しゃべり散らかしておいて、おまけに「わたし本読むの趣味です」とか何度も口走っておいて、実はその話を掘り下げたこと、ほぼない。
それは何故かと言うと、先ほども申しましたが「本をおススメする事にあまり乗り気でない派」だからということなんです。
「佐原さんは本を読んでるヤツ」という認識を周りの人からされているので、たまに「何かおすすめないですか?」と質問をされる事があります。
それ自体はとても嬉しい事。もうめっちゃ嬉しい。「よくぞ聞いてくれましたああああああ」って内心思ってる。
その方はどれほどの熱量でその話を僕にされたのかは伺い知れませんが、自分が好きな事、あるいは興味がある事について質問されるのは嬉しいものです。
で実際、僕の中には、過去読んだ数百冊の中から「おすすめの本」というのがいくつかあります。
あるんですが…それをおススメするかと言われたら、うーん、と考えてしまいます。
というのもね、そのお勧めの本は「僕に刺さった本」だからなんです。
刺さったと言うのは「僕がそれに問題意識を持っていて、その本はまさに、その問題について書かれている物」という事。
しかしながら、「僕が持っている問題意識と同じ問題意識をその人が抱えているか」は別の話なんですね。
例えば「なぜヤングケアラーはなくならないのか」という本があったとして(たぶんないですけど)、それはヤングケアラーだった佐原さんには刺さりますが……ヤングケアラーの経験のない方にはまず刺さりません。
「ヤングケアラーとはなんぞや」という方に簡単に説明いたしますと、厚生労働省いわく。
「本来大人が担うとされている家事や家族の世話を日常的に行っている子供」の事です。2021年の流行語大賞にノミネートもされたりしましたね。
2021年に厚生労働省が発表した情報によると「中学生の5.7%がヤングケアラーである」らしいのですが、つまり94.3%は「そうでない」わけです。
ですから大半の人には関係がないので、そのような本があっても、そしてその本がどんなに重要な内容の本であっても、94.3%の確率で、おススメしても相手は興味が引かれないでしょう。
まぁ、約95%の人には無関係な話なわけですから、それも無理ありません。
ただ、今「95%の人には無関係」と申しましたが、実際はそんな事はありません。何故なら。「自分はヤングケアラーでなくても、自分の子供をケアラーにしてしまう可能性があるから」です。
しかし「可能性がある」というだけで人のモチベーションは上がりません。
何故なら「可能性があるだけ」ならば、世の大半の事柄が「そう」だからです。
平和の国日本でも、テロに巻き込まれる事に関して言うと、「可能性はある」わけです。テロだと現実味を感じづらいかもしれないのでもっと身近な例で言うと……たとえば地震でしょうか。
一説によると「マグニチュード8以上の巨大地震の、今後30年以内の発生確率は70%以上」と言われております。ものによっては「80%」とも。
ですが、現実に「その時」に備えて「水や食料や毛布等の備蓄を行っております!!」なんて人、どれだけいるのでしょうか。
70%や80%といったら「ほぼ確定じゃん」くらいの数字。それでも行動を起こすほどのモチベーションは喚起されないんですね。
まぁ(僕の大好きな)ゲーム「スパロボ」だと、作品によっては「この数字じゃ攻撃はほぼ当たらない」ので、そうした例外はありますけども。
すみません急にゲームの話をして(
………で、なんでしたっけ?
そう。
「可能性がある」だけではいかに人は動かないか、ここからも見て取れると思うんですね。「可能性がある」よりも「もっともっとリアルに感じられないとモチベーションにつながらない」以上、そのような本をススメても絶対読まないと思うんです。
つまり僕は、この「モチベーション」というものを、本を読む上で非常に重要視しているということです。
何故モチベーションが大事なのかというと、シンプルに「ビジネス書を一冊読むための原動力は、モチベーションしかない」からです。
マンガや小説などの娯楽は「この先どんな展開が待ってるんだろう、わくわく!」みたいな「引き」を常に意識して作られています。
ので、読者はその「引き」に上手に誘導されて、最後まで読むことができます。
エンターテイメントは基本的にそういう風につくられているんですね。
映画のCMで「衝撃のラストを見逃すな!!」とか「ラスト10分の大どんでん返しを君は予想できるか!?」みたいな文言がありますが、まさにそれです(
しかしながらビジネス書はそうではありません。
話はまず「結論」から入ります。そしてその後に「なぜそうだと言えるのか」の説明が入ります。最初から物語の結末を語っているわけですから、「大どんでん返し」だとか、「この先どんな展開が!?」とかないんですね。
「なぜそうだと言えるのかの説明も【引きの一種】だと思います」という意見もあるでしょう。それは全くその通り。
しかし、その好奇心の根幹には「そもそもそれに対する問題意識を持っているからこの本を読んでる」がある事を忘れてはなりません。
つまりその興味は「本に誘導されたから隆起したものではない」んです。最初から読む動機が自分の中にあるから、「説明」が引きになるんです。
要するに、マンガや小説などのエンターテイメントが「作品そのものや演出が、好奇心を喚起・誘導してくれる仕組み」なのに対して、ビジネス書はそのような好奇心を喚起・誘導する仕組みは搭載しておらず「自分がそもそも持っている問題意識のみが好奇心を掻き立てるものである」という事です。
もちろん例外はありますけど、少なくとも僕が読んできた3桁に及ぶビジネス書は、ほぼそうでした。
ですから、僕が「この本面白いよ!」とおススメしたところで、その人がその本のテーマにピンと来なかったら、例え買って読んだとしても、ほぼ確実に読破までたどりつかないのです。
そして仮にぴんとこないながらも頑張って最後まで読んでくれたとしても、内容が頭と心に入ってこないばかりか「やっぱりこの手の本は面白くないなぁ」といったネガティブなイメージばかりが脳裏に残ってしまい、それ以降ビジネス書を読まなくなるという展開になる可能性が非常に高い。
つまり、下手に本をおススメすると「せっかくの成長機会を奪いかねない」という事です。
それは大変好ましくありません。
「成長機会を活かすも殺すもその人の自己責任っしょ」という意見もあるかと思いますが、でもせっかくおススメを聞いてくれたんだから、いい結果にしたいじゃないですか!!
ただでさえ佐原さんは社会的に役立たずなんですから、このように求められた時くらい少しは人の役に立ちたい!!
しかし、これまでつらつら述べましたように「おすすめのビジネス書を教える」というのはとても難しい現実があります。ですので佐原さんは、他人から「お勧めの本無いですか?」と質問されたらこう答えます。
「書店に足を運んで、ビジネス書や自己啓発本のコーナーに行き、並んでる本のタイトルをざっとみてみてください。ピンときたタイトルがあったら、その本があなたへのおススメの本です」と。
なんかこう説明すると、佐原さんめっちゃ「気難しい人」な感じしますね!
素直に「この本が面白いの!」ってニコニコしながらプレゼンしてくれよと(
それが「ピンときたものが君におススメの本だよ」とかいったいなんなんだ。
佐原さんはいったい何様なんだ。
ゲームやマンガによく居るなぁ、そういう思わせぶりな発言してばっかの人。
「その問いに答える前に、少し昔話をしよう」とか言って回想に入るやつね。「いいからまず答えろや」と佐原さんは思ってしまいがち。
そう!質問に答えず逸らしてばっかといえば、ゲーム「ウィッチャーシリーズ」の「イェネファー」!
あの人はもうほんまにね!!!思わせぶりな事しか言わないんだ!!!事情や状況を説明しないくせに命令ばっかしてくるんだ!!!!なんなんだと。
わからない方、ごめんなさい(
そんなわけで佐原さん、「本をおススメ」する事にあまり乗り気ではありません。
でもね、同時にこんなジレンマも感じたりします。
ようやく出てきましたね「ジレンマ」これが今回のテーマです。
何のジレンマか。
それは「とりあえずプレゼンしてみない事には、ピンとくるもこないもないだろう」というジレンマです。
どういうことかって。
自分がお勧めするタイトルを羅列してみたら、その中にその人が「これならば!」と思えるものがあるかもしれないじゃないですか。
こんな感じの話で、面白い実験があります。
シーナ・アイエンガーさんの「人々の選択」に関する研究です。
この方のお名前をはじめてみたとき「シーナさんはヘビースモーカーなのかな?」と思いました。なぜなら「アイエン(愛煙)ガー」だから。
そんなわけないですね。
佐原さんはこのように、ダジャレで物事を覚えようとする癖があります。
そんな話はどうでもいいんですよ。大変失礼いたしました(
で、どんな実験かざっくり説明しますね。
ジャムを店頭で販売する時「たくさんの種類を置いた方が売れる」のか「種類を厳選したほうが売れる」のか、という実験なんです。具体的には、「ジャムを24種類店頭に並べるパターン」と「ジャムを6種類店頭に並べるパターン」、どちらがより売れるか調べたんですね。
で、結論としては「6種類に厳選したほうが売れた」んです。
これって実はかなり衝撃的な結論でございましてね、
「より多くの選択肢がある方が自分の好みが見つかり購入につながる」というのが、選択の自由を基礎とした経営戦略であるはずなのに、実際には「少ない選択肢である方が、消費者はジャムを買って行った」わけです。
この実験から、「人は多すぎる選択肢を前にすると選択する事を放棄する」ものだという事がわかりました、というお話。
これを今回の「本をおススメする」行為にあてはめるとどうなるか。
「書店で大量のタイトルの中から探させる」より「ある程度佐原さんが厳選したものの中から選んでもらった方が読んでくれる可能性が高まる」と言えるのです。
そんなわけで佐原さんは「おすすめの本は何ですか?」と聞かれた時は、
先ほどのように「書店でタイトルをあさる事をおススメするよ」と前置きしたうえで、いくつかタイトルをお伝えするようにしています。
というお話でした!!
というわけで「ジレンマ」いかがでしたでしょうか?
話をまとめますと。
「ビジネス書は、自身の内側から湧いてくる問題意識という名のモチベーションでしか読破できないので、本をおススメするのは無意味」
という事実と、
「書店で膨大な数の中から本を選ばせるより、厳選した中から選んでもらう方が、読書のハードルは下がる」
という事実。
この2つのジレンマをわたしは抱えておりますよ、とそういうお話でした。
なんとなく、ご理解いただけたでしょうか?
こうして胸中を吐露してみるとですね…「何でこんなことにいちいち悩んでいるの?」と自分でも思いますね。
でもわたし、こういう事考えるのが大好きなんですよね。
なのでこうやって悩むことも「趣味」何だと思います(
まぁとにかくそんなわけで、佐原さん的には「本をおススメする事」が良い事なのかそうでない事なのか、いまだに答えが出ておりません。
が、「それでもほんとにこれおススメなんだよ!」という本があれば、またおススメさせていただくかもしれません。
そしておススメしたときは、胸中にこのようなジレンマを抱えているんだなぁと思っていただければ幸いです(笑
そんなわけで、今回も最後まで聴いて下さってありがとうございました!
それでは、またね!
【了】
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