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【中国コラムご紹介】「”一男一女”って、本当に最も幸福なの?」

中国のお正月(2025年は1月29日から)が迫ってきており、目にする広告も新年に関連するものが増えてきました。

本記事のトップ画像は、「徐福記」というお菓子メーカーの広告で、『新年糖(春節用のお菓子)』の宣伝なのですが、若い夫婦の周りを家族が囲んでおり、子供は男の子と、女の子が一人ずつです。

中国の広告で子供も対象になる商品で、特に男の子向け、女の子向けという特性ではない商品の場合、この”一男一女”のパターンは定番のように感じます。

幸せな家族の象徴としての”一男一女”であり、中国社会でも一般的には”一男一女”は理想的と考えられているようです。

中国では、長らく一人っ子政策が続いたあと、2016年から少子化の問題解決を目指し「夫婦1組につき子供を2人まで持つこと」が認可され、その後、2021年にはさらに3人まで容認する方針が発表されました。

少子化に歯止めがかかっているかどうかというと、中国の記事「一男一女は最も幸福なの?20年経ってわかる、その難しさと現実。(一儿一女最幸福?20年后就知道,儿女双全的家庭太难了,很现实)」という記事によれば、第二子を持つ家庭の割合は以下の通り。

▼2013年:約30%
▼2021年:約43%
▼2023年:約41.4%

2021年に明らかな増加は見られたものの、2023年に再び減少しています。

やはり、不景気の影響が大きいと思われますが、若い夫婦にとって二人以上の子育ては経済的な負担が大きく、少子化問題解決に向けては、単純に出生制限を緩和しても根本的な問題解決にはならないようです。

また、上記データを引用した記事のテーマは題名の通り、中国家庭の理想とされている”一男一女”って、本当に幸せなの?というものです。

記事では、実例や、人気テレビドラマ『欢乐颂フアンラーソン』、『爸爸バーバ去哪儿チィナー』のストーリー紹介を通じ、実は本当に幸せなのは”女の子2人”なのでは?という問いを掘り下げています。

”女の子2人”の方が理想と言う根拠としては、女の子の方が早熟でおとなしく、育てやすい、と言う育てやすさをまず挙げています。

しかし、より重要な問題として、中国の伝統的な「家父長制」、「男尊女卑」が今も残る社会風土の元では、”一男一女”の場合、男の子は大事にされ過ぎ、自立できない、責任能力の低い、しかもその自覚すらない大人になるケースがあり、ひどい場合には、その穴埋めを姉か妹がする羽目になる、と指摘しています。(『テレビドラマ『欢乐颂フアンラーソン』はそのようなストーリーのようです。)

具体的に起こる問題としては、例えば、親が高齢となった時、男の子は親不孝で老後の親を支える責任には思いも及ばず、財産を分与されていない娘の方に頼らざるを得ない場合が往々にしてあるそうです。

その結果、実は娘の方が頼りになった。親は、子育てや、成人後もいろんな面で娘を軽んじてきたが、20年後に娘の本当の価値に気づき愕然とする、というのが記事の本題でした。

男の子、女の子とも自立しそれぞれの家庭を持つなり、または、独身であっても、生活を成り立たせ、老後の親を等しく支えているケースは当然多くあることと思います。

しかし、このような記事が書かれたり、人気ドラマで描かれるように、一見理想的に見える”一男一女”が必ずしも幸福ではない、そしてその原因として「家父長制」や「男尊女卑」という現代中国の根深い課題が存在するといことについて考えさせられました。

稻米油(米糠油)「谷维多」の広告。
これも、一男一女。

本日はここまでとさせて頂きます。

中国のマーケティング専門家やコラムニストの文章は日本人のそれとはまた違った視点があります。新鮮な視点や考えを、このnoteでお届けできたらと考えております。

お読みいただき、ありがとうございました!

(参考記事:「中国、夫婦1組につき子供3人まで容認へ 少子高齢化対策で」)、「一儿一女最幸福?20年后就知道,儿女双全的家庭太难了,很现实

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