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マッチングアプリで失ったもの

”新型コロナウイルス禍でリアルな出会いの場が減るなか、結婚相談所を利用する20~30代が増えている。日本結婚相談所連盟(東京・新宿)に加盟する結婚相談所では、2021年の20代の入会者は18年比で5割増えた。マッチングアプリの台頭で婚活サービスへの抵抗感が薄れたが、「アプリ疲れ」の声も出てきた。仲介人が出会いから結婚までを支援してくれる面倒見の良さが見直されている。”

参照:2022年7月17日 2:00 日経MJ「結婚相談所、20~30代の利用増 マッチングアプリ疲れも

ふと上記の記事が目に留まり、「アプリ疲れ」という表現に大いに共感した。私は約3年間マッチングアプリを使用してきたが、精神的に疲弊してきていたからだ。

前回「マッチングアプリで得たもの」という記事をアップしたのだが、得たものが大きい分、失ったものも大きいと感じる。何か新しいものに長期的に挑戦することは、取捨選択し何かを失うことにもつながる。大それたことを言っているようだが、「恋活・婚活」においても同じことが言えるだろう。

今回はマッチングアプリを通し、個人的にネガティブに感じたものを大きく3つ紹介していきたい。

1. 自己肯定感

まずは自己肯定感について。これは恋愛経験の多くない人ならば、多くの人が感じているかもしれない。

マッチングアプリは基本的にスピード勝負だ。多くの人が同時進行でより良い相手に出会おうと最善を尽くしている。誰かとマッチング出来たとしても、「メッセージの返信が来ない」「突然ブロックされる」ということが日常茶飯事で発生する。悪く言えば薄情な行為がマッチングアプリでは基本なのだ。そしてこの土壌に立ちしばらくすると、語弊を恐れずに言えば、良い意味でも悪い意味でも表面的な恋愛市場での自己価値というのが自ずと見えてくるのだ。

私は恋愛経験が少なく、またどちらかというとプライドの高いタイプであった。過去の恋愛においても慎重派で、自分の恋愛市場での価値・ポジションというものをほぼ把握できていなかった。このこともあり、相手のフェードアウトやブロックにいちいち傷つき、「自分は魅力のない人間だ」と自己嫌悪に至っていた時期も懐かしい。

このように、もし恋愛経験が少ないままマッチングアプリを進める場合、ある程度割り切りが必要だと考える。マッチングアプリで出会う交際前の相手はまず信頼関係もできていないし、よっぽどのことがない限り相手を最優先に考えてくれることはない。特に男性は女性よりも高いお金を払い臨んでいることが多く、少しでも良い相手に出会おうと一生懸命なのだ。

2. 純粋な恋愛感情

次は恋愛経験の少なさがよく分かる気付きだ。少女漫画のような運命的な出会いを夢見ていたわけではないが、これまで「恋愛=ドキドキ、ワクワク」という華やかな印象を持っていた。だが、マッチングアプリの世界ではより「確実さ」が重視されているような印象だった。

まず、会う以前にあらかじめ相手の表面的な情報を把握しており、大体のイメージができている。そして実際に会った際は、話しながらイメージ修正作業を行う。これを同時進行で複数人と行い、お互い取捨選択しながら選ばれた者同士が交際に至るのだ。

複数人と同じように食事に行き、同じような会話をして、気が合えば2回目のデートに行く。3回目は食事だけでなく半日出かけてみようなど、お決まりのコースをいろんな人と経験するのだ。

私の場合、テンプレートデートを通し取捨選択されているという認識が強く、食事に行った際に採用面接に挑んでいるかのような気分になったこともあった。過度な思い込みや良い相手に出会えなかった為と考えたいが、この3年間で純粋な恋愛感情を持てたことは残念ながらなかった。

3. 性善説

最後は、ほとんどの人は体験しないと思うが、個人的な悪い体験に基づく気付きだ。一言で言うと、相性の悪い相手と出会ってしまい、その後の出会いに臆病になってしまったということだ。

私自身、これまで学校や職場で出会う仲間はどこかで接点があり、安心して生活してきた。「きっとこの人はこうしてくれるだろう」「絶対にこんなことはしないだろう」といった性善説に基づく勝手な信頼を寄せていた。そして、もしも困った出来事があったとしても、相手を知る誰かに相談ができた。

だが、マッチングアプリで出会う相手は本当に全く接点のない相手だ。共通の友達もいなければ、どんな環境で育ったかも分からない。

私の場合、アルコールが入ると暴力的になる相手と出会ってしまい、危機一髪その場から逃げ出した苦い経験がある。アルコールがなくとも何だかおかしな気配はあったが、「アルコール+相手を怒らせた」ことが相まって、聞いたこともない暴言を吐かれ大変驚いた。不幸中の幸い、レストランにいたこともあり逃げることができたが、既にこちらの個人情報をある程度伝えてしまっており、しばらく不安な日々を送ることとなった。

そんな相手に会うなんて馬鹿だと感じると思うが、私もそんな相手に出会うとは思っていなかった。また、相手にとってはこちらが最悪な相手だっただろう。この経験はトラウマとまではいかないが、知らない相手をすぐに信用することが難しくなってしまった気がする。

最後に

これまで個人的に感じたマッチングアプリで失ったもの3つを紹介してきた。どれもこちらの心の持ちようの部分があり、参考にならなかった方も多いだろう。だが、マッチングアプリのネガティブな部分を事前に誰かに共有できたのなら幸いだ。そして、このようなネガティブな部分を知ったうえでより良い出会いがあると信じたい。

私自身、これまでにも既にマッチングアプリを通しポジティブに感じた面や、成長できた部分も大いにある。後味の良くない記事のあとのお口直しにぜひチェックしてみてほしい。

それでは、今後の良い出会いに期待して。

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