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マッチングアプリで得たもの

Netflixにて配信されている韓国ドラマ #私の解放日誌にて、こんな台詞があった。主人公の年上の友達で、恋愛経験豊富な姉御的存在であるチ・ヒョナの台詞である。

男がいない?たくさんいるじゃないの。
80点の男を探すからよ。
(省略)
私は20点の男でもそこにホレて付き合ってる。
20点あれば十分でしょ。
30点に会えれば”ありがとう”
40点なら”大当たり”

Netflix|私の解放日誌 Episode2より
Netflix|私の解放日誌 Episode2より

この台詞が個人的に胸に響いた。「出会いがない」「相手がいない」という言葉はよく聞くが、私もどこかで自分のことを棚に上げ、理想の相手を追い求める、いやただ待ち続けていたのかもしれない。

私の点数が何点かは分からないが、明らかに100点近くではない。それなのに相手に100点を求めるのはナンセンス。頭では分かっているつもりでいたが、自分事として理解できていなかったようだ。漠然といつか結婚して子供が欲しいと思ってはいたが、恋愛からは大学時代以降遠のき気づけば20代も中頃を迎えていたからだ。年齢を理由にしたくはないが、子供が欲しいのならタイムリミットがあり、子供を一緒に育てられる良い相手を見つけるのなら早めに動き出すに越したことはない。だが「まだ大丈夫」と高を括り、自分が動かなければならないという認識に至っていなかったのだ。

そういう現実味をようやく感じ、私も約3年前にマッチングアプリの使用を始め、これまで7名程の方と会ってきた。1回食事に行った限りの方から、交際に至った方まで様々だ。

人数が多いわけではないが、マッチングアプリという出会いから得たものは多い。ここではマッチングアプリの良い面に焦点をあて、私が得たと思うもの、成長できたと感じる点を挙げていく。

1. 場慣れ

まずは場慣れについて。私自身これまで学生時代に数名の方と交際した経験こそあるが、男友達はほとんどいない。気軽に男性と会話するということに慣れておらず、男性の趣味に合わせたトークもできなかった。

マッチングアプリの場合、他の出会いに比べ双方の趣味や関心事、性格傾向が分かったうえで会話を始められる。特にテキストメッセージで会話をスタートできるから第一歩を踏み出す負担が小さい。これが私にとってメリットで、少しでも合いそうだと思う相手がいればメッセージのやり取りを始め、さらに気が合えばスムーズに食事に漕ぎつけた。気軽に効率よく場数を踏むことで、男性と話すということへの恐怖心のようなものが薄くなったように感じる。

マッチングアプリという比較的匿名性の高いツールを上手に使えば、出会いの場は一気に広がるのだ。そしてコミュニケーションの練習の場として活用できる。

2. 自己市場価値の把握

次に自己市場価値の把握について。これはなかなかセンシティブな部分だ。

マッチングアプリを使用したことがある方はご存知だと思うが、まず簡単にマッチングの仕組みを紹介する。私が使用したアプリではまず「いいね」のようなトーク申請が届き、これに「ありがとう」のように応えれば「マッチング成立」となりテキストメッセージの送受信が可能となった。「マッチング成立」と聞けば、おめでたいような感じがするが、単純にそういうわけでもない。

一概には言えないが、先に自分でも書いたように、多くの人がアプリで場数を踏んでいる。テキストメッセージのやり取りも同時進行で複数人と行うことが多く、突如返信が無くなりシャットアウトされることも全く珍しくない。食事に行った後に連絡が無くなることもあり、これにはなかなか傷ついてしまう。ただ一方で「相手と自分が釣り合っていたか」を冷静に考える機会にもなった。単純に外見や経歴などの表面上の釣り合いもそうだが、経験値や話のレベルの釣り合いも大きい。

例えがあまりよくないが、就職活動で選考を通し自己市場価値を探るように、マッチングアプリは恋愛市場での大まかな自己市場価値の把握にも役立つ。恋愛に市場価値の考えを持ち出すことは不本意ではあるが、実際にアプリを使用し自分にプラスに働いた経験を踏まえここに挙げた次第だ。私の場合は自分の市場価値の低さに落ち込みつつも、自分の魅力に気付き、良い部分を磨く機会となった。

3. 自己理解

最後に自己理解について。これはアプリを始めて最も良かったと感じる点だ。

一般的にマッチングアプリでは、自然な出会いに比べお互いの表面的な情報を知った上でデートをする。趣味や職業だけでなく、恋愛や結婚に対する価値観、どんなデートを好むかなど聞きにくい情報を初めからチェックすることができる。いわゆる「条件」を事前に吟味することができるのだ。

私の場合、頭でっかちに「○○な条件」の人が合うだろうとどこからきたか分からない自信のある仮説を持ち、条件に合った相手に複数会ってみたが、どの方も交際相手には発展しなかった。同じような経験を繰り返し、仮説の条件は恋愛には重要ではなく、「外見」を割と重視していることに気付いた

これは自分を棚に上げ、イケメンが良いという話しではない。「外見」にオーラというのか、その人の奥深い情報が表れているようで、ここに惹かれるポイントがあったようだ。そして表面的な「条件」よりもこの直接会った際の感情に従った方が恋愛は上手くいくことが分かった。一種の仮説を持って実際に試したら、結果(現実)は仮説と少し異なることに気付いたのだ。

マッチングアプリでは、普通に生活していては会うことのない様々な条件の方とコミュニケーションをとることになる。これは相手を知るだけでなく、実は自分の価値観に気付いたり新しい自分に出会う機会になるのだ。

最後に

ここまで、マッチングアプリから得た3つのポイントを挙げてきた。実際に現時点で続いている恋愛はなく、正直なところ上手く活用できていないのかもしれない。だが、上に挙げた通り確実に自身を知り、ポジティブに恋愛を楽しみたいと思えるようになった。これは私にとって大きな成長だ。

恋愛は100点を求めていては何も始まらないだろう。100点の人にいつか出会えると待っている間に死を迎えるかもしれない。試行錯誤を重ね実際に行動し、自分にぴったりのものを見つけるというのは、私生活でも恋愛でも同じであろう。

ただ、実際にマッチングアプリを使用して、このようにプラスになった部分と、反対に自分にとってマイナスになったと感じる部分もある。「マッチングアプリ=危険」とまではいかないが、やはり気を付けたい点は多い。次回は「マッチングアプリで失ったもの」に焦点をあて経験を紹介したい。

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