喜撰笠

源平の戦の頃
隠れ住んだ平家の公家は
その日の暮らしのため
手近で香りの良い木材を用い
笠を編む
熊野詣にいらっしゃる貴族や
庶民の間にも広がり 貴賎笠(きせんぼ)と称され
名を産地にちなみ皆地(みなち)笠とも言われ
今も脈々と伝統は続く
素朴で肌目良い桧材は
雨を弾き 日にも強い
風は通し 軽く丈夫
唯一の作り手より 明日に繋ぐ師事を受け継ぐ

いいなと思ったら応援しよう!