玉坂汐音という存在#3

玉坂汐音、君は”私”だ。

優しく穏やかで、いつも笑っている。だからどこにも君の敵は存在しない。レイヤー重めの豊かな焦げ茶色の髪、温かい感情に満ちた奥二重の目、厚めの唇、肉付きが良いがギャルブランドも着こなせる絶妙なプロポーション。可愛いとも美人とも持て囃されるわけでもない、しかし事実としてある可愛い女の子。

君は私だ。私から見た、私だ。私から見た、私でありたい私だった。

それでもさすがに、分かっていた。君は私という記号を持った、別人だった。

それでも私は気付かなかった。"クラスメイト"の中に混じる君が、一際特異な存在であることを。私の主観での現実世界に存在する"クラスメイト"の中で、君だけは存在しないという違和感に。

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