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【要約】なぜ働いていると本が読めなくなるのか 三宅香帆


このタイトルに惹かれて購入した人も多いはず。
私もその1人です。「わかる!」って強く共感しました。
積読の絵もいいですね。

本書で学べることを書いていきます。
なんで働いていると本が読めなくなるのか
その理由を深掘りしていきましょう。


本は読めなくても、インターネットはできるのはなぜか?

現代日本では、仕事の忙しさが原因で「文化」に時間を割くことが難しくなり、多くの人が本を読む余裕を失っています。情報が容易に手に入るインターネットとは異なり、読書による知識は偶然性(ノイズ)を伴うものです。しかし、働き詰めの生活では、この「ノイズ」すらも排除されがちです。本書は、こうした社会で「働きながら本を読める社会」を実現するための考察を示しています。

著者自身も読書が好きで、忙しい日々の中で本を読む時間が失われていることに気づきました。通勤時間や夜の時間に本を読む余裕はあったものの、結局スマホに時間を取られるなどして読書の習慣を失っていったのです。その後、会社を辞めて本や漫画の解説や評論を書く仕事に転じ、読書生活を取り戻しました。この経験から著者は、現代の働き方が読書などの「文化的活動」を搾取しているのではないかと問いかけます。

働いていると疲労して簡単な情報に行動が移りがちです。
何となくスマホを見ていて1時間という経験。皆さんもあるのではないでしょうか(私も頻発していました)涙

働き方と読書の歴史的変遷

本書では、特に2000年代以降の働き方と読書の関係に焦点が当てられています。この時代、日本社会では「仕事で自己実現すること」が理想とされ、「好きなことを仕事にする」という価値観が強調されるようになりました。2002年に始まったゆとり教育やベストセラー『13歳のハローワーク』がその象徴であり、好きなことを仕事に結びつけるという考え方が広がりました。しかし、同時に労働が自己実現の場とされることで、教養を通じた個人の成長が後回しにされるようになりました。

また、2000年代はIT革命が進行し、情報収集が容易になる一方で、読書離れが加速しました。インターネットで得られる「情報」には偶然性がなく、効率的に目的を達成できる反面、読書のような新しい発見や思索をもたらす体験が排除されていきました。これにより、「労働に必要な情報」以外の知識や趣味がノイズと見なされる風潮が生まれました。

「半身」で働く新しい生き方

著者は、「全身全霊で働く」という働き方を見直し、「半身」で働くことの重要性を提唱しています。この概念は、社会学者・上野千鶴子さんが示したもので、仕事に全てを捧げるのではなく、家庭や趣味など他の活動にも自分の時間を割り当てるという考え方です。読書もまた、この「半身」の姿勢で取り組むべきだと著者は述べています。

例えば、忙しい中でも書店を訪れて気になる本を選ぶ行為そのものが、自分の内面や文脈を反映した文化的な行為です。自分も本屋へ行くのがもの凄く好きな時間ですが、働いているとそれすらも難しいですよね。

まとめ「働きながら本を読める社会」を目指して

本書の結論は、「全身全霊」の働き方を改め、「半身」で仕事や文化に向き合う社会をつくることにあります。全身でコミットし続けることは、自己を搾取する「疲労社会」につながるため、効率を追求するだけでなく、文化や余暇を楽しむ余裕を持つべきです。読書はその一歩であり、偶然性や他者の文脈に触れることで、労働中心の社会から脱却する可能性を示してくれます。

本書は明治時代から現代までの働き方と読書の関係を詳しく分析しており、歴史的な視点から現代の課題を考える手助けをしてくれます。読み進める中で、多くの気づきや考察が得られる一冊です。働きながら本を読むことの意義を再発見し、より豊かな人生を築くためのきっかけを得られます。

書ききれないのですが、学びがたくさんありました!

是非ご一読を!

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もずく@ADHDフリーランス
たくさん本を読むので、書籍の購入費用に充てます! あとは通院費用。。。発達障害って大変。。。