どこにいるのか、の、こたえ
夏のおわりに9年一緒に過ごしたミニうさぎのホロが死んだ。
正社員を辞め、バンドにハマった時からずっと一緒に過ごしたホロ。
江古田、方南町、代田橋、三鷹、そして東村山。
4回の引越しをするなんてうさぎ界隈では珍しいのではないのかな。
本当にうさぎが月に還る種族なら、今頃仲間内で
「わし、4回も引っ越ししたんよ。新しい環境になれるまでが大変だったわ〜」
なんて話してるのかな。なんて想像したりする。
ホロは家族になってすぐに不正咬合気味で。
おまけにスナッフルかもしれないと指摘され、通っていた駒込のエキゾチック専門の動物病院では
「残念だけどそんなに長くは元気に過ごせないかもしれないよ」
といわれたほどだった。
それでもホロは9年と4ヶ月と1日、生きた。
月に還る1日前、もう横たわる事しか出来ずに遂には水も飲まず、大好きなゼリーも食べず。
ただただ、静かに、最後の時を待っているようだった。
それでも声をかければ、ホロの好きな場所を撫でれば、元気な時にしてくれていたように鼻をヒクヒクさせたり、耳を少し持ち上げて「聴こえているよ」とアクションを返してくれた。
そしてね、1日前の夜。
いつお別れでも悔いが残らないように毎晩毎晩たくさんのありがとうを伝えながら身体を撫でていたら、自力でもうほどんど動かない身体を持ち上げて元気な時のようにおすわりの姿勢をとってくれた。
今思えばあれが、ホロの最後の挨拶だったように思う。
余命1ヶ月の癌宣告から半年と少し、本当に最後の2日間を除いてずっと元気でいてくれたホロ。
歯が悪いのに食いしん坊で、嬉しいとぶうぶう鳴いて、可愛いホロ。
ありがとう、どうか元気で。
また会いたいよ。
次日には個別火葬をしてもらって骨を拾った。
小さな爪の一つ一つまでしっかり残っていて、尻尾の先の刺繍針くらい細い骨も。
骨を納めるときのカンッと鳴る清らかな音が懐かしかった。
父親の骨と同じ音がした。
死んだらみんなどこへ行くのかなって。
私の小学3年生からの疑問の答えがしっかり出た気がした。
みんなどこへも行かない。
月にだって還らない。
みんな、骨になる。
ただ、それだけ。
思い出の中で生きているだけ。
どこにも行けない。
どこにも行かない。
白くて生きているものには出せない音を持っている、骨になる。
骨になって、各々の決められた場所に留まる。
それが終わり、死ぬということ。
あの世なんて人が作り出したどこでもない場所で、どーでもいい場所だ。
ホロは今も我が家にいる。
骨になって動かないし、ご飯も食べないけれど。
月には還らない。
それは私の、私の中のホロへの希望だ。
だから朝がくればおはようと伝えるし、眠る前にはおやすみって、これからもしゃべりかける。
ホロ、ありがとうねぇ。
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