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【ゲーム業界よもやま話】2001年度ゲームプログラマー新人研修

書類を整理していたら、私が新人時代の研修資料が出てきました。
せっかくなので、今日はその内容をちょっと紹介。

入社前研修の資料
(2 枚目の名簿がうっすら見えていたので少しノイズをかけてあります)


今のゲーム業界を目指す学生たちにとって、特に役立つものではないと思いますが、当時の雰囲気を感じ取ってもらえたら幸いです。





《採用試験~入社まで》

当時は、「サンプルプログラムを送る」か「プログラムの試験」を行うのが一般的でした。

サンプルプログラムは、一度作ってしまえばあとは楽なので、私がゲーム会社に応募した理由の一つでもありました😁


◎入社前課題

私が入社した会社では、以下の 2 つから選ぶことができました。

  1. 入社までに課題のプログラムを提出する

  2. 入社前に会社でバイトとして働く

私は (1) を選んでいたのですが、会社の方から

人手が足りないので、バイトをする気はないか?

素材提供:Adobe Stock


と電話が来たので、途中から (2) に切り替わりました。
なので、私のキャリアのスタートは 2001 年 3 月なのです。


◎課題内容

課題内容は、一部抜粋すると以下のようなものがありました。

◎ファイルをダンプするプログラムの作成
◎簡易 ls コマンド(ディレクトリ内容の表示)の作成
◎簡易 grep コマンド(ファイル内容の検索)の作成
◎簡易データベース操作プログラムの作成
◎ビットマップファイルの色数変換プログラムの作成
◎3D プログラム用ライブラリの作成
 ・ポリゴンの表裏判定
 ・円柱との距離判定
 ・任意の頂点を任意の平面に写像する行列
◎バイナリエディタの作成
◎可逆圧縮プログラムの作成


当時の記録が残っていないので、
私がどこまで提出していたのかは不明です(´・ω・`)


《新人研修》

私も 4 月になってから他の同期たちと新人研修を受けました。

当時の研修資料


◎C言語基礎

学生プログラマーだと、「動くもの」は作れても、言語仕様を詳しく勉強していないことがあります。そのための研修です。

関数の呼び分けを関数ポインタではなく、switch 文を使っていたり
strncpy( ) ではなく、strcpy( ) を使っていたり
int 型のサイズは何に依存しているか知らなかったり
ローカル変数の多い関数を再帰させてしまったり
・・・とか、そんな話。


私は、ANSI C言語仕様オタクだったので大丈夫でした。(^^)v
学生時代の愛読書「新 ANSI C言語辞典」は良書でしたね。


◎3D グラフィック基礎

当時、描画エンジンは各社のプログラマーが作るものでした。
このときも、「3D モデルファイル」と「ライン描画関数」を渡されて

このファイルを読み込んで描画するプログラムを作ってください

というのが研修でした。

まぁ、変換行列を作ってしまえば、あとはモデルデータの各頂点に掛けるだけですけどね。
ゲームプログラマーを目指すみなさんも、もし時間があるなら一度自分で作ってみると面白いと思います。


◎PS2 基礎

PC 上で作った描画プログラムを PS2 上で作ってみる研修です。
PS2 には OS は搭載されていないので、ハードウェアマニュアルと睨めっこしながらの作業になります。

・・・ただ、私はこの時点で

ちょっと開発ラインの人手が足りないので、そっちに行って

素材提供:Adobe Stock


と言われて、ここで離脱ということになりました😅


《余談》

実は、私がスタッフロールに載ったゲームは GameCube と Xbox だけなので、研修時代に PS2 の開発機材を触れなかったのは、結構悔しかったりします。

ゲーム会社を辞める直前の数か月間だけ、PS2 ゲームの開発をしていましたが、発売には至りませんでした。


今では、使うプログラミング言語も違えば、自分たちで描画エンジンを作るなんてことも、ほぼなくなったと思います。
今は、他に覚えることがたくさんありますしね。

ただ、3D ゲーム黎明期のこの経験は、
私にとって非常に楽しいものでした😄




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