ベトナム人が日本へ出稼ぎの理由
Cool Japan財団のがんばり成果なのか、2024年になっても「ベトナム人は親日なんですよね!!」というお話が定期的に出ますが、逆に「ベトナム人労働者の日本離れ」というニュースも増えてきたような気がします。
そんな中、こんなリアルな肉声動画が流れてきました。
※この方は「聞かれるから言っているだけ」なので特別なにか日本に対して不満、主張をしているわけではないと思いますので念の為。
日本は相変わらず出稼ぎ先No.1
昨年に比べると「日本が出稼ぎ先として敬遠されている!!」というニュースはかなり減ってきましたが、理由は法案が可決されて煽る必要がなくなったからだと思ます。
ステルス移民制度の呼び声も
批判のポイントはいろいろありますが、要するに本政府が「移民」と定義をしないで定住できる制度にこっそり変更した「ダブルスタンダード」で、国側では正式にそのためのシステムを作らず、地方自治体に丸投げ+警察などの対応・法整備がおろそか、ということかと思います。
真っ当に移民政策をシステム構築をしながら進めてきた「システム化」強国の北欧やドイツが移民問題で現在も上がっているのを見ないふり、という感じで日本お得意の「動きが遅すぎて、始める間が悪すぎ」という「バブル崩壊するタイミングで投資するぞ!」、みたいなストーリーが今回も綴られそうです。
外国人労働者の主な供給源、ベトナム
とはいえ人手不足は現辻の過大なので、粛々と進んでいましてこのようなニュースがベトナムではでています。
ChatGPT先生にベトナムの拝金主義を聞いてみると
よくベトナム人は「拝金主義」という話を聞きますが、実際のところ切実な状態からそうなるのだろうな、という想像はできます。
ベトナムの拝金主義についてはChatGPT先生に聞くとこんなご返答でした。
結論:ベトナム人はなぜ日本へ?
円安なのにまだまだベトナムで働いている人がたくさんいます。理由はズバリ、ベトナム人が日本へ仕事に行く最大の理由は「ベトナム国内で良い条件の仕事に就けない人」だからです。
ベトナム人の「日本で稼ぎ」の主な印象は「農家で労働」です。ベトナムは農業国&後進国ですので、今も水牛を使った昔ながらの水田が広がり労働集約的な農業をしている地域もたくさんあります。同時にトラクターや稲作複合機なども導入が進み、ツーリング中にも目にするようになってきました。
ベトナムは農業国で自国産業はまだ育成中ですし、平均所得が低く貨幣経済どっぷりになっていないので「産業」が「集金」できる量が限られています。企業が金を集める量が限定されているので高く人を雇う産業が少ない、というのが現実です。また縁故社会、共産党一党独裁なので個人の頑張りで良い条件のところへ割り込む余地は少ないでしょう。
「日本」へ行く理由としてはシンプルに
VISAが発給される(可能性がある)
円安でもベトナムよりは給与が多い(と思っている)
ベトナムの仕事も安くてキツイ
ベトナムの国策(日本政府とネゴって日本語教育をした)
がベースにあります。
イギリスで不法移民を運搬中のコンテナでベトナム人大量死の事件がありましたが、多くの国ではベトナム人移民はNGです。理由は日本で起きている問題と同じでしょう。
移民労働の一番の要件はVISAであり、日本を目指すのは日本が研修制度でVISA発給したのが主因。行けるから行くだけです。
ベトナム人にとって冷酷な前提は低信用なパスポートです。社会主義国のパスポートで行ける国は同じ国体の仲間同士だけで、それらの国は問題アリアリの極貧地帯。貧乏なので出稼ぎ先にはなりえません。共産主義が貧乏しか産まないのはベトナム人が一番良く知っています。(理屈はわかってないかもですが)
給与に関しては後述しますが地方では今も貧困国状態が続いていて、貧困=犯罪という問題も。ベトナム国内でOOの出身者は雇いたくない、という地域差別問題もあるようです。
研修制度は他の国でも似たような事をしていて、たとえばドイツは看護師の受け入れプログラムをしています。
ウブなベトナム人アニキ
出稼ぎベトナム人の中には日本で働いたお金を仕送りしたり、ためたお金を元手にレストランを開業したような人もいれば、「日本で働いたお金を散在して借金だけ残った」とか、人により日本で稼ぎの結果はバラバラなようです。
その人の気質もありますが、就労した職場の人達の気質にかなり影響されるようで、以前に日本に行ったことがあるベトナム人の武勇伝を聞くと
叱責や長時間労働のストレスで散在してしまう
就労条件の悪さで生活費が高めでお金が残せない
飲み屋などに連れて行かれ、悪い習慣ができてしまった
と言った話がありました。日本の残念な風習であるキャバクラやスナックなど風俗の「概念」は特殊なもので外国だと風俗=売春なので、相手が商売女だと理解できずに入れあげてしまう、ということも。 仕事がガテン系とかだと日本人が連れて行くのでこれが良くないようです。
ベトナム人は一般的に長期的視野で計画したり計算したりは、育つ環境・情報や経験の少なさ諸々があり、日本人の平均から比べるとかなり能力が低いので「借金・無計画・散在」で犯罪に走る人が多いのは容易に想像ができますよね。
日本で犯罪を犯す人の一定数には「悪い環境」でお金が残せず、借金返済のためしかたなく、というパターンがあるようです。こういうのは移民受け入れをすれば避けられないコストとして、見積もっておくべきなのでしょう。
コストに関しては短期、中期で考え方を変える必要があるようで、移民先進国のスウェーデンはかなり前から東欧のギャングが入り込み、銃器がコンテナで「こっそり」大規模密輸されたりで現在は欧州で最も重犯罪が多い国の1つとされています。
嘘つきは泥棒の始まり、というのはベトナムに居ると嫌と言うほど体験できますが、泥棒はギャングの始まり、というのが中期でのコストになるのかもしれません。
韓国の例
韓国への移民労働では現在60万円ほどを保証金として協会に預ける必要があり、一定の基準をクリアした人が融資を受ける形で賄うようです。
また韓国は、犯罪率が多い地域からの受け入れをBANしています。ベトナムは不動産がないと戸籍を別の場所へ簡単には移せないため、韓国は良く考えて受け入れをしているな、と感心します。
実際に韓国へ留学していたベトナム人たちに聞くと、韓国では猛烈な差別があり、理由はかつて出稼ぎに行ったベトナム人たちが日本と同じく泥棒・軽犯罪で大問題となり国民感情としては「泥棒をいれるな」となっているから、だそうです。保証金の仕組みはこの国民感情を考慮して出来たものでしょう。
いずれの国でも同じで、「本国の人がやらない仕事/価格のために人を入れれば底辺の人が集まる」 という当たり前の現実があるのだと思います。
以下は、ベトナムのニュースから見る、日本の移民問題での背景理解の一助になればと思います。
ベトナムの昇給と最低賃金
ベトナムオフショアITの社長さんと話すと「ベトナムは法律で毎年給与を5%以上上げないといけないので大変」というお話がよく出ますが、これはウソです。確かに旧正月テト休暇前後には1ヶ月+の賞与(13ヶ月契約)と評価・昇給をすることが慣例となっていますが、昇給率は公務員および最低賃金の率を規定するもので、一般平均より遥かに高いIT技術者の昇給は範囲外です。また最低賃金は全国一律ではなく、省や地域ごとに違い生活コストの高い都市部と僻地で4種類に分類され、地域差は日本と比べてかなりの違いがあります。
ベトナムの最低賃金は2024年の7月の改定では、
一番高い地域で496万ドン/月(29,721円)時給で23,800ドン(142.6円)
一番低い地域で345万ドン/月(20,677円)時給で16,600ドン(99.5円)
と未だにかなり低く、また地方では30%以上の差があります。
時給は飲食店のアルバイトで学生さんの金額がちょうどこのくらいです。殆どの場合、日本人の5歳下くらいの感じの能力で見積もる必要があります。
知識や技能だけでなく主体性も低いため、学校の班ごとのようにグループで管理・仕事をさせてたりします。(子どもを一人にしたら即ゲシュタルト崩壊になるためです。)
ITでも同じで、日本の3−4倍の人数でやっと回るようなケースも多いです。
人数が多いと自分にかかる責任が小さくなるため、個の力が小さい後進国や独裁による考えない教育の国では避けて通れない問題です。
工場労働者の厳しい現実
ベトナムの工場労働と言えば、アパレル、靴の生産が有名です。
ユニクロやアディダスなどのタグを見るとベトナム産だらけになっています。縫製工場など単純労働の単価はやすいようで、この動画を見ると最低賃金クラスであることがわかります。
コロナで工場離れ
コロナの隔離で工場は軒並み一時閉鎖となり、多くの労働者が仕事を失ったり、自宅待機の減給で生活コストを支払えなくなり、地方の実家へUターンとなりました。コロナ後に工場の仕事に再び戻りたいという人は少なかったようで、工場再開でも人が集まらないという報道が目立ちました。
IT関係の仕事をすると周りにいるのは中流家庭以上で大切に育てられたベトナム人ばかりですので、工場労働について話を聞くと露骨に下に見ている雰囲気があり「田舎の人達」という区分けを感じ、中国で起きている問題の小型版なのだな、という印象を強く受けます。
余談ですが、日本からIT関係の仕事に来ている日本人は殆どが「お客と話を合わせる日本語担当」で専門家はあまりいません。(が専門家VISAを使うので賄賂で問題になっています) この辺りけっこう闇が深く、PMやブリッジSE(SE並みの知識があって客担当する建前)なのに、バックパッカーとか海外で働きたい新卒浪人とか「仕事以外の目的」の人も多いのです。
なので、ベトナムでは「超優秀扱い」なベトナムITマンからすると「かなり下のランクの人」と見られてたりします。 中学生が小学生を見るような感じですが、開発上プラスは何もなく、客からしたらたまったものではありません。
そんな雰囲気は日本人村には色濃くあり、ベトナム国内の「外国人がわからない偏見」は、かなりすごいんじゃないのかなー、っと横目で見ています。
副業が基本なベトナムライフ
良くベトナムの政府・警官などで言われることに「給与収入の額を知らない」という話があります。これは賄賂や副業の実入りのほうが遥かに額が多いから、ということです。そこまで行かなくてもベトナムでは法律で副業の権利が認められているので副業はあたりまえ。 工場労働者が戻らない背景にはコロナ中他の副業を頑張りそちらが本業になるケースも有るようです。
日本はなぜか雇われている人が経営者の立場で「副業をしたら本業がおろそかになる!」といきり立つ人がいますが、海外に出ると「単なる奴隷根性」と笑われるか、困った笑い顔でスルーされるだけではないかと思います。
こうういのは習慣とか風習で自分が考えて言っているようで、実は以前自分が受けた周囲からの反応のミラーリングだったりバイアス認知であることが多いように思いので日本から出たら極力注意する必要があります。
自分と家族のメリットを一番に考えるのが日本以外では極当たり前で、その前提で仕事や周囲の人とコミュニケーションをするのは当然ですが必須の社会性となります。
移民の権利主張の不思議さ
ちょっと脱線しますが、今現在はベトナムに住んでいて現地の法律では移民扱いなので、様々なハンデというか、権利は限定されています。外国人、よそのものなので当たりまですね。
これは何のビザであろうと同じです。短期ビザだとそれだけ制約が増えますが外国人の扱いという意味では同じ。 それに対して「ずるい」とか「OOをよこせ!」というキモチはもちろん全く浮かんできませんし、同朋や他の国の人と話してもそんな事は聞いたことはありません。 もちろん不都合はあり単に「やだな」とは思いますがそれだけで、基本は住ませてもらってありがとう、ただそれだけです。
恐らく、いや、かなり自信がありますが、日本に住んでいるベトナム人が「OOの権利をよこせ!」という気持ちは微塵もないと思いますし、他の国の人も同じでしょう。クルド人の問題にしても若気の至りとか、欲望が暴走しているだけで、そこに主張とか込み入った考えは無いのだと思います。
しかし、なぜか日本人で外国人の権利を主張する人たちがいます。この人たちは政治屋なのか人権ヤクザなのか、自分の不満を代替してぶつけているのか、なにかしら不健全な精神・事情があると考えています。 また、日本に住む外国人の大半にとっても摩擦や物議を増やすだけで、迷惑でしか無いと思います。
ドイツがクルド亡命希望者を国外追放
EUでは定期的にこのイベントは行われていると思いますが、今年の春にドイツから15000人ほどを複数回に分けて送還する、というニュースがでています。
参照用の下のURLメディアは親クルドのネットニュース媒体で、一説にはEUに散らばるクルド人がオンライン運営しているということです。
https://medyanews.net/germany-to-deport-thousands-of-asylum-seekers-under-new-agreement-with-turkey/
移民Welcomeな感じがするドイツですが、近代の法治国家のモデルなドイツだけあって、システム強強な感じがします。ドイツが移民Welcomeなのは人権主義だからではなく、車業界で人がほしいという日本と同じ理由と少子化で年金が破綻しそうなため、保険加入者が必要だからと言われています。EUは日本と違い財政規律のルールが厳しいので、現実経済で数字のつじつまを合わせる必要があります。(しかもそれを後から加入した国に強く押し付けている側なのでなおさらです)
日本は(いちおう)同じく法治主義国家で人(政治家や役人)より上に法がある国なので人種国政を問わず、違法に入国滞在する人を追放処分にする必要があります。逆にベトナムや中国は法治国家ではないのである意味、めちゃくちゃです。泥棒しても返せばOKというお国柄だし刑量も外国人にはやたらと厳しくいきなり死刑とかある反面、コネがあれば重罪でも釈放とかまであります。(これはベトナム航空CAの大量麻薬密輸事件でも確認できます)
日本では本来、その法律に逆らう役人も処罰されるはずですが不法滞在関連ではどちらも現在は有耶無耶となっています。 移民に賛成・反対とは関係なく、法治国家が法律のシステムで運営されないのは異常、野蛮な状態と考えてよいでしょう。地方自治が土人システムなので地方議員と地場の会社が結託してコネで警察を、というのが日本の昔ながらのシステムで最近だと兵庫県議員問題でも見ることが出来ますね。こういうのは全国で当たり前にやってきたのが日本だと思います。
一説には12万人のベトナム人が10年で行方不明ということですが、不法滞在という法律を犯す場合、身分を偽ったり違法労働をして生活することになるため、犯罪を重ねるレールしかありません。韓国でも同じく問題になっているようで、大量の不法労働者がいて犯罪もついて回るため、現在は留学をすると「迫害」に近い扱いを受けると、留学していたベトナム人たちから聞きました。
嫌な仕事は誰にさせる?
移民問題、労働問題について考えるときに「嫌な仕事を誰にさせるのか」、「どうやって安く仕事をさせるか」、「命令をよく聞く労働者がほしい」という方向の企業の要求と、そもそもOOなので子どもを作らない、という選択をしてきた多くの日本人が今後どのように辻褄を合わせるのか、個人の心の中の整合性と、社会全体での落とし所はあるのだろうか、と最初のベトナム人労働者の心の叫び動画を見て考えずにいられませんでした。
嫌な仕事をしない社会が、移民に頼る時何が起きるか
子を作らなかった人たちが老いて誰に頼るのか
金があるからOKでよいのか
金がなくなったらどうなるのか
使われるベトナム人労働者を育てた親や家族もいるという現実は?
という問いに、個人レベルでは選択肢がある超富裕層以外の人達が難問を突きつけられる時代は割と近くまで来ていると思うのですが。。。
また、特に闇を感じるのは企業が安く使いたい=困ってるから使役しやすい(OOな日本人でも命令を聞いてくれる)という残念な需要が大きいことです。日本人の若者ならすぐに辞めてしまうようなバカな管理者は今でも日本に沢山います。 大企業や公務員では首にもできませんし、3K業種な飲食や土建業で顕著と思いますが、ITでも同じです。
その状態を維持するために外国人を使うことは、ダメな企業の改善を遅らせて淘汰されるべき企業がゾンビ化して生き残る「問題先送り」な負債となり、国際競争力を奪います。(この30年日本がやってきた方向ですね)
調べながら関連ニュースを拾い読みして、「これ、真剣に向き合わないと、子どもの世代はヤバイのでは」と思わざるをえませんでした。子供の世代を機にしない人が3000万人日本にいることは日本を弱くしている原因の一つにもなっているじゃないか、という気もします。
25年前の本を読んで中間の答え合わせでもしてみようかな。