雨上がり
雨の日の人の憂鬱とは相反して、野に張られる水の美しさは目を見張るものがあり、とりわけ雨が止んでからの純度の高いそれらは日の光に照らされることによりより一層輝いて見える。
まるで今まで水の中に溶け込んでいた憂鬱な感情を雨が再び元の場所に返すように。
それとは反対に雨は、それまで憂鬱だった人の感情を一気に洗い流すこともある。
どれだけのたいそうなことを考えていても、雨上がりの日に当てられた川の流れを見るとそれまでの考えがその美しい川の流れと共に流されていくような気にさえなる。
それが起こるか起らないかのさは、「ただ自分を取り囲む数々の美しいものを目に止めるかどうか」と言う程度のことなのにそれをなす人となさぬ人に大きな感情の差を与える。