その採用、結果として "妥協" してない?〜ビジョナリー・カンパニー「だれをバスに乗せるのか」〜
こんにちは、
大阪にあるベンチャー企業 FREEPLUS(株式会社フリープラス)にて、採用担当と研修担当を務めているみやざわです。
私自身、現在務める FREEPLUS に入社し約6年。最初の3年は研修担当、残りの3年は採用&研修担当を担当してきました。
「メンバーを採用する」
「メンバーを育てる」
組織の根幹となる "ヒト" の部分を担うことで強く感じていたのは、いかに「だれをバスに乗せるのか」が大切である、ということです。
この note では、ビジョナリー・カンパニーを引用しながら、だれをバスに乗せるのかの重要性と、どうしたら妥協せずに素敵な仲間を集め続けることができるのか?について考えていきます。
1. 「だれをバスに乗せるのか」とは
多くの経営者はこのフレーズを聞いただけで「ビジョナリー・カンパニー」の引用だとピンとくるのではないでしょうか。
「ビジョナリー・カンパニー」
これは1994年に出版され、五年連続全米でベストセラーとなり、当時、100万人以上のアメリカのビジネスマンを夢中にさせた書籍です。
ちなみに本書で定義される、ビジョナリー・カンパニー=時代を超えて生き続ける企業とは、下記のように記されています。
・業界で卓越した企業である
・見識のある経営者や企業幹部の間で、広く尊敬されている
・私たちが暮らす社会に、消えることのない足跡を残している
・最高経営責任者(CEO)が世代交代している
・当初の主力商品のライフサイクルを超えて繁栄している
・1950年以前に設立されている
これらの定義に当てはまる、3M, アメリカン・エキスプレス, ボーイング, GE, IBM, ジョンソン・エンド・ジョンソン, マリオット, メルク, P&G, ソニー, ウォルト・ディズニー etc、をはじめとする優良企業が、なぜ時代の変遷を乗り越えて、ライバル企業よりも優れた業績を上げてきたのかを調査分析している書籍であり、私自身が初めて目を通したのは、FREEPLUS に入社した2015年でした。当時、FREEPLUS の必読書だったからです。
そしてこれら錚々たる企業に共通する採用の原則が「だれをバスに乗せるのか」に関係するのです。
まずは共通認識を持つため、下記にビジョナリー・カンパニーを引用します。
偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人びとをバスに乗せる方法をとったわけではない。まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。要するに、こう言ったのである。「このバスでどこに行くべきかは分からない。しかし、分かっていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ」
飛躍を導いた指導者は、三つの単純な真実を理解している。
第一に、「何をすべきか」ではなく「だれを選ぶか」からはじめれば、十キロほど走ったところで行く先を変えなければならなくなったとき、どうなるだろうか。当然、問題が起こる。だが、人びとがバスに乗ったのは同乗者が気に入ったからであれば、行く先を変えるのははるかに簡単だ。「このバスに乗ったのは、素晴らしい人たちが乗っているからだ。行く先を変える方がうまくいくんだったら、そうしよう」。
第二に、適切な人たちがバスに乗っているのであれば、動機付けの問題や管理の問題はほぼなくなる。適切な人材なら厳しく管理する必要はないし、やる気を引き出す必要もない。最高の実績を生み出そうとし、偉大なものを築き上げる動きに加わろうとする意欲を各人がもっている。
第三に、不適切な人たちばかりであれば、正しい方向が分かり、正しい方針が分かっても、偉大な企業にはなれない。偉大な人材が揃っていなければ、偉大なビジョンがあっても意味はない。
(コリンズ, ジェームズ (2001)『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』山岡洋一訳, 日経BP社 pp.66-67.)
「だれをバスに乗せるか。最初に人を選び、その後に目標を選ぶ。」
この考え方によると、まずは人材・組織(同じ志を持った仲間が集まること)が重要であるということになります。
その点でズレがあれば、もし何かしらで対立したときには組織は崩壊してしまいます。みんなのベクトルが異なるから。反対に、ベクトルさえ同じ方向を向いていれば、やり方が変わっても臨機応変に対応できる可能性が高くなります。
・・・
FREEPLUS は当時、創業者の下、日本発祥の世界誇れるサービス企業として世界企業(時代を超える世界企業)を目指して走るベンチャー企業。なぜメンバーが口々に「だれをバスに乗せるのかが大切」と言っていたのか、理由が分かります。目指しているところがビジョナリー・カンパニーだったので、その長い道のりでやり方が変わることもあるでしょう。事業も変わるかもしれません。そんな中でも、長く、一緒に世界企業を目指せる仲間を採用するために「だれをバスに乗せるのか」はとても大切な考え方でした。
こうして、採用担当としての私の採用ポリシーも「だれをバスに乗せるのか」絶対に妥協しない、になりました。
2. わかっていても難しい、だれをバスに乗せるのか
こうして新人メンバーにはビジョナリー・カンパニーを読んでもらい、入社後も様々なメンバーが「だれをバスに乗せるのか」が大切であることを共有してきた私たちでも、採用の判断が揺らぐ時がありました。
それは、人員補充の意味合いが強い採用の場合です。
人手不足解消のための採用では、「早く採用したい!さもなければ...」という考えが全員の頭をよぎります。
もし採用活動がうまくいかない場合、現場では、1人1人の業務量が増えるでしょうし、採用担当は現場からのプレッシャーと採用できないことへの焦りが募るでしょう。
※当社は "スクラム採用" を行っています。
2018年まで最終面接は全て創業者が行ってきましたが、2019年6月、組織大切をティール型組織に変更すると同時に "スクラム採用=全員参加型採用, 全正社員が採用権限を持つ" 形に変更しました。
※ゆえに、採用担当と言えど、全ての採用に対し、採用権限を持っているわけではありません。
3. どうしたら適切な人をバスに乗せ続けることができるのか
私は自然に身を任せて「適切な人をバスに乗せ続けることができる組織はない」と思っています。
上記でお読みいただいたように、ビジョナリーな会社を目指していたとしても、どうしても目先の利益(すぐにでも採用したい!)に目が眩んでしまうものだからです。
だからこそ、この note でお伝えしたかったのは、この点に気づいている人が
「その採用の意思決定、妥協してない?」
を常に問い続けてほしいということです。
特に、私自身にも、そしてもしかして採用を妥協しようとしているメンバーに対してもよく問うフレーズがあります。
① その人を採用することは、私たちの理念と使命の追求や達成のために効果的か?
② もしなんらかの理由で採用を焦っているならば、それはなぜか?他の方法、例えばアルバイトの採用や業務委託で補えないのか?
③ その方の採用を100%正解にしようと思える気概はあるのか?
これを問いかけることで「ハッ」と我に返り、考え直した結果、採用をお見送りする場合もあります。
それにより採用活動が長期戦にも連れ込むこともありますが、それでいいんです。
だって「このバスでどこに行くべきかは分からない。しかし、分かっていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ」から。
私は世界でもっとも素敵なメンバーと、世界中のお客様に人生に残る思い出をプレゼントし続けたい。(←当社の理念でもあります)
だからこそ、妥協せず、素敵な仲間を集め続けます。
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