社長に一貫性を求めるな。なぜならば、彼らは「精神と時の部屋」で生きているからだ。
今日のテーマは、みなさんも一度は感じたことがあるであろう、何故社長は朝礼暮改が多いのか?ということについて、私の思うところをお話したい。
例えば、昨日まで新規事業に全リソース突っ込むぞ!と言っていた社長が、今日になったら止めだ!止め!と言っていて、社員が困惑した。こんな場面に遭遇したことはないだろうか?誰しも1度と言わず、何度も経験があるだろう。
そうして、その結果、朝礼暮改に振り回された社員は「社長って、いっつも言ってることが変わって、訳わからないよね〜〜」と思うようになってしまうのだ。
社長(経営者)って「精神と時の部屋」で暮らしている人だと思う
この件について、様々な経営者とお話しする機会を経て、私なりに思ったことがある。それは、【社長(経営者)は常に「精神と時の部屋」で時間を過ごしているようなもの】だと言うこと。そうであるからこそ、本人にとっては朝礼暮改と言われようとも、そんなことは達成したい目的に向かう上では小事だと言うことだ。(と私は感じている)
「精神と時の部屋」って?
「精神と時の部屋」とはドラゴンボールに出てくる "修行部屋" で、その部屋の中での1年は、外部の1日に相当する。...と言うことは、かなり密度の濃い1日をその部屋にはいるだけで過ごすことができるのだ。
経営者は、「精神と時の部屋」に入って修行をしている悟空のようなものだとつくづく思う。何故ならば、社員が経営しないような無理難題が日々降りかかり、それを考え、行動し、クリアする、時には魔神ブーやフリーザのような強敵が現れ、負け、修行の必要を感じて、人の数倍努力する。敵を倒したら倒したで、安心する間も無く次の課題が降ってくる、さらには複数同時に敵(課題)を処理しなければならないとような、負荷が高い状態で日々過ごしている。つまり、一般社員に降りかかる負荷とはジャンルもレベルも全く異なる環境下で時を過ごしている人、それが社長(経営者)なのだ。
これをお読みいただいている、(経営者以外の)みなさんは、みなさんが勤める会社の社長になったと想像していただき、日々降りかかる経営課題や状況に耐えられるだろうか?と考えてみていただきたい。もしかしたら、この問い自体も愚問で、耐えられる or not の問題ではなく、もはや社長の立場からすれば、会社の存続を念頭におけば、"耐える" 以外の選択肢がないのかもしれない。※もちろんやりがいもあれば、楽しいこともたくさんあると思う
生きている世界が異なる=私たちの常識は当てはまらない
少し話は横道にそれたが、ではなぜ私が「社長に一貫性を求めるな。なぜならば、彼らは精神と時の部屋で生きているからだ。」と主張しているのか、をお話ししよう。
まず1つに "見ている景色, 入ってくる情報, リングにあがる回数" に全てが圧倒的に一般社員と異なり、生きている世界(部屋?)がそもそも違うと言うことだ。昨日と今日言っていることが違うと嫌われる?いや、経営者はそんな次元では生きていない。
意思決定の一貫性は本当に "善" だろうか?
さらに、VUCA時代と呼ばれる現代、また新型コロナウイルスの影響により刻一刻と世界情勢が変わるいま、昨日の正しいは今日の命取りである可能性も高い。
社長たちはその世間のスピードと、自社なり、自分なりのミッション達成を考え、意思決定しているのだ。結果として、昨日と今日言っていることが変わることは往々にしてある、と私は思っている。
もう1つ補足して言うなれば、意思決定の一貫性を求める人が世の中に一定数いると思うが、それは本当に正しいだろうか?
例えば、コロナウイルスに対する給付金が30万円から10万円になったニュースがあった。その時に「安倍政権の意思決定には一貫性がないじゃないか!」と非難する方がいた。私は給付金制度の如何について論ずるつもりはないので詳細なコメントは控えるが、刻々と変わる状況の中、一貫性を保つ意思決定と、状況に合わせた意思決定 どちらが理にかなっているだろうか?私は、後者の方がより良い意思決定につながると思う。
一貫性のある意思決定の方が心理的障壁なく受け入れられやすいことは、理解ができる。...が、意思決定の一貫性を優先した結果、状況に合わせた対応ではなかったが故に結果が出ないと言うことも往々にして出てくるだろう。そしたら、一貫性には欠けるかもしれないが、より良い結果をもたらす意思決定を主眼においた方が良いのではないだろうか?
まとめ
と言うわけで、刻一刻と変わる世の中、ビジネス環境の中で、私たちとは圧倒的に異なる時間の過ごし方をしている社長が朝礼暮改だったとしても、一度みなさんには冷静な目で見てほしいと思うのでした。
※この文章は決して世の中の経営者の朝礼暮改を全面的に肯定するものでも、経営者以外の方々にあなたは間違っている!と言うものでもなく、「このような視点でも物事を捉えられるのでは?というご提案です。ご了承くださいませ。。
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