九月著『走る道化、浮かぶ日常』感想。"説明なんか何一つつかなくていい"
九月くんの著書、『走る道化、浮かぶ日常』を読んだ。本書を通じ、この世がまた少し平和になった。ページをめくるたび鳩が一羽、また一羽と羽ばたき、読み終わる頃にはひと握りの愛と大量のフンだけが僕の手元に残った。
"説明なんか何一つつかなくていい"
ーはあ、へえ、あっそう。これらの相槌を頻繁に使う。というよか、9割がた相槌はこれだ。
話はもちろん聞いているし、無愛想なつもりもない。ただ純粋に、「へえ」と思ったから「へえ」と口にしている。
にも関わらず、度々相当に嫌な顔をされる。そっぽを向かれることだってある。
やる気が無いと判断した途端、ご歓談の輪から追い出されてしまうのだ。やる気が無くても帰すな。
兵法絶対読んでないだろ。置いてた方が良いって書いてるよ。俺も読んでねえから知らないけどよ。お前は読め。
兵法も読んでないようなヤツが歓談を仕切るな。
恐らくきっと、他の人より頻繁に補足している気がしている。場合によってそれは弁明だったりもする。
行間を読んだり、深読みし過ぎるコミュニケーションは好きでも得意でもない。
そのままの意味しかなくても、真意を探られてしまう。
僕はこのお喋り人狼が苦手だ。ただの村人にも関わらず、瞬く間に処刑台へ送られてしまうからだ。
実は怒ってたりしない。愛情の裏返しでもない。汲み取って欲しくもない。
伝えたいことがあったらちゃんと言うから。
待ってくれ、占い師がこっち来んな。1番変な仕事なんだよ、即席でラベリングすんな。
タロットが何示してるとかよく分かんないって。
アルカナが何?もっとちゃんと説明してくれ。