雪国放浪記2023早春編番外~「駅茶Mogura」と「雲の上のカフェ」~
今回は趣を変えて、もし雪見旅の初日に、谷川岳天神平ではなく湯沢高原を選んでいたら、というちょっとだけ世界線が変わった(??)シチュエーションになります。勿論、パラレルワールドの話ではなく、日付を変えて水上・湯沢エリアを再訪したわけなのですが…^^;; というわけで、今回は土合駅併設のカフェ「駅茶Mogra」と、湯沢高原のロープウェイを登った先にある「雲の上のカフェ」/レストラン「アルピナ」の探訪記になります。
土合駅と「駅茶Mogura」
水上駅では、高崎方面からの列車と路線バスの接続は、そこそこ考慮されている。特に、水上駅に11時半頃に到着する列車からは、3方面に行くバスが接続しており、改札口を出てバス乗り場方面に向かうと、3台のバスが待っている。
今回乗車するのは、「谷川岳ロープウェイ」行。国道292号線を上越国境方面へ向かう路線だが、終点から先、新潟方面に直接抜けようとすると、バス路線はもとより、自動車が通れる道路すらない。
今回はそのバスも終点までは乗らず、2つ手前の停留所である、土合駅前で下車する。この駅に来るのであれば、わざわざバスに乗り換えなくとも水上駅で接続する上越線の長岡行に乗車すれば2駅で到達できるのだが、土合駅のホームは「新清水トンネル」の中地下70mのところにある。エレベータやエスカレータの類はなく、地上まで462段+更に駅舎まで24段の階段を登らねばならない。日本一の「もぐら駅」と呼ばれる所以である。
ちなみに水上駅を11時台に出る長岡行は土休日限定の運行である。平日は9時台の列車の次は13時台まで列車が無いので、この時間に土合駅を目指す場合は、路線バス一択となる。
その土合駅は、現在では通常はいわゆる無人駅となっているが、谷川岳を目指す登山客の玄関口となっていることに変わりはなく、駅舎内には登山届の提出箱が設置されている。
そんな現在使われていない駅の出札窓口などは往年のまま残されており、このスペースをカフェにしたのが「駅茶Mogura」である。開店時間は土休日が11時/平日の営業日は12時で、いずれの日も16時には閉店する。週の半ばの平日は営業しない日も多々ある(大抵は火・水曜か、水・木曜の連休になっている)ので、注意が必要である。駅茶Moguraだけでなく、周辺に同時オープンした宿泊施設などを含めた "DOAI VILLAGE" の公式サイトから、営業日や営業時間などの情報を辿ることができる。
自分が土合駅にたどり着いた土曜日の11時半の段階で、駅舎にはそこそこ人が居たものの、駅茶Moguraには人が入っていなかった。営業しているのかどうか、駅の待合室側からだと良く解らなかったようである。営業中である旨の看板もでていたが、入口が今一つはっきりしない。改札内(といっても無人駅なのでフリーパス)から旧駅事務室方向へ回り込んでみると、予想通り、そこがカフェへの入口であった。お昼近くになっていたので、ホットサンドと林檎ジュースをオーダーして、今となっては珍しい(??)石油ストーブの上に乗せられた薬缶から立ち登る湯気を眺めているうちに、待合室に居た方々も営業していると気づいたようで、続々と店の中に入ってきて、各々が欲するものをオーダーしていた。どうやら、自分が招き猫になったようである。ちなみに件の友人は招き猫属性(??)が強いらしく、彼女がお店に入って暫くするとお客さんが増える、ということが多々あるらしい。にゃん。
それにしても、元々出札窓口の内側だったスペースから待合室側を眺めるとは、不思議な感覚である。駅員さんの制帽のレプリカ?もおいてあるので、それを被って旧出札窓口=カフェの側に座り、待合室側から写真を撮ってもらってる方々もいた。カフェそのものは、この日はワンマンオペレーションだったものの、軽食や飲み物に加えて、地ビールなどのアルコール類の提供も行っている。ちょっとだけ呑みたい気分になったが、今日の行程を考えて、自重した。
ちなみに、自分に土合駅併設のカフェの存在を教えてくれた旅好きな音楽仲間の友人は、土合駅には路線バスでたどり着いたものの、営業時間にはタイミングが合わず、代わりに地下の下りホームから湯沢方面への9時台の午前中の最終列車(その日は平日だったので11時台の便はなかった)に乗り継ぐという、鉄道愛好家でもなかなかやらないような乗り継ぎをやっている。流石である。そんな友人の土合駅探訪記は↓こちら↓。
水上駅から越後湯沢駅、湯沢高原へ
土合駅の地下ホームに行けば、そのまま越後湯沢・長岡方面の列車に乗れるのだが、長い長い階段を下らねばならない。長岡行の列車は、全列車が水上駅始発で、長岡からの列車の折返しである。時間に余裕もあったので、一旦、水上駅まで行って折り返すことにする。普通列車ならばJR全線乗り放題になる「青春18きっぷ」ならではの特権である。
水上駅でも折り返し時間に余裕があるので、一旦、改札の外へ。ただしこの日の水上駅界隈は小雨模様で、あまり散策には適していなかったので早々に撤収。この後、国境の長いトンネルを抜けていくのだが、先日とは反対側の車窓に陣取ってみた。トンネルを抜けた先は、吹雪になっていた。
先日よりも1本早い列車で越後湯沢駅に到着後、西口から湯沢高原へ登るロープウェイの乗り場を目指す。駅西口をでて、線路沿いに10分弱進むとたどり着ける。その途上で、足湯ならぬ手湯を見つけた。街角でも普通に温泉が湧いて?いる。
湯沢高原「アルピナ」と「雲の上のカフェ」
湯沢高原のスキー場は上下2段の構成になっていている。そのままアクセスできる下の段がファミリー・初心者向けのゲレンデ。日本にスキーが伝わった黎明期からある由緒正しきスキー場である。ロープウェイでアクセスする上の段は中級以上向けで、1990年代に開発されたエリア。お隣のスキー場「ガーラ湯沢」が開設された際に連絡用のロープウェイで結ばれ、更にもう1つ隣の「石打丸山」までつながっている。
その時期に滑りに来たことはあったのであるが、単なる雪見旅行客もロープウェイで上まで行けて、そこに「雲の上のカフェ」があるとは、件の友人に教えてもらうまでは知らなかった。
湯沢高原のロープウェイは、谷川岳天神平とは異なり、狭義のロープウェイである。すなわち、ゴンドラは大きなものが2つぶら下がっているだけで、終端ではループせずに折り返すタイプである。この日は20分間隔での運行。
当初はロープウェイ山上駅に併設された「雲の上のカフェ」でくつろぐ予定であったが、思いのほか込み合っており、ゆっくり休憩したいこともあって、そこから湯沢高原エリアのゲレンデ下端を横切った先にある、イタリアンレストラン「アルピナ」へ向かう。で、ここで呑みたい気分になったので、ワインとソーセージをオーダーし、雪見酒を楽しむことにした。「アルピナ」の公式サイトはこちら。
山上ということをすっかり忘れそうになる快適な空間であるが、ロープウェイの運行時間が終わる前に余裕をもってお店を閉めないと、従業員さんも山を下りられなくなってしまうので、閉店時刻は早目である。かくして、デザート?酔い覚まし?は、ロープウェイ駅併設の「雲の上のカフェ」に移動してからにする。
なお、件の友人も、イタリアンレストラン「アルピナ」の情報は持っていた様子。ワインも大好きな彼女がそっちに行かなかった理由は、ロープウェイ駅周辺が吹雪で「ホワイトアウト」していたことと、スキーシーズン真っ最中で平日だけど混みあっていたため、とのこと。そんな友人の「雲の上のカフェ」レポートは、↓こちら↓。
へぎそばを食す前に温泉へも行きたかったのであるが、湯沢高原スキー場のゲレンデベースにある「こまくさの湯」は、長期休業中とのこと。雪見風呂を楽しみにしていたので、かなり残念であった。
へぎそば!!(中野屋にて)
さて、本日の締めくくりは、前回ありつけなかった へぎそば である。前回臨時休業?だった、越後湯沢駅東口の中野屋へ向かうと、店先軒下の待ち合い席??がすべて埋まっている状態。土曜日の夕方近い時間帯であったが、お昼から混雑が続いていた模様。一旦店内に入って順番待ちリストに名前を書き、再度店の外で待つこと小一時間。どこか温泉に浸かっておけばよかったかな?、と思い始めたころに案内される。
自分以外にも、意外と「おひとりさま」は多かった。
へぎそばは南越後のこの界隈の名物で、つなぎに「布海苔」をつかっているので、麺がほんのり青みがかってるのが特徴。口に運ぶとほのかに磯の香がする。野菜の天ぷらとの相性も良い。
件の友人は、蕎麦焼酎の蕎麦湯割りをオーダーしていたらしいので、非常に興味があったが、まだ湯沢高原でのワインの酔いがちょっと残ってるので、断念した。
その後
今回は青春18きっぷを利用した日帰り旅行である。土休日であれば、越後湯沢から水上・高崎経由で東京方面への最終電車は、鈍行乗り継ぎでも19時台前半である。平日だと18時少し前に出る1本前の列車が最終となる。駅構内の「日本酒風呂」は混みあっているが、かといって「駒子の湯」まで行ってる時間は無さそうである。駅構内のカフェで寛いだ後、水上行最終電車で越後湯沢を後にした。
本日の行程
※時刻は2023年3月18日ダイヤ改訂より前のもの
立川7:59→西国分寺8:09→南浦和8:42→浦和8:55→高崎10:25→11:31水上11:35→バス→11:48土合駅=駅茶Mogura
土合12:42→水上13:32→14:05越後湯沢14:40→ロープウェイ→湯沢高原=アルピナ/雲の上のカフェ
湯沢高原16:00→ロープウェイ→越後湯沢駅=中野屋
越後湯沢19:14→水上20:16→新前橋21:14→高崎21:31→浦和23:00→南浦和23:06→西国分寺23:38→23:43立川
【考察】谷川岳天神平から湯沢高原へ1日で回遊するには?
※この説で考察するモデルプランは、2023年3月18日のダイヤ改訂を踏まえたものになっています。
本文中や以前の記事で述べたように、湯沢高原の「アルピナ」や「雲の上カフェ」でティータイムを楽しもうとするためには、遅くとも水上駅を13時半ごろに出発する列車に乗る必要がある。このためには、冬季(12/1~3/31)の間は、谷川岳ロープウェイ(土合口=山麓側駅前)を12時に出るバスに乗らねばならない。天神平での滞在時間を鑑みた上で、東京都内方面からのモデルプランを組み立てると、次のような感じになる。
谷川岳天神平まで
【新幹線を使う場合】※上毛高原乗り換えルート推奨
東京8:04/上野8:10/大宮8:29→たにがわ401号→9:20上毛高原9:32→バス→10:17谷川岳ロープウェイ(土合口)
東京8:52/上野8:58/大宮9:17→とき309号→10:03上毛高原10:20→バス→11:05谷川岳ロープウェイ(土合口)
【在来線で行く場合】
東京6:20/上野6:26/赤羽6:36/大宮6:52→8:15高崎8:25→9:31水上9:57→バス→10:17谷川岳ロープウェイ(土合口)
東京7:27/上野7:33/赤羽7:43/大宮7:59→(籠原乗換)→9:17高崎9:28→(新前橋乗換)→10:39水上10:45→バス→11:05谷川岳ロープウェイ(土合口)
高崎駅での新幹線と在来線の接続が良くない列車が多い代わり、朝~午前中の時間帯は上毛高原駅での東京方面からの新幹線とバスの接続が良い。高崎で在来線へ乗り換えるルートだと、全区間在来線に乗った場合と大差ない時間に都内を出発せねばならないので、記載を省略する。
谷川岳天神平~湯沢高原
谷川岳ロープウェイ12:00→バス→12:23水上駅13:32→14:05越後湯沢/湯沢高原山麓14:20→14:27湯沢高原山上
水上駅で1時間強の待ち時間があるため、その気になれば水上温泉郷の散策はできるが、日帰り入浴しようとするとかなり慌ただしい。その代わり、バスを土合駅で降り、ここで、直接、越後湯沢方面行の列車に乗り継ぐようにすれば、「駅茶Mogura」に立ち寄る時間は十分に確保できる(バスの土合駅到着が12:03/電車の土合駅発車は13:41。ただし「駅茶Mogura」から土合駅下りホームまでは10分程度かかることに注意)。
湯沢高原ロープウェイは20分間隔での運転が基本であるので、14:20発を逃しても、次は14:40発である。
湯沢高原からの帰路
【在来線の最終】
通常:越後湯沢17:52→18:33水上18:44→19:48高崎20:07→大宮21:28/赤羽21:43/上野21:53/東京22:01→小田原まで直通
臨時運転日:越後湯沢19:14→19:59水上20:16→(新前橋乗換)→21:24高崎21:30→大宮22:51/赤羽23:06/上野23:17(上野止まり)
水上行まで抜けられる最終列車が、そのまま首都圏方面への最終列車となる。通常ダイヤだと越後湯沢17:52発となるが、その後19:14に出発する越後中里行が水上まで延長運転を行う日がある。2023年3月18日のダイヤ改訂以前は土休日には延長運転されていた。ダイヤ改訂後は土曜が運休となる代わりそれ以外の平日と休日に延長運転が行わる模様である。いずれにしても最終列車は臨時列車であるので、運転日には注意する必要がある。
【新幹線利用の場合】
17時台から19時台にかけては、越後湯沢(冬季は一部ガーラ湯沢)始発の「たにがわ」号と、新潟からやってくる「とき」号が、合わせて1時間に2~3本ある。20時台以降は「とき」号だけになって1時間に1本となってしまう。
所要時間は大宮までで1時間/東京までで1時間半程度である。最終便は都内の駅には23時台後半の到着となるため、その先の接続があるかどうかに留意する必要がある。
越後湯沢発20時以降の東京行新幹線「とき」号
・20:28(全駅停車)
・21:17(高崎・大宮・上野停車)
・22:25(上毛高原・高崎・大宮・上野停車)
注意点
谷川岳ロープウェイも湯沢高原ロープウェイも、スキーシーズンの前後に運休する期間(11月下旬~12月中旬/3月下旬~4月中旬)があり、この期間は避ける必要がある。2022~2023年の場合、谷川岳ロープウェイが8日間/湯沢高原ロープウェイは1カ月程度である。
加えて、谷川岳ロープウェイ(厳密には谷川岳天神平スキー場)には、定休日がある。2023年1~3月の場合、毎週火曜日が定休日となっていた。
どちらも悪天候時には運休する場合があるので、運行情報には留意されたい。