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帰国子女でもない私が新卒でヨーロッパ就職するまで

「将来は英語を使って働きたい」「世界を飛び回る仕事がしたい」
小学生の頃からなんとなくそう思っていた。

私は沖縄生まれ、沖縄育ち。両親は最近までパスポートを持っていなかったし、近い親戚にも英語で仕事をしている人なんていない。片方の家系は公務員、もう片方は医療系と、ドメドメ(Domestic)な業界で仕事をしている人が多い。

そんな環境で育った私が、海外で働きたいとはよく思ったものだ。

高校を卒業するまでは、家族の期待もあり医療の道を目指していた。1回目の大学受験では、東北にある国立大学の理系学部に合格した。しかし、どうしても「英語・海外」で仕事をしたいという想いが煮えきれず、浪人中に両親に隠れて文系受験に切り替えた。
現役受験生の時にも、何度か両親に文系に行きたいと話したことはあったが、安定志向の両親とは意見がぶつかるばかりだった。

浪人期に入ったタイミングで、私は親元を離れて上京し、都内の予備校に通い始めた。地元にいたら友達と遊んでしまうし、少し両親と離れてひとりで自分の進路に向き合いたかった。

その時は、海外で働きたいといっても、具体的にどんな仕事をしたいかは全く検討がついていなかった。

でもとりあえず、心の思うままに興味のある学部を受験し、都内で大学生になった。両親は、私が受験で結果を出したため、その後から私の選択に対してあれこれ言うことは無くなった。
この時に学んだことは、「誰かに反対されたとしても、行きたい道があるならば進むべきだ」ということだ。結局、他の人の意見なんて無責任だ。状況に応じてコロコロ変わるし、正しい意見なんてない。本当の意味で、自分で道を切り拓いたという経験をしたのが、この大学受験だった。

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大学3年生になって、周りが就活をし始めた。私はどうしても、日本企業に就職するという活動に本腰を入れられなかった。
コロナ禍を経てやっとまた海外に出られるという状況を目の前にして、おとなしく日本に残り続けることに魅力を感じなかった。ずっと憧れていた「留学」という選択肢が頭から離れなかった。それでも、大学を出たからには大手企業に就職するのが王道、という周りの圧力を言い訳に、留学準備と就職活動も中途半端にやっている状態が大学3年生の夏まで続いた。

そんなくすぶった状態で、ある知り合いから言われたのが「逃げるのは癖になるよ」と言う言葉だった。負けず嫌いなところがある私は、「自分は逃げるような性格じゃない!」ということを示したくなり、改めて心に決めた。
"絶対に留学して、海外で働くという夢を叶える"

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私の背中を押してくれたこの知り合いには、今でも感謝している。そして今でも、「逃げずに進みたい道を歩み続ける」というのは、私の人生の指針となっている。

大学4年生の夏、第一希望だったオーストリアの大学での交換留学枠を勝ち取り、夢の留学生活が始まった。

楽しいことばかりではなく、言語や文化の壁で塞ぎ込んでしまう日もあった。内定もないのに、大学生最後の年に留学をする選択肢が正しかったのか、落ち込んでしまう日もあった。

しかし、私は海外で働くための一歩として留学をしているんだ。まだ道半ばだと自分に言い聞かせ、そのための行動に移し始めた。

履歴書用の綺麗な写真を取り、初めて英語で履歴書を書き、大学のキャリアイベントに行き、色んな友達にアドバイスをもらい、YouTubeで面接対策の動画を見まくった。

…現地企業の就職は、歯が立たなかった。
そもそもオーストリアの現地語であるドイツ語は話せないし、法学部の政治学科出身だったので、ビジネス上の即戦力を求められるヨーロッパ就職の壁は思っていたより高かった。
毎朝、「今日も仕事がない。新卒で無職になってしまったら、今後のキャリアはどうなるんだろう」という不安と絶望とともに起き上がっていた。日本の大学の友達は、名だたる企業への就職が決まっている中、自分だけ取り残されてる気分だった。

現地の大学院に進学してから現地就職をする道は考えつつ、最後の手段として、"海外スタートアップが集まるウィーン最大のイベント"に足を運んだ。そのイベントには日本のスタートアップも参加しており、チャンスだと思った私は、履歴書を印刷して色々な人に話しかけた。
まだ学生だった私をみて、日系スタートアップの創業者の方達は興味を示してくれ、現地就職の挑戦を応援してくれた。
その中にひとり、「私を現地法人の代表にする」と言ってくれた社長がいた。

今、私はその会社の現地法人代表として、ウィーンに住んでいる。


今後も、未来に不安を抱く日が来ると思う。自分の選択に確信を持てなかったり、他人と比べてしまったり。
そんなとき私は、「未来の私が感心してくれるような選択」をしていきたいし、誰かの大きな挑戦を後押しできる人でありたい。


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