ルーヴル・アブダビ
ルーヴル ・アブダビ美術館。憧れのUAE、ドバイ・アブダビに行ったのは2018年2月。ちょうどこの昨年2017年11月に遅れたオープンをしていたルーヴル美術館初の姉妹館です。アブダビ中心地から少し離れた、観光地・移住地として開発されているサディヤット島にあります。
近くにフランク・ゲーリー設計グッゲンハイム・アブダビも建設中でした。このコロナ禍でどうなっているか‥ですが、流石アラブ首長国連邦。スピーディーな(半ば強制的な?)ワクチン摂取対策で100人当たりの摂取率はイスラエルに次いで現時点で第2位のようです。近未来都市として発展し続けるアブダビ。改めて調べたところ、ルーヴル ・アブダビはフランス政府との国家プロジェクトで、ルーヴル美術館と30年間の契約を結び、その使用料は日本円で約570億円(!)。他諸々、美術品レンタル費などもかかってます。観光客誘致でこういった文化施設やホテル、エンターテイメント施設を次々と開発している様子がその当時からよく見られました。
脱石油依存より、観光産業の発展に尽力している様子をダイレクトに感じることができました。現在は新型コロナで様々な計画が延期に追い込まれてしまっていますが、昨年開催予定だったドバイ万博は今年秋に延期となったそうです。世の中がこうなる以前は、きっと物凄いスケールで、今まで開催された博覧会の中で一番ダイナミックなものとなるのではないかなと思っていました。すっかりそれどころでは無い世界中を巻き込むパンデミックとなってしまいましたが、世界の大イベントを皆々が素直に楽しめるような世の中に戻って欲しいなと願います。
前置きが長くなりましたが、ジャン・ヌーヴェル設計の設計のルーヴル ・アブダビ。まず光が差し込む網目のドーム型屋根が特徴的でした。
この空間を差し込む日差しは光の雨と呼ばれるそう。この地に降り注ぐ力強い太陽の光が空間を美しく演出する構造となっています。
ルーヴル ・アブダビのテーマはグローバル美術館。
世界中から集められたコレクションは数としては多く無いものの、ギリシャ美術、古代エジプトから中東・アジアと西洋〜東洋美術がわかりやすく比較展示されています。
年代も古代から近現代まで。幅広くバランスの良い並び順で作品も身近で楽しめた印象です。
ルーヴルの姉妹館だけあって、ルーヴルをキュッとコンパクトにした感じでしょうか。文化圏での仏陀のお顔の違いの説明書きもあってアジア人としても(アジア人だから?)わかりやすく面白いなと思ったのを覚えています。
日本美術も。まさかアブダビで三河の景色に出逢えるとは思いませんでした。
ホイッスラー〈灰色と黒のアレンジメント 第1番 画家の母の肖像〉振り返るとあれ?これはオルセーからかと再度発見も。専ら私はこの絵と言えばMr.ビーン‥
マネ〈笛を吹く少年〉こちらも日本に遊びにきていましたね。こちらもオルセー所蔵。
マティス〈マグノリアのある静物〉そこにあると安心するマティスさん。
本命のダヴィンチ〈ミラノの貴婦人の肖像〉個人的には照明の具合で、ガラスに光が反射してしまって少し勿体無いなと思いましたが、近くで眺められて良かったです。どれをみても巧妙でミステリアスで吸い込まれそうなダヴィンチの絵。ちょうどルーヴル・アブダビがオープンする前後、ダヴィンチと工房の作品〈サルバドール・ムンディ〉という作品が価格として史上最高額、当時のレートで約500億円(‼︎)で落札され、ルーヴル・アブダビで観られるのではないかと話題でしたがありませんでした。作者不明で研究の末ダヴィンチの真筆であることがわかった作品。最高額で落札されたにもか変わらず未だ謎な行先。画像でしか見たことないけれど、少し怪しげにも見えてしまう‥数奇な運命を持つこの絵は再度脚光を浴びる日を待っているのでしょう。
展示ルームは非常にシンプルです。
ティツィアーノ 〈鏡の前の女〉
見ているだけで非常に心配になるゴッホ 〈自画像〉
素敵髭ダンディの集まりカイユボット〈トランプ遊び〉
ジャコメッティもいました。
美術館は海沿いというか、水上に建てられていて、外の景色も含め楽しめる構造になっています。
行った時は比較的過ごしやすい(それでも日本の夏の気候)気温でしたが、もっと暑い日だと熱波が凄そう。
見所、観光地満載のドバイ・アブダビなので、美術館という選択に賛同してくれた友人に感謝です。行けて良かった。コレクションもですが、何より建物が美しかったルーヴル ・アブダビでした。