大神~日ノ本ならではの絵巻物語~
「人生何事も覚悟。結果はどうあれ―― 覚悟を決めるか決めないかで人生の価値は決まる。そんな価値ある人生を、ユーも沢山見てきたはずだよ」
これは大神というゲームの終盤に出てくるセリフだ。名言で、いつもここでうるりときてしまう。
ネタバレ?とんでもない!このセリフこそこの作品の魅力である。
というわけで、以前行われた「テレビゲーム総選挙」にて29位を獲得したゲーム「大神」について全力で語りたい。
この記事気に入ってくれたり大神について語ってくれるなら、コメントとかスキとか気軽にお願いします!
(画像は絶景版のもの)
大神というゲームについて
流石にあんなに大々的にテレビに取り上げられて、知らないなんてことはないとは思うが、一応初代が出たのが10年以上前のため簡単に概要を説明する。(以下からの文章はWikipediaより引用し、そこに加筆修正している。)
音楽
サウンドトラックも評価が高く、実はいろいろなところでこっそり使われていたりする。特に本作の見どころでもある「大神おろし」と涙がラスボスと名高い「太陽は昇る」は、聞いたことはある人は多いのではないだろうか。
「太陽は昇る」は今でも根強い人気で、2021年、「第14回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100」でも堂々の1位。(今年も1位取るんじゃないかな)
太陽は昇る
(この歌詞に感化され、実はラスボス戦のとある人物のセリフに「リセット」という言葉が付け加えられている。)
ちなみに、私は「Reset(ありがとうver.)」から「太陽は昇る」の流れがやはり好きだが、曲調だけで聞くと「ウシワカと遊ぶ」が好きだ。アレンジ版含めても。
ゲームの受賞歴
平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門大賞、2007年度日本ゲーム大賞優秀賞を受賞。
日本国外では、アメリカのゲーム情報ウェブサイトであるIGNが主宰するThe Best of 2006でOverall Game of the Year(最優秀賞)を獲得した。
また、前述したような数々の賞を受賞し、国内外から高評価を得ていたものの、売上本数は2009年3月時点で全世界で60万本と伸び悩んだことから、2010年に「最も商業的に成功しなかったGOTY受賞作品(Least commercially successful winner of a Game of the Year award)」としてギネス世界記録に認定された。
さらに2018年10月5日に「動物キャラクターが主人公の最も評価の高いゲーム(Most critically acclaimed video game starring an animal character)」として二度目のギネス世界記録に認定された。
2017年に発売されたHDリマスター『大神 絶景版』が100万本の売上を達成。
また、コラボも多く、ラスボスが格ゲーに出たり、最近では、モンハンライズにて大神コラボ「太陽は昇る!?」が開催された。
(既プレイヤ―でないとわからない演出に、大神を知らないハンターたちにはあまり好評ではなかったっぽいが。私はプレイ映像を拝見し、アマ公だ!!「太陽は昇る」だ!!!勝ち名乗りだ!!「妖怪絵巻」だ!!なにより、イッスンだあああ!!!と興奮してました。)
ストーリーのおおまかなあらすじ
100年前、神木村という小さな村で、十五夜の満月が登る日、怪物ヤマタノオロチが、若い女を生贄に選んで、喰らっていた。また、その村に白い狼が住み着いていた。生贄を品定めするようにうろつくため、「白野威」と名付けられ、オロチの使いとして、気味悪がられていた。
オロチが生贄を欲し始めて、ちょうど100年目の日。
ついに、村一番の美しい娘、イザナミが生贄に選ばれてしまう。
イザナミに思いを寄せていた英雄イザナギが退治に向かう。
その戦いの際に、イザナギをさまざまな神秘の力で手助けをした白狼・白野威は、息も絶え絶えで、力を振り絞り、遠吠えをすると、月が現れ、剣に光が纏い始め、ようやく、怪物ヤマタノオロチは退治され、封印された。
だが、白野威は、もう虫の息。イザナギは村に連れ帰り、村の人たちに囲まれる。村長が頭を撫でると、「ワン」と一鳴きし、静かに、息を引き取った。
神木村にある神木の袂に白野威の像が作られ、村の守り神として祀られていた。
しかし、それから100年が経ち、オロチを封じていた「十六夜の祠」にて、宝剣「月呼」が何者かに引き抜かれ、オロチは復活する。世界は呪いと闇にのまれた。
神木村のご神木。木精サクヤ姫の力で大神(狼)アマテラスも神木村にある白野威像に宿り復活。ヤマタノオロチを倒し、ナカツクニの安寧を取り戻すために、さすらいの旅絵師のイッスンと共に旅に出る。
まあ、ゲームの序盤の語りを簡単にまとめてこんな感じ。この話を前提に、二人の旅が続いていく。
先も言ったが、このゲームは初心者にむけてのゲームになる。だからといって、上級者は無理なのかといわれると、そうではない。上級者は道中のやりこみ要素をコンプリートすることを目的にプレイすれば、難易度ははね上がる。
(三戦目の百鬼夜行や強化版の死合いは死ぬかと思った)
寄り道イベントも、豊富で、寄り道したらした分だけ、最後がより良いものになるようにできている。
だから、どうか挫折しないで。最後までプレイしてみてほしい。
今ならSwitch「大神 絶景版」が68%オフ!!!!!!!!
ここから先はネタバレ注意になるため、プレイしていない人は、プレイを先にしてから戻ってきてほしい。
さて、ようやく本題に入れる。
私が今回、語りたかったのは、物語の良さだ。
いや、知ってるよ!と思うかもしれないが、知ってるよ!と思える魅力を語られることに快感を覚える私のような人種のための記事だ。
大神の物語(ネタバレ注意)
大神の物語、深いし、考察しがいもあって楽しいのだけど、それ以上に、日本ならではの考えでできていると感じている。
(ちなみに、月の民編がない今勝手に言うと、カグヤが黒幕説あると思ってる。)
やはり、というか。大神は「感謝」と「覚悟」の物語だと思う。
アマテラス様は太陽として、大神として人や動物、命あるものに善行を施し、悪意あるものには成敗をする。
そして、八百万の神々や、生き物は、「信仰」と「感謝」を返す。
これが、「幸玉」の仕組み。「祈りは力なり。力は祈りなり。」ということなのだろう。
あの時の光は、「ありがとう」の気持ち。
ここでアマ公がなにもしていないのなら、誰も祈ってなんてくれない。
でも、ここまで、優しく温かく見守り、手を差し伸べて、時にはいたずらをして、と、ナカツクニの人々と交流をしてきたからこそ、力を貸してもらえた。
そして……
諸々のネタバレ注意
裏のストーリーとして、イッスンが主人公だったと感じている。
アマ公と出会ったきっかけは、彼のエロガキっぷりだったし、過去の行いが巡り巡っていた。
そして、まだ、アマ公が筆技を持ってないうちから、画龍を使い、イザナギ窟の像を見て、「絵に書き写したかった」と言い、最終的に描いた。
花咲谷の壁画に興味を持ち、謎を解いた。
アマ公の善行やお人好しっぷり、お茶目さを間近で見て、いろんな人に、いろんな肩書をつけながらアマテラスの存在を、信仰を無意識に説いていた。
八犬士のうち三匹の、今の主への思いや村を守る覚悟を受け止め、妖怪絵巻に書き記すまでになった。(結構いいこと書いてある)
ヤツフサの妻と八犬士を案じる霊を見届けても、彼は伏姫に何も伝えなかった。
そして、自らの血を忌み嫌い、過ちを犯したが、愛するクシナダのため、スサノオは名乗りを上げた。
2章も全体的に「覚悟」の話。
あの子に告白できないとかそういうサブクエも言い換えれば、覚悟だし。
自らの命と引き換えに鬼が島を突き止めたヒミコ様。ヒミコを思い、祈りをささげる侍女。主に不信感を抱いても通すまいとしていた門番の役人たち。
(最終的には主のためにアマ公たちのことを見逃している)
海を守るため、自分の中に妖器を封じ込め、自らの死も受け入れたワダツミ様。夫を殺す結果になろうとも、使命のため、長として、「龍玉」を持ち帰ってくる依頼をした、お腹にいる我が子のために、危険を顧みず、橋を渡したオトヒメ様。
自らの記憶を思い起こし、竹取じいと別れ、月に帰る覚悟を決めたカグヤ。
妖魔の使いっ走りに生まれ、妖怪の掟や命に背いても、勝負のいう名の案内をし、散っていた疾飛丸。
そして、ワダツミの託宣によって知らされ、本物のツヅラオに招かれ、つかみ取った悲しい運命と、妖魔王。
最終章で彼は、ずっとどうするべきか悩んでいた。最初の目的である「筆神の技を見て盗む」は、恐らく、どこかでまだ「天道太子」を諦めていなかったから。
何度頑張っても認めてくれない祖父を見て嫌になって、放り出して、逃げ出して、見返したくて、だから「神の技」を盗みたがった。
でも、巡り巡ってカムイの地に、ポンコタンへ帰ってきてしまった。
1章の終わりから旅をしてきた姉妹、そしてコカリの成長と信仰を見届けた。
2章から旅という名の逃避行をして、いつでも弓を持っていたヨイチの覚悟を見た。
ウシワカも、「未来」が見えたから、道化を演じ、イッスンを焚きつけることをし続けた。
「旅は道連れ 二人連れ 仲を取り持つ筆の縁」
ウシワカの最後の予言。ロングバージョン。
このセリフ、グッバイシリアスしているけど、そうじゃない。かつてのイッスンの言葉をそのまま言ってくれている。いつ?……光明ののち、妖怪退治がある。そのあと、最初の幸玉を手に入れた時、「それだけ神様の力が弱まっているんだなあ」と言った後、誤魔化すようにこのセリフを言うのだ。
「旅は道連れ 二人連れ 楽しく行こうや 毛むくじゃらァ!」
でも、結局、踏み出すのは彼自身じゃなきゃダメだった。
彼は覚悟を決めたことで、天道太子として元々持っていた才能が花開く。
その絵は物語の随所で、我々に今まで見せてくれていた。この物語はアマテラスが主役ではあるが、プレイヤーはあくまで絵巻物語りを聞いている立場なのだろう。
イッスンのセリフに始まり、イッスンのセリフで終わるこの物語。彼の覚悟を決めた超大作は「大神」となり、色鮮やかな命を伝えていく。
願わくば、この多神教ならではの物語が、より多くの人に、より長く人に愛され、この絵巻を何度でも手に取る方が増えますように。
おあとは 次の お楽しみ!