愛犬が亡くなる日まで/病院に駆けつける【さよなら②】
「そろそろ覚悟しておきなね」
一心同体だったわんこが老いていく最中、母親や知人によく心配された。自分自身も、どうなるかなんてわからなかった。
ワンコがなくなった日。私は想像もしていなかった気持ちになる。
わんこは15歳で、亡くなる3ヶ月前位からフラフラするようになり、引っ越しも重なったせいか、どこかにぶつかることも増えた。食欲はあった。トイレは失敗もするが場所はわかっていた。
1ヶ月前くらいから夜中の徘徊がはじまり、うんちを失敗し、それを踏んでまた徘徊。家の中は大惨事なったのでオムツをしていた。
亡くなる一週間前、元気がなくなって心配だったので、引っ越した先の評判のいい動物病院に連れて行った。
「もう15歳。あれこれ治療をするより、好きなもの食べて、お家でゆっくりと過ごすのがいいと思う。どうしてもと言うなら、信頼できる大きな病院を紹介するけど、それはもう飼い主さん次第。日中仕事で家を開けるのが心配なら見ててあげるよ」と言われた。
なんかの注射だけして、「犬は意外と甘いものが好きだから、カステラとか蒸しパンとか喜ぶよ」と言われたので、蒸しパンを買って帰った。
家に帰ってあげると、久しぶりに顔を起こし、嬉しそうな顔をしていた。
それがその時の写真
こんな目を見たのは久しぶりだった。
12月28日
年末はいつも予約が取れないトリミング。その時だけ、なぜかすんなり予約が取れた。朝、割と元気に起きてきて、旦那に連れてってもらった。
私達は昼食をとり、駅ビルをフラフラしていると、気づいたら病院から(トリミングと併設されている)たくさんの着信があった。
もしかして、いや、トリミングが終わったのかもと折り返すと、「トリミングの途中で座り込んで、そのまま寝ている状態」といわれた。
そこからすぐに向かうと、診察台の上で暖められ、酸素マスクをして横になっているわんこがいた。
私を見ると、顔を起こそうともがいていた。
抱っこしていいですか、と聞いて抱き上げ、私はこのまま連れ帰って、家でゆっくり過ごすのか、もしもを願って、救急病院に行くか迷った。
何にもできない自分が、すがるように救急病院へむかったが、この選択が今も心残りになっている。
かかりつけでは、担当の先生がやめてしまい、かわりの先生があまりしっくり来ていなかった。
病院自体もテレビ露出が増え、動物に親身になってくれているような気もしなかった。
なのに、「最先端の技術は命を救ってくれる」と期待してしまい、大切な事を置き去りにした。
病院につくなり、ワンコは治療室に連れて行かれた。
私は待合室でただ待った。