ユニオンストックヤード / Union Stockyards
■ゲーム内容
実際にシカゴに存在した巨大食肉加工工場地帯をテーマにしたワーカープレイスメントです。プレイ時間は60分程度。個人的には4人くらいが適正かなと感じます。
ワーカープレイスメントで60分クラスと言うのは、なかなか無いような気がしますね。
さて、ゲームについてですが、骨子はシンプルなワーカープレイスメント。手番毎にワーカーをアクションスペースに置いて、アクションを実行するだけ。アクションの種類はそれなりにありますが、基本的な動きは家畜を食肉加工してお金を獲得し、新たな工場や広告的なものでブランド価値を高めて、各地に店舗を構えて、さらに食肉加工をしてお金を獲得し…と言った具合にサイクルを回していきます。
このゲームの特徴の1つが食肉加工の価格変動だと思います。市場には、各プレイヤーの売値を示すコマと黒い加工費用を示すコマが置かれており、食肉加工をした時に貰える額は売値から加工費用を引いた金額になります。もちろん、加工費用の方が高ければお金を払わなければいけません。
加工費用はラウンド終了時に変動し、最も在庫の多い家畜は費用が下がり、最も在庫の少ない家畜は費用が上がります。価格が上下するのが『ラウンド終了時』であることに妙があり、次のラウンドに向けてどれを加工するかの駆け引きが生まれています。「次のラウンド、豚で儲けたいから、今回は牛を加工しとこう。ついでに牛の数が最小になるから、費用も上がって邪魔できるし。」みたいな感じですね。悪い。この辺の費用の上下は後半になると特にみんな意識し出すので、駆け引きが面白くなります。
アクションの中には工場を建設するアクションがありますが、実際に土地にコマを置いていきます。建設時には1マス1金の土地代がかかります。これが結構高いわけですが、工場を作ることは売値を上げるために必要ですし、その先に配置された各都市への鉄道の敷設コマは勝利点に繋がります。つまり、とても重要。
そこで用意されているのが、土地の購入アクションです。これは、2×3の土地を事前に購入するアクションで、建築時に自分は無料、他人が踏めばお金が貰えます。しかも、空いてれば、好きな場所を買ってもいい。土地代はたったの2金なのでかなりお得です。
この土地の購入がポイントになっていて、もちろん建築費を削減するために買う事も多いわけですが、もう1つの使い方として相手に対する抑止力のような意味合いがあります。
と言うのも、このゲームでは建設する時に初期工場から辿った、どっかの工場と繋がっていないといけないため、徐々にスタートから鉄道コマに近づいていく形になります。鉄道コマは誰が取ってどこに置くのかが重要なので、先に取られそうであれば、事前にその近くの土地を購入しておくわけです。
特にどこの都市にでも置ける「*」コマは限られているので、誰が獲得するかが鍵になります。都市に店舗を配置しているプレイヤーが複数いた場合は、ちょっとした協力プレイになったりするのも良くできています。
アクション以外にも、ラウンドの開始時には史実に基づいたイベントが発生するのですが、大体労働者の不満が溜まるものになっており、不満が溜まりすぎるとストライキが発生して、ワーカーを労働組合に取られてしまいます。
さらには、累積すると結構大きいマイナス点になる不満トークンも獲得することになります。不満トークンはアクションで返す事ができるのですが、ゲーム前半は不満トークンが少ないこともあって、なかなか踏みに行きにくい感じです。しかし、後半になると馬鹿にならない失点になってくるので、アクションを取り合う事になります。どこでトークンを返しつつストライキを鎮めるかの見極めも面白いところです。
■遊んだ感想
全体的にボードはもりもりなので重厚な雰囲気ですが、資源や勝利点がお金しかないため、キレイにまとまったワーカープレイスメントに感じました。加工費用をコントロールしながらお金を稼ぎつつ、施設を充実させたりしながらブランド価値を高め、更なる収入に繋げていくのは見通しの良さに繋がっていると思いますが、その中でもしっかりとインタラクションがあるので、決して単調にはならないところが良くできている印象です。
何よりも60~90分くらいで終わるワーカープレイスメントと言う部分がなかなか貴重な存在だと思います。
ルールの複雑さ :★★★★★★☆☆☆☆
駆け引き :★★★★★★☆☆☆☆
運の要素 :★★★★★☆☆☆☆☆
おすすめ度 :★★★★★★★☆☆☆
自分は好きですけ度:★★★★★★★★☆☆
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